日本共産党 田村智子
コラム

【10.09.13】熱中症対策について質問しました

クーラーがないために命を落とすなんて!

国会は閉会中ですが、国民の暮らしや経済の状況から、いくつかの委員会で審議が行われてきました。
参議院厚生労働委員会も本日、2時間15分間の委員会が開かれました。
私の質問時間は前回と同じく15分間。

とりあげたのは、国民健康保険法第44に規定している医療費患者負担の減免と熱中症対策。
医療費減免については、後日、このコーナーでお知らせしたいと思います。

熱中症の問題は、死亡事故が報じられたたびに、何か対策が必要ではないかと考えていたところでした。
調べてみると、やはり「貧困」の広がりのなかで起きていることが、はっきりしてきました。

熱中症での救急搬送は、7〜8月で約4万6千人。そのうちすでに亡くなっていた方は158人に、前年7〜9月の約10倍です。
新聞で報道された事例も、あまりに痛ましい。

豊島区では48歳の男性が死亡。クーラーも扇風機もない部屋で、発見時は亡くなってから数時間たっていたと思われます。それでも体温は40度を超えていた!
携帯電話の発信記録は、電話番号にはならない数字の羅列、未明のことだったそうです。

この夏の暑さのなかで、クーラーがない生活をするとはどういうことか…。
自分も夏の寝苦しさに、朝起きても体がだるく、日中も体を動かす気になれない、そんな日を何日も送りました。
猛暑日が30日以上というなかで、いったいどうやって過ごしてきたのか。
党東京都議団の調べでは、9月6日までに、熱中症で住居で死亡した人は130人、そのうちわかっているだけでも55人がクーラーを所有していなかったのです。

各地で民医連の診療所などが、緊急に心配な高齢者の訪問活動もしていて、その報告の一部を見せてもいただきました。
クーラーがなく、室温が35度にもなっている。熱中症になっているのではと救急対応を考えた事例もあるようです。

私も事態を知りたいと、昨日は、足立区内の都営住宅にお住まいの方々に急きょ集まっていただき、お話を伺いました。
「クーラーが壊れてしまって、電気屋さんに聞いたら5,6万円はかかると言われてあきらめた。扇風機でなんとかしのいだけど、本当につらかった」
「昼間はヘルパーさんが来る時間だけです。暑い思いさせたら悪いと思って。ヘルパーさんが帰ったらすぐクーラーは切るけれど、それでも電気代がかさんで。食事を減らして払うしかないかなと…」
設定温度は30度という方もおられました。国会や省庁で30度設定などしたら、騒ぎになるでしょう。これが「格差」でなくてなんなのか!

質問準備にあたっては事前に、厚生労働省に「どんな対策をとっているのか」「低所得者への対策は何かあるのか」等々、説明を受けましたが、驚くほど何もない!
「クーラーや扇風機の使用をよびかけている」「水分をとるようによびかけている」
熱中症についての情報提供、予防法の周知にとどまっているのです。
クーラー利用をよびかけても、クーラーがない人はどうするのか。
電気代が心配で、体に悪いとわかっていても我慢している人はどうするのか。

フランスでは、2003年に1万5000人もの死者を出してしまい(バカンスで医者がリゾート地に行ってしまい救急対応ができなかったことが大きな要因だそうです)、すぐに低所得者の実態調査をし、エアコン支給にもふみきったといいます。

質問準備の過程でわかったのは、「生活福祉資金貸付金制度を利用できる」ということ。
高齢者や失業者などへの小口の貸付が、各地の社会福祉協議会を窓口にして行われているのです。
派遣切りが吹き荒れた時、失業者にも生活資金の貸付ができるようになり、私も街頭相談で紹介したことのある制度でした。

「その制度を危機感をもって知らせてほしい。月々1000円、2000の返済でもよいと、柔軟な対応を各自治体を通じて徹底してほしい」
委員会での質問でも強く求めました。

生活保護の世帯への支援はどうか。
これも事前の厚労省とのやりとりでは、「クーラーを買うための資金を出すわけにはいきません」「電気代補助なども、生活保護世帯だけ何か特別ということは考えていません」と、驚くほどの冷たさ!
質問では「けんか」しないといけないかと、覚悟を決めていました。

けれど、委員会での長妻大臣の答弁は、若干異なりました。
「暖房費がかさむ冬に生活保護の冬期加算があるように、夏にも夏期加算を検討すべきではないか」という質問に、検討の余地を残す答弁をしたのです。
さすがに「節約してクーラーを買いなさい」「電気代の分も他の生活費を削りなさい」という態度は示せなかったのでしょう。

「検討する」と「実行する」には、まだまだ距離があります。
生活保護だけでなく、低所得の方へのなんらかの支援も必要です。
これから、来年の夏に向けての運動がどこまで事態をきりひらけるか。

各地でクーラー設置や電気代補助にむけた運動も始まりました。
国会内外での運動、世論で、なんとして実らせたい。

「政治の貧困が国民の貧困を広げてしまう、こんなことは断じて許されません」
質問の最後には自らの決意もこめました。
健康で文化的な最低限度の生活とは、30度を超える部屋で暑さにさらされて暮らすことではないはずですから。