日本共産党 田村智子
コラム

【09.05.14】池袋で「派遣村」

途切れることのない相談の列

 
11時から3時間の「青空相談」、そのラスト1時間に参加しました。
豊島区役所のすぐそばの公園、露店のような白いテントが相談会場です。

机をはさんで熱心に話す人の列がずらり。
相談を受けるみなさんの眼差しの真剣さが、離れたところからもよくわかります。

医師として参加する谷川智行さん(衆院比例予定候補)の白衣が目にまぶしい。
そのすぐそばで、身を乗り出すようにして話をきいている吉良よしこさん(豊島区の都議予定候補)、隣には共産党の豊島区議が何人も。

「ご苦労様です。大勢相談にみえてますね」と実行委員の方に声をかけると、
「朝は周辺で宣伝をしてよびかけましたから、開始時間の前から待っている人がいたんですよ」

「仕事をなくした人が多いんでしょうか」
「日雇い派遣でしのいでいた人が、仕事にあぶれ始めている感じですね」

昨年末から予想できたことです。
それでも「派遣切り」をとめることもなく、「日雇い派遣」への対策をとることもなく、住まいを失った人に対応するシェルターをふやすこともなかった。
補正予算でバラマキ予算、大企業減税に興じている麻生内閣に、心底からの怒りがこみあげます。

終了時間間際に、一度区役所に生活保護申請に行った男性が、目を赤くして戻ってくるというハプニングがありました。
福祉事務所の職員に、家族のことを聞かれ、家族と連絡をとられることを知り、「それならもういい」と飛び出したそうです。

涙をタオルでぬぐう男性に、事情をもう一度聞いてみると、
「家にいたら家族の暴力にあう」
「自分の居場所がわかったら何をされるかわからない」

NHKの番組で、ホームレスが路上生活から居住地をもてるように支援する活動を追ったものがありました。
「ホームレスのホームとは家ではなく家庭」という主旨のことを支援する男性が語っていました。

私も街頭相談で何度もそのことを感じてきました。
絆が断たれた現状がどこからつくられていくのか、
一人の人間の人生のあらゆる場面で問いかけていかなければならないような気持ちです。

「路上生活でいい」と言う相談者の方に、私も話しかけました。
「家族の暴力のことも話して、身の危険さえ感じるから、自分の居所は絶対に知らせないでと話しましょうよ」
路上生活でいいなんて、ほんとは思っていないのです。
それでも、こう言ってしまう悲しさ。

最初から相談にのっていた生活と健康を守る会の方が、もう一度同行して、男性は区役所に向かいました。

この場所に、街頭で出会ったWさんという女性をさそっていました。
以前、ある駅前で街頭演説をじっと聞いていた女性、それがWさん。
演説を終わって話しかけると、自分が解雇されたいきさつを涙を流しながら話し始めたのです。
相談にのっていくなかで、「自分も何か手伝いたい」と言ってくれたのです。

20歳と娘さんと一緒に、夕方の共産党の宣伝行動にも参加してくれたとか。
悔しい思いをした人たちが、不正義に怒る人たちが、しっかり連帯すれば行動の輪はどんどん広がっていくのでは。

私たちの街頭相談は、「お助け活動」ではなくて、社会を動かす一つの力なんだと、
行動を重ねるごとに実感しています。