コラム
【09.09.27】タクシーの台車規制への道のり
日の丸自動車労働組合の定期大会にて
タクシー業界の大手、日の丸自動車。
運転手のみなさんのなかには顔なじみの方が何人もいらっしゃいます。
仕事を休んでの宣伝カーの運転に、どれだけお世話になってきたことか。
開会のあいさつの冒頭は「明けの方が大勢いると思います。ご苦労様です」とねぎらいの言葉。
労働組合の大会にでるために、日中をあけるシフトをくめば、夜中、車に乗ることになるでしょう。
労働者の団結力、気概を、こういう瞬間に実感します。
来賓席で、居住まいをただして、心して参加しようと崇高な気持ちにもなります。
あいさつでは、10月1日から施行される「タクシー規制強化法」(タクシー活性化特別措置法)への言及があいつぎました。
「構造改革」への反撃の象徴ともいえる運動の成果です。
タクシーを何台増やそうが、新しい会社ができようが、政治は関係ない。
自由な競争でこそ、タクシー業界は活性化する、というのが2000年の台車規制撤廃。
駅前にできるタクシーの長蛇の列、不況で客足は遠のくばかりなのにタクシーは増え続け、出来高制に近い労働条件では、タクシー運転手の収入は激減。
私がタクシーをつかうのは、駅から目的地の短距離がどうしても多くなります。
1000円こえるかどうか、この距離で乗るのは申し訳ない気持になります。
長蛇の列で順番待ちして、やっと乗った客がワンメーターでは…
「ごめんなさいね。こんな近い距離で」と思わず口にしてしまいます。
生きるためには車に乗る時間を増やすしかない、在職死亡者や、過労による交通事故も増えていく実態を、タクシー労働者の組合は粘り強く訴え続けてきたのです。
そして、今年6月「規制強化法」が全会一致で可決。
2000年の規制緩和に反対したのは、議会のなかのわずか10%の議員。
私たち日本共産党と社民党だけでした。
それが、9年後にはすべての議員が事実上、規制緩和の誤りを認めることとなったのです。
それまでにどれだけの運動と、どれだけの労働者の犠牲があったか。
交通事故を考えれば、タクシー労働者だけでなく、事故にあわれた方々の犠牲もそうです。
本当は犠牲をつくりだしてからでは遅い。
だから、ここからの社会は、少なくとも命の犠牲を未然におさえることに真正面からとりくむべきなのでしょう。
「ルールある経済社会」への一歩が、「タクシー規制強化法」で現実になることを心から期待しています。