日本共産党 田村智子
コラム

【10.09.19】行政が地域コミュニティを壊してよいのか!

江戸川区のスーパー堤防問題で住民のみなさんと懇談

 
お彼岸前の妙勝寺、夏の百日紅、秋の萩がともに庭を彩っています。
落ち着いた庭、奥に広がる墓地、このお寺の歴史の深さを感じさせます。
ここに江戸川区の篠崎公園地区の方々が集まってくださいました。
ご住職の渡邉清明さんも、待ちかねてくださいました。

江戸川のごく一部の流域に膨大な盛り土をして、家もお寺もお墓も埋めて(動かして)スーパー堤防をつくるという計画。
4年前、この計画に区長が言及した直後から、私も住民のみなさんとたびたびお会いしてきました。

篠崎公園地区、北小岩18班地区では、江戸川区による執拗な用地買収に苦しめられているとお聞きし、私もあらためてこの地域の視察をすることにしました。

妙勝寺に向かう道、買収された土地が目につきます。黒いビニールシートがで覆われ、「街づくり事業」をうたう区の掲示板が。
何度も何度も区の役人が家を訪問しては、買収の話をする。
精神的に追い詰められた住民もいるとのこと。
移転を決めた家、住み続けた街から離れる意思はないという家、区によって分断され続け、地域コミュニティはずたずたに。

「これまで顔をあわせれば、にこやかに話していた隣人と、今ではあいさつもほとんどできない」
「引っ越していくときもあいさつもない。どこに越したかもわからない」
なんということでしょう!

北小岩18班地区でも、区画整理事業も何も決まっていないのに、「先行買収で、くしの歯がぬけるように家がつぶされていました。
「これは行政による暴力と同じです」
「私は心の財産を奪われた。これまで長く仲良くしてきた高齢のご夫婦が泣く泣く家を売って引っ越した。先日も電話で、帰りたいと泣きながら話していた」

私の胸のうちにもめらめらと怒りの気持ちが燃え上がりました。
高齢者の孤独死や行方不明がこれだけ問題になり、地域コミュニティをどう築くかに真剣にとりくまなければならないときに、こんなことが起こっているとは!

用地買収で街を壊し、なにが「街づくり事業」でしょう!
都市計画決定も、事業決定もしていないのに、用地買収が許されるのか。

最後に訪ねたのは、スーパー堤防問題を考える会をいち早くたち上げた、北小岩地区。
この地区では用地買収などは行われていません。
しかし、住民のみなさんは篠崎公園地区、18班地区で進行している事態を熟知し、同じ怒りをもって運動をつづけておられます。

これまで笠井亮衆院議員、小池あきらさんが、国会質問でもとりあげてきました。
小池さんの質問では、前原国土交通大臣(当時)が「現地に行く」ことも言及していました。

治水事業としての効果も疑わしく、莫大な予算を必要とする。
住民からの要望もない。
歴史上、氾濫の記録もない地域でなぜスーパー堤防なのか。

スーパー堤防計画そのものを問題にするだけでなく、行政による街壊しのやる方、政治的手法も絶対に許すわけにはいきません。