日本共産党 田村智子
コラム

【09.05.10】今日は「母の(がんばる?)日」

女性たちの宣伝と息子の試合と・・・

新学期が始まる前から、珍しく私の手帳にこの日の予定が書かれていました。
「剣道ブロック大会」――中学の剣道部の都大会予選です。

この1・2年ほど試合があるとわかったときには、すでに仕事の予定が書かれていた手帳。
気にしていない様子の息子に助けられていたのですが、
「う〜ん、これでいいのかな」と悩んでもいました。
そこで、思い切って年間の試合予定をまず手帳に書き込んでみたのです。

仕事は夕方に入れることにして、朝から「母」としてがんばりました。
朝7時集合にあわせて弁当をつくり、「応援にいくからね!」と送り出し、
洗濯物だけほして、会場から仕事に向かえるようにスカート持参でいざ出発!

野球やサッカーと違って、剣道の応援は大半の時間は「待機」です。
息子の中学の出番まで、息子の友人がいる学校を応援したり、見ごたえのある試合には目を見張ったり。

そしていよいよ出番! だったのですが…。
予選突破ならず。おまけに、息子の試合内容が…。
剣道やってるわけではないから口出ししてはいけないのだろうし、がんばらなかったわけではないだろうし、それにしても…。

「仕事があってすみません」
一緒に応援していた父母の方々に声をかけて会場をあとにしたのですが、
どうにもやりきれない気持ちです。

これまで何度か試合をみて、たとえ負けた試合でも「がんばったな」と感動する試合はいくつもありました。
相手の方が明らかに強い、それでもまっすぐに向かっていった試合は、わずか1分足らずで終わってもその姿勢に胸が熱くなったことも。
今回はそれがまったくない!!!

思春期の入り口、「まっすぐ」だけではない色々な思いがあるのかも。
緊張しすぎて身体が動かなかったのかも。
道々、そんなことを考えずにいられなかったのです。

団体戦の試合だからこそ、自分を奮い立たせてほしかった。
チームを燃え立たせるような気迫がほしかった。
初めてのことですが、息子のほっぺたを一発パシンとやりたいような気持ちさえわいたのです。

中学の部活に入って、色々な悩みもあったようです。
学校選択制で、小学校時代からの剣道仲間は、もっと剣道の強い学校に入り、
「自分もそっちの学校に行っていれば」という言葉も何度も聞きました。
もやもやしながら部活動をしていることを感じて、昨年1年、励ましたりなだめたりもしました。
そういうことが試合に出てくるのかしら。

もやもやした気持ちをふりきって、いざ女性宣伝へ。
「母の日」はやっぱり母ががんばる日。
朝からずっと女性たちが宣伝カーをまわして、新しい政治の実現へとよびかけを町に広げていました。

葛飾区の都議予定候補、和泉なおみさんと一緒に、私も金町駅に立ちました。
和泉さんが話しかけるように演説する姿は勉強になりました。
私はマイクを握ると気持ちが高揚してしまうのですが、
「耳に届く」より「心に届く」ような演説を横で聞いていて、素直に感動しました。

この宣伝の影響もあったのか、帰宅する頃には気持ちも落ち着いて、
息子に対しても「耳に届く」だけの言葉を吐くのはやめようと思えました。

「元気がなかったけど、どうしたの?って、みんな心配していたよ」
自分の言葉でないのはちょっと卑怯かな、と思いつつ、剣道についての母親からの言葉には反発するのがわかっているだけに、剣道仲間の声を伝えてみました。

そして小学生の頃から慕っている剣道の先生の言葉を伝えてみました。
「大樹のいいところは、まっすぐな気持ちで剣道しているところだって」
「中学で、そのいいところが傷つかないといいのだけどって心配もしていたよ」
いつもは反発する息子は、「俺のいいところって?」と逆に聞いてきました。

「もう一度、ひたすらに、まっすぐに、でやってみない?」
何か考えているような表情の息子。
親の思いや期待通りにはいかないでしょうけれど、でも、私の気持ちは「まっすぐに」伝わったようにも思えました。