日本共産党 田村智子
コラム

【09.02.25】相談活動とは「勇気」を広げること

ベテランの区議さんから学んだこと

2ヶ月近く「住まいを得る」ために相談をしていたHさんから、今朝、こんなメールをもらいました。

「昨日のご相談に、Sさんから力(パワー)を頂いた気がします。私も崖から落ちる訳にはいかないのです。私も諦めず、粘り強く交渉をして行く気持ち、新たな決意をしました」

昨日の相談というのは、Hさんと私と、都内の党区議(Sさん)、地域の生活と健康を守る会の方との話し合いです。
その場は、私にとっても大切な場になりました。

Hさんと東京チャレンジネットに行き、ある福祉事務所に行き、制度の壁につきあたっていた私。
でもSさんと話し合っているうちに、制度の壁をこじ開ける努力をどこまでしたのか、
こじ開ける力をHさん自身が持てるように助言していたか、
あらためて考えざるをえませんでした。

「こういう方法もあるのではないか」
具体的なアドバイス、情報収集をしながら、そのための手立てを請け負うことはしない。
生活保護申請も、その他の支援策も、それを利用して自立するのは「あなた」
「あなたが自分で立ち向かって、制度の運用を改善させる、そうすればあなたの仲間たちにも、こうすれば道は開けると、あなたが広げることができる」

私はこれまで「諦める」ことはしませんでした。
けれど「この制度がダメなら、こういう制度はどうか」「区議の力や都議の力を借りたらどうか」、そんな手立てのことに振り回されていたように思えました。

「自分の力で住まいを持ちたい」と、根っこのところで思っているHさんの力を引き出すのではなく、自分や党の関係者の力ですすめようとしていたのではなかったか。

生活保護は、「面倒見てあげる」制度ではない、そのことを頭ではわかっていたつもりでした。
「健康で文化的な生活を営む権利」が誰にでもあり、その権利行使のためにつくられたのがこの制度。
「自分が住居をもって、健康に生きていくんだ」そのことを福祉事務所で堂々と主張する力をHさんはもっているはずでした。

「自分の力」で生きてきた、ネットカフェであろうと、友人宅であろうと、今日まで死なずに生き抜いて、ほぼ毎日働いて、社会活動に参加もしてきた。
そのことを何度も話をして、何度も実感してきたのですから。

生活・労働相談は、困難を乗り越えて生きていくことを応援する活動なんだと、はっきりわかりました。
もちろん、相談者が疲れきっていて、すぐに「命を守らなければ」ならない局面もあるでしょう。
けれどその窮地を脱したなら、相談者の中に「生きる力」「勇気」を、制度の壁さえ突き動かすパワーを培うことはできるのです。

「立ち上がるあなたを全力で支援する。困難があれば、一緒にのりこえる。決して一人にはしない」
それが私たちの本当の立場。

その「勇気」が幾重にも広がったとき、制度の本当の改善、政治の変革さえも実現するものになるのでしょう。
これからの相談活動への意欲が深い深いところからわいてきます。

「自分の力」の発揮を決意したHさん、さっそく自ら動き始めています。
住居喪失という最も難しい分野で、新しい可能性を切り拓く、この挑戦の意味の大きさは、考えるほどにすごいものです。
当事者の力こそが現状を切り拓く、このことに気づかせてくれたHさんに心から感謝しています。