日本共産党 田村智子
コラム

【10.09.16】千葉大学を訪問しました

「人を育てる」ことにまともな予算をと齋藤康学長

 
猛烈な雨に服も靴もびしょ濡れになりながら、京成・堀切菖蒲園の駅につきました。
千葉に向かう電車は同じ京成線でも2度の乗換が必要。
乗り継ぎ時間も微妙にあいていて、都心に向かう便との差を感じます。

千葉に着くころには傘がいらないほどの小雨。
乾き始めた服がまた濡れるのかと心配しましたが大丈夫そうです。

千葉大学の訪問は、衆議院で文部科学委員会を担当する宮本たけし議員と一緒です。
この間、宮本議員は東大、学芸大など国立大学を訪ねて、来年度の大学予算削減の問題で懇談を重ねています。
同行した県議の小松実さん、丸山慎一さん。丸山議員は千葉大学の卒業生です。

齋藤康学長との名刺交換、にこやかで懇談を歓迎していただいていることが伝わります。
国立大学は、「独立行政法人」に移行させられてから、国の運営交付金の削減が続いています。
千葉大学は6年前の予算と比較して、すでに1割近い予算カット。
そのうえ来年度は「今年度の1割カット」という方針が伝えられ、大学関係者からいっせいに抗議の声が起こっています。

この6年間での9.9%の運営交付金カット。
「この削減分は、どこから?」と、千葉大学で用意していただいた資料をみながら聞いてみると、「ほとんど人件費です」とのこと。

教授が退職をしても補充しない、しかし、学科や講義数は減らしていない。
他の教授が授業時間数をふやし、担当する学生数をふやし、自らの研究時間を削っているとのこと。
一方で附属病院の看護師は、患者数に対して人数が決められていますから職員増。
教育分野の教職員数を減らしたり、非常勤職員で補ったり…
「しかし、それももう限界です」

研究室への予算は国立大学時代から激減。
「資料代、文献費はもちろん、コピー代にもならない」
基礎的な学問研究の予算が足りない、施設整備の予算はさらに深刻な事態です。
「学生寮は50年前につくられたもの。ほぼそのままの建物」

齋藤学長の言葉は、とても考えさせられるものでした。
「人を育てるためには、それだけの環境や条件が必要。そのことが政治の場で議論されているのでしょうか」
「大学に対しても、今年はこれだけのことは保障する、この部分はなんとか我慢してほしいとなかみが示されるのならば、まだ考えようもある。ところが最初から最後まで、予算額の話だけ。これが教育政策といえるのでしょうか」

日本の教育予算は、いまや主だった資本主義国のなかで最低水準。
OECD加盟国中、国内総生産比で最下位となりました。
経済力に比して、あまりにも教育がおろそかにされているということです。

1時間ほどの懇談は、あっという間。
「ぜひ、学生寮や大学病院ふくめて視察に伺いたいと思います」
本心からそう思いました。

懇談を終えて玄関に向かう途中、番外編の質問をしてみました。
いただいたパンフの附属病院の機構に「Aiセンター」と書いてあったのが目にとまったのです。
「それは、亡くなられた方の検査ですよね」
「はい、そうです。海堂尊は、千葉大学ですよ」

実は私、『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ナイチンゲールの沈黙』等々、海堂作品にちょっとはまっていたのです。
彼の医療問題での厚生労働省批判は、「すばらしい!」(白鳥さんなら拍手しながらいうことでしょう)
医療を崩壊寸前においつめた政治の責任、同じように、教育研究を崩壊寸前に追い込むつもりなのか。
海堂氏に学んで、政治の舞台でのたたかいをしなければ!