日本共産党 田村智子
コラム

【10.10.01】臨時国会が始まりました

首相の所信表明演説 なんだ? この野次は!

参院選挙直後の国会では、本会議は短時間で終わるものばかりでした。
今日が初めて経験する本格論戦のスタートになります。

午後3時、衆議院本会議に続いて、参議院での本会議が始まりました。
菅直人首相の所信表明演説です。

首相が登壇してすぐに、それは始りました。
何を言っているかもわからない野次です。
マイクを通しているはずの首相の演説よりも、すぐ後方から手をメガホンにしているのかと思うような野次の声の方が耳に届いてしまいます。

思わず斜め後ろを(すぐ後ろは、共産党の山下よしき議員の席ですから)を何度か振り返ってしまいました。
首相演説は、事前に全文が配布されていますから、聞き逃すことはありません。
けれど、こんな野次の嵐が当たり前の光景であることが情けない。

私はいつものくせで、配布された文章に線を引いたり、疑問点や、調べたいことや、自分の意見を書き込んだりしながら聞いていましたが、
騒いでいる人のそばまで行って、「静かにしてくれないと聞こえません」と言いたくなる衝動さえ感じました。

政治家ならば議論をしよう、と言いたいです。
まずは相手の意見を聞く、自分と異なる立場だろうが、異なる意見だろうが、まずは聞く。
こんな民主主義の基本が、国会でくずされていることが、本当に情けない。

野次のすべてが悪いとは言いません。
合いの手のように、発言の間隙をぬって絶妙の一言を、ということはあるでしょう。
また、質問しているのに答えないような時に「答えなさい」と、思わず声が出ることもあります。
本会議で叫ばれていたことは、異なる意見へのブーイングとしか思えないのです。

首相の演説には、私も疑問点、問題点をいくつも感じました。
「国内消費を取り巻く状況は厳しい」「需要が不足する中、供給側がいくらコスト削減に努めても、値下げ競争になるばかり」――これはその通りですが、だから「供給者本位から消費者目線に転換」というのは???

供給者というのは企業の側のことでしょう。そこから目線を転換するのならば、労働者に、ではないのか。
民間企業の年平均給与がたった1年で23万7000円も減額した。どれだけ労働者に、下請け中小企業にコスト削減の嵐がおそいかかったことか!

「即効性のある雇用対策に重点を置いて予備費9200億円を執行」――即効性のある雇用対策とは何をさしているのか、これは要注意マークをいれました。
人出が足りないといわれている介護職場でも、正規職員募集はほとんどないという情報もよせられています。
失業対策や、未就職対策は、確かに待ったなしで本気でとりくまなければならないけれど、「即効性」とはなんなのか…。

そんなふうに演説文章にペンを走らせていたら、30分ほどの演説は短く感じるほどでした。
今日は「都民の日」だから、子ども二人は学校が休みで、国会見学でもしたらどうかなとちょっと考えたのですが、こんな野次だらけの本会議はちょっと見せるのを躊躇してしまいます。

尖閣諸島の問題でもそうですが、勇ましいことを大きな声で叫ぶことが必要なのではありません。
異なる意見を持つ人も納得せざるをえないような、議論が求められているのです。