日本共産党 田村智子
コラム

【09.05.11】私と小沢代表、二つの記者会見

保育の政策を発表しました

「保育所に入れず仕事をやめざるをえない」
「子どもを家において働きに出ている」
保育所への入所申し込みが急増した昨年、事態はますます深刻になっています。

すぐに政治の責任で待機児童の解決に向かわなければと、日本共産党東京都委員会として政策発表を行なうことになりました。
あわせて、党都議団が都内の全自治体に問い合わせた待機児童調査も発表。
夕方から都庁での記者会見となりました。

打ち合わせを終えて、会見場に向かおうというとき、
「民主党の小沢代表が辞任の記者会見をする」との知らせがきました。

「とうとうやめるのか」「国民の批判の前に追い込まれたね」
「これで疑惑にふたをするのでは許せない」
「解散ぶくみの政局だね」
会見場に向かいながらの会話です。

「こっちの記者会見がちゃんと報道されるかな」
それが悔しい。
センセーショナルな「事件」はマスコミの報道を根こそぎもっていってしまいます。
そのかげで、どれだけの大切な問題がとりこぼされてきたか…。

気持ちをひきしめて記者会見が始まりました。
回答のあった自治体の数字から、今年の半ば(10月頃)には、保育所に入れない子どもは都内で1万5000人にのぼるのではと推計されます。

こうした調査結果を吉田信夫都議が発表し、
事態打開への私たちの政策を私が話しました。
「認可保育所の増設で1万5000人の定員増を」
「なかでも公立保育所の役割を重視し、増設への補助金を創設する」

革新都政、日本共産党が東京で与党だった時代、保育所は次々つくられました。
12年間で779箇所、そのほとんどが公立の保育所。
定員100人という保育所が主流でしたから、定員は約7800人増えたと思われます。

対して、石原都政の10年間。
認可保育所の定員は1500人しかふえなかったのです。
待機児童が増え続けていたのに、なんということでしょう!

この発表を通じて、保育の問題をおっかけて報道する記者がいてほしい、
そんな願いもこめての記者会見でした。
その後の打ち合わせを終えて、都庁をあとにしようかと時計をみると、5時少し前。
「ここで小沢代表の記者会見をみていっていいですか?」と私。
都議団の会議室に、次々に人が集まりました。

なんという会見でしょう。
辞任するのは、マスコミが献金疑惑をつついて民主党の足並みを崩したから、とでもいいたいのでしょうか。
「政権交代のため」「挙党一致のため」「身を捨てる」――あきれて言葉もでません。

記者からの質問も、献金疑惑につっこんだものが出てこない。
そのなかで女性記者の質問に、小沢代表が色めきました。
「議員辞職はしないのか」
「なぜ辞職しなければならないのか」
「献金問題で検察当局とたたかうというのなら、そのことに専念すべきでは」(という意味の質問だったと思います)
「説明責任は果たしている」

この間、小沢代表のふるまいは突然そわそわしたようにみえました。
そして「あなたはどこの会社?」と小沢代表。
石原都知事と同じだと、都議のみなさんから声があがりました。
都合の悪い質問をする記者を脅すやりかたです。

勇気ある女性記者に拍手を送りたい気持ちでした。
そして、彼女に続いていこうという記者がいないのがなんともふがいない。
国民から批判があがったのは、政権交代を叫ぶ民主党の党首が、巨額の企業献金を受け取り、それが政治腐敗につながっている可能性が大きいからではなかったのか。

小沢代表の機嫌をとりながらしゃべらせよう、という雰囲気がテレビを通じても感じられる中で、一石を投じる質問が出たことには救われました。
相手の痛いところと突いて、本音を引き出す、本質を暴く、
難しいことかもしれませんが、それを期待したい。
私たちが記者会見をするときも、意地悪な質問でも食いついてほしい。

明日、どんな記事が掲載されるのかが楽しみです。