日本共産党 田村智子
コラム

【09.09.15】『青い鳥』がマイブームです

重松清さん原作の映画

今朝、レンタルビデオを返却してから電車に乗りました。
総選挙後、2度も借りたのが『青い鳥』。
アニメのビデオ以外は、2度借りることはまずなかったのですが…。

最初は息子にみせたくて私が選びました。
2度目は、「もう一度ゆっくりみたいから借りてきて」と息子からのリクエスト。
映画(ビデオ)に触発されて、原作本も読んでいるようです。

中学校を舞台に、いじめ、疎外感等、揺れる思春期の子どもの姿が深く描かれています。
原作本は、短編集です。
吃音でうまくしゃべれない村内先生が、子どもにひたすらよりそう姿が、子どもの視点から描かれています。

あらためてビデオでみて、この映画の「静けさ」に感じ入りました。
村内先生は本当に大切なことしか話しません。だからせりふが極端に少ない。
さらにバックミュージックがほとんどない。これが本当に新鮮でした。

映画館に行くたびに、大音響の音楽が場面をもりあげることになれっこになっていました。
音楽がはいらなかったら、間が抜けるのでは、と思えるほど。
『青い鳥』は教室のざわめき、グラウンドに響くかけ声、風や雨の音が、静かに響くのです。画面でも無言の村内先生や生徒の表情が秀逸。

だからでしょうか、ラストで流れる曲が耳から離れなくなります。
我が家ではこの曲を誰かが口ずさむ日が続いているのです。
「だいじょうぶ そんなに弱くない 右手なんかいらない あふれちゃうから…」
まきちゃんぐ という歌手の「さなぎ」という歌。う〜ん、いいなぁ。

いじめが原因で自殺未遂をはかったクラスメイト。
転校した彼の机は物置に片づけられ、「再生」の文字が掲げられた学校。
休職した担任の代替として赴任した村内先生は、彼の机を教室にもどし、毎朝「おはよう」と声をかける。

おお声は出さず、本当に大切なことしか話さない、生徒の本気の声には本気でこたえる、
こういう先生が学校にいてほしいと、切実に思えてきます。
この映画、学校の先生、とくに管理職の先生にぜひみてほしい。

何か問題が起きれば「反省文、5枚以上」「教師全員で点検しましょう」
提出が終われば「反省した」と問題そのものがなかったことになる。
それでいいのかと、痛烈な、でも静かな批判にみちているのです。

学校や大人の在り方を考えさせられるだけでなく、「話さない」村内先生の魅力が私には痛いほどです。
私は話しすぎるのかな、とわが身を省みたり、本当に大切なことを本気で話す人になりたい、と思ってみたり。
村内先生のような政治家、これは私の目標になるかもしれない。

「準新作はレンタル料金が高いんだよ」と、これまで見向きもしなかったのに、
2度も借りてしまったこの映画、ほんとにおすすめです。