日本共産党 田村智子
コラム

【10.02.01】マスターとカウンターをはさんで政治談議

平塚市で決起集会、そして訪問対話

 
今日2月1日は「しんぶん赤旗」の創刊記念日。
82周年、「赤旗」(せっき)を持っているだけで逮捕・投獄される危険がある中で、ガリ版の新聞が発行され続けていたのです。

そんな歴史に思いをはせながら、朝8時前に家を出て、目指すは東海道線の平塚駅。
朝10時、事務所前に到着すると30人ほどのみなさんが、寒さのなか集まっていました。
「しんぶん赤旗」の購読をよびかける行動に、市内各地からはせ参じたのです。

短時間の決起集会。
「政治にものを言いたい、もっと政治を変えてほしい、こういう気持ちがどんどん広がっています」
「民主党の政治はどうですか? くらしはどうですか? と対話を一緒に繰り広げましょう」
私も決意をこめてあいさつ。

それから2時間近く、地域の支部の方といっしょに町を歩きました。
話し好きの私は訪問対話が大好き。
「今日は寒いですね」と、途中のお店の方にも声をかけながらの行動となりました。

この寒さのなかにもかかわらず、なぜか留守宅も多い。
「雨が降る前に用事をすませているのかな」
「今日は1日の月曜日だから、銀行やら役所やら、でかけているのかも」
などなど言葉をかわし、励ましあいながら歩きました。

お話ができた一人は、私と同世代の一人暮らしの女性。
「生活はますます大変になっているんです」
「お仕事は?」
「パートやアルバイトをと思ってはいるんですが、仕事に支障があってはいけないので」

これまでも生活相談にのってきた地域の方との対話に、私も口をはさみました。
「差し支えなければ、お仕事というのは?」
「イラストの仕事です」
そこで玄関にかけられた絵に気がつきました。

単発の仕事の発注を受けるだけでは、ほとんど収入にならないでしょう。
それでも自分の好きな仕事を大切にしたいという思い、一方で貯金を崩しての生活に不安が広がる…
人間の能力の発揮と人間らしい暮らしの両立はどうしたら、と考えてしまいます。

対話をすると要求の切実さが骨身にしみます。
これが、私の政治活動の原動力でもあります。
冷たい政治が許せないという思いだけでなく、どんな制度をつくっていけば、要求にこたえることができるのか真剣な探求を迫られるからです。

何件か留守も続き、気温はどんどん低くなっているように思えました。
そこで、支部の方のなじみのお店に向かうことに。
外見はスナック、それでも午前11時からの営業と看板がかかっています。

「マスター、コーヒー4つ」
お店には静かにウィスキーの水割りを楽しむ年配の男性が一人。
昼間からのお酒?と思わせない、落ち着いた雰囲気が心地よい。

マスターに自己紹介をして、私のリーフを手渡して、
「何かのご縁かと思いますので。お楽しみのところかと思いますが」と、お客さんにもあいさつ。
「選挙にでるの? 共産党?」
「はい、そうです」
「がんばってよ。結構好きだよ、共産党。今、いいんじゃないの?」
言葉は少ないのですが、あたたかい応援の気持ちが伝わりました。

お客さんが会計をすませると、店内は私たち4人だけに。
「マスター、お客さんたちの会話はどうですか? 政治の話にもなるんでしょうか」
「いろいろな人がいるからね。こちらから話すのは難しいんだよ」

それでも衆議院選挙のときには政治談議に花が咲いたようです。
最近では国会をみてあきれている声もあるとか。自民党と民主党の野次の応酬は、「何をやっているのか」という感情を起こしているようです。
「共産党ががんばるしかないんだよな」とマスター。

話はお店のことになりました。
「スナックで昼間もやるのは大変では?」と尋ねると、「そうしないとやっていけないんだよね」とマスター。
団地の多い地域、団地では子どもさんが成人になると一緒には住めずに出て行く…。
そこへ年金の減額、高齢者を狙い撃ちした負担増。

経済の建て直しは、崩された社会保障を元に戻して庶民の暮らしをあたためること、
そして若い人が住み続け働き続けられる町をつくること、
そんなことは、市井の対話ではっきりみえる道ではないか!

マスターと話をしていて、この店のこだわりのつくりに気がつきました。
カウンターのなかで立っているマスターと、座っている私たちとが同じ目線なのです。
大きめにつくったカウンターはゆったり座れて、それだけでも居心地のよさがわかります。
立ち仕事のマスターが、同じ目線で話をすることで、なんともいえない心の通い合いもあるのです。

働くものの誇りを感じる瞬間です。こうした発見は、訪問活動の醍醐味でもあります。
「こだわったお店ですね」
マスターの笑顔が輝きます。

昼過ぎにお店を出て、平塚市内での活動は終了。
「しんぶん赤旗」の読者を広げることはもちろん、とにかくどんな対話も私の糧になります。

東京に戻るころには雨は本降り、そして帰宅するころには雪に。
積もるかな、と喜ぶ子どもたち。
積もったら大変だな、と心配になる大人たち。
立春前の初雪。
やっぱり今日は寒かったんだな、マスターのコーヒーがおいしかったわけだ。