日本共産党 田村智子
コラム

【10.05.17】東久留米市で農家、商店主と懇談

農業・商業を「街づくり」のなかで考えると…

 
東京の三多摩地域には、広い畑や農家の屋敷林の光景をみることができます。東久留米市もその一つ。地元の原のりこ市議と一緒に市内の農家の方を訪ねました。

元自民党員という60代の男性。
日に焼けたお顔、しっかりとした体つき。土と太陽と水にふれて働く方のエネルギーが伝わります。

都市農業では農薬散布は悩みの種だと、これまでも何度かお聞きしてきました。
「土がよければ、農薬はそんなに必要ない。虫が選ぶのは芽を出したばかりの葉。その時に、丁寧に農薬をまいて、あとは土と植物の力」

なるほど…。我が家の姫りんごも、小指の先よりも小さい黄緑の若葉の裏にアブラムシがつきます。緑色になった大きな葉にはつきません。

都会は街路樹や道端の草は虫だらけ。その中での農業は虫がつきやすいと言います。
「少しぐらい虫がついているほうが、安心ですよね」という私に、すかさず、「それは違うんだよ」
虫が好む味(?)と、人間がおいしいと感じる味は違う、それも土次第だというのです。

農業の問題だけでなく、「民主党政権はどうですか? 普天間問題なども大変なことになっていますよね」と尋ねてみると、
「普天間も、ただ基地をなくせじゃダメだ。北朝鮮のこともある」。これは少し時間をとって話をした方がいいかな、と思ったら、続きがありました。

「どうして北朝鮮と話し合いをしないのか。日本は戦争で苦しめた、そのこともちゃんと話す。国と国の関係がよくなるように努力しないと」
「アジアの国々と、仲良くなっていけば、基地なんかいらなくなる」

すばらしい!と、心の中で快哉をあげました。
ただただ危機をあおる動きへの痛烈な反撃です。
思わず固く握手してしまいました。「その通りです!」

 
もう1件の農家の方は、ご自分の畑で作業中でした。
とうもろこし、ほうれん草、トマト、じゃがいも、ねぎ畑…。いくつもの区画をつくり、丁寧に作業されていることがわかります。

体験農業で希望者を募ったら、これが大好評だとか。
「自分が育てたという実感もあるし、プロが指南するから味もいい。1年やったら終わりかと思ったら、何年も続けて、自分の畑を持つ人もいるんだからね」

なかでもトマトが大人気という話題になり、「乾燥させると甘いトマトになるそうですね」と聞いてみると、
「それは甘いだけだね。酸味がないとね」
「酸味はどうしたら?」
「土だよ」、即答でした。

土作りには最低10年はかかるといいます。
日本全国の耕作放棄地は埼玉県の広さに匹敵するまでになっています。
大変な財産が毎年失われ続けている…。
短時間に多くのことを考えることができました。

東久留米市では、大規模ショッピングセンター建設を中止できるかどうか、正念場をむかえています。
私も何年か前に現地調査にいきましたが、目の前は小学校、道路は歩道も不十分な2車線道路。怒りさえわいたことを思い出します。

建設反対の住民運動にもとりくんできた、商店のご主人を訪ねました。
「商店街が地域の経済の担い手になるにはどうしたらいいか。地域のコミュニティの場というのはそうだが、それは商店街の本当の役割ではない」

ショッピングセンターの建設だけにとどまらない、大変、奥の深い意見。
しばしば「う〜ん」と考えたり、うなずいたりしながら、懇談は1時間近くにもなりました。

商店街のイベントを大型店と一緒にやって経験もあり、そのとき、大手チェーン店の雇用実態も垣間見たと言います。
「給料が高くなる50代になると、露骨な肩たたきがはじまり、課長をしていた人が惣菜売り場にまわされたり、地方にとばされたり」
入荷作業も深夜にもかかわらず時給は驚くほど安い、等々。

大型店出店がワーキングプアをあらたに生み出してはいないか、これも考えさせられました。
「商店街が若い人の仕事の修行の場になったり、新たな雇用の場になるようにしていきたい」
自分の店の経営だけでなく、街の未来を考えてこその言葉です。
この思いにこたえる政治にしなければ。