日本共産党 田村智子
コラム

【09.09.13】学生に未来社会の展望を語る

講師活動はやるたびに発見が・・・

母校の早稲田大学の学生党員から「未来社会論を学習するので講師をしてほしい」と依頼があったのは10日ほど前のことだったでしょうか。

学習会の講師をひきうけると、何がなんでも学習しなければならない状態に追い込まれます。
時々、これをやらないと集中して文献を読み、理解し、という作業から離れてしまいがち。
もっとはっきり言えば、なまけて癖が出てしまう。

選挙が重なり、じっくり文献を読んで考えることから離れていました。
この依頼はいわば絶妙のタイミング、即答で「やりましょう!」。

日本共産党は、①大企業いいなり政治から抜け出して、大企業の「利潤第一主義」を政治的なルールで規制すること、②日米安保条約を廃棄して軍事同盟から平和と友好の国際関係をつくる、という日本改革をめざしています。

そしてその先に、資本主義体制をのりこえて社会主義・共産主義をめざすという立場をとっています。
なぜ、資本主義から抜け出すことが必要なのか、
未来の日本社会をどう展望するのか、
これが今回の学習会のテーマです。

何をテキストに、どんな組み立てで話すか…これを決めるのに一苦労でした。
不破哲三さんが精力的に研究してまとめた文献が何冊もあります。
『古典研究 マルクス未来社会論』や青年向けの講演を読み直して、私はどう語るんだ?と、数日、夢のなかでも骨子を考える状態が続きました。

結局、2004年1月の23回党大会での綱領改定の報告をテキストにしました。
綱領改定案が発表されたのは、6年前くらいになるでしょう。
あらためて精査するように学んでみて、6年前にどこまで理解していたのかな、と反省してしまいました。
やっぱり自分が責任をもって報告する立場で読み、内容をつかまないといけないんですよね。

資本主義とは何か、旧ソ連の体制はなんだったのか、
「生産手段の社会化」(社会主義社会の建設の中心課題がこれです)をしなければ乗り越えられない資本主義の矛盾は具体的にどうあらわれているのか、
生産手段が社会化されることで、社会はどう変わるのか等々。

なかでも理解が追い付いていないと実感したのは、「生産手段の社会化」によって人類の本史が始まる、という展望。
人類の本史ってなんだ? から始まって、学びなおしました。

学生のみなさんと時々、意見を出し合いながら、もちろん休憩もとりながらでしたが、約4時間の学習会となりました。
「壮大ですね」「面白かった」「経済学をもっと学びたい」
「科学的社会主義の立場、こんなに人類を信じていいの?というほど、人間の理性への信頼にもとづいているんですね」

4年前の党大会も、今の学生のみなさんはまだ日本共産党との接点はほとんどない時代になります。
綱領改定案を当時討論した若者たちも、私たちが目指そうという社会のスケールの大きさに感動し共感し積極的な討論が積み重ねられたことを思い出しました。

学ぶ意欲をかきたてられている学生の姿は本当にうれしい。
そして私自身も「学んだ~」という実感があります。これは快感です。
だから講師活動はやめられない。

一番の快感は、夢で学習内容をなぞらずに、頭がからっぽの状態で眠りにつく瞬間かもしれませんが…。