日本共産党 田村智子
コラム

【10.09.15】横浜ランドマークタワーを見上げる公団団地

横浜ランドマークが間近にみえる横浜市中区海岸通。
ここは横浜開港当時の赤れんが倉庫の一部が残る、倉庫街でした。
倉庫に囲まれるように、昭和30年代につくられた公団団地を訪ねました。

木枠の窓の団地として、昭和の建物を愛する人たちが訪ねてくることもあるとか。
建築から50年をこえる団地の建替えは、この地域の再開発の波にもまれることになってしまいました。

隣接する土地には森ビルの地上200メートルの巨大ビル、が建設中のはずでした。
URを含む6社が再開発を計画したものの、計画は完全に行き詰まり、建設が具体化したのは建替え団地だけ、というのが現状です。
ビルの予定地は臨時のフットサル場に。

ところが、団地住民には「六本木のようなすばらしい街になります」と説明され、家賃は今の3倍という額が案として示されたのです。
「戻り入居の場合は、減額されるとしても、とても払えない」
70代の住民のみなさんは、「このままではホームレスになるしかない」と思いつめておられました。

話を聞くにつれ、これは住民の追い出しと同じではないのかと、疑問がわいてきました。
老朽化した建物は、改修や建て替えが必要です。
しかし、これまでと全く違う立地条件に無理やり変えてしまい、「こんなすばらしい街に住むのだから家賃が高いのは当たり前」
「ここに住めないのならば、他へ出て行って」と言うのと同じです。

現地で都市整備機構(UR)の現地事務所の方から話を聞き、現地を歩き、さらに自治会の方のお部屋で住民の方々のお話を伺い、住民不在のままに街づくりをすすめてきた企業とURの姿勢がはっきりとわかりました。

新しくつくる団地は、「すばらしい街」の団地だからと、和室はなく押入れもない、というのです。
戻り入居する方のほとんどは高齢者でしょう。布団の生活をしている方に、床張りの部屋に布団をしかせ、布団を片付けるスペースもつくらない…。
誰のための建て替えか、この一例のみても透けて見えてきます。

団地のまわりは、住民の方の手ですてきな花壇も。
朝顔が季節の終わりの花を咲かせ、赤い彼岸花がつぼみをたくさんつけていました。
そして草むらからはカンタンの「フルルルルル…」の鳴き声。

この街がこれからどうなっていくのか、黙ってみているわけにはいきません。

 

 
写真はフットサル場。土日には1万2000円の利用料だとか。
フットサル場の横には、七輪を机にセットしてバーベキュー(焼肉かな?)ができる飲食施設も。

あとはほとんど駐車場に。
ランドマークタワーや、みなとみらいの観覧車などがみえ、新しいものと古いものが混在した不思議な空間。
明治の赤レンガ、昭和の団地、そして平成の開発ビル。
日本の歴史をまとめたようなこの空間は、この方が価値があるようにも思えてきます。