日本共産党 田村智子
コラム

【09.01.27】「障害者自立支援法は廃止して」

都内2ヶ所の施設訪問

最初に訪問したのは鶯谷駅のすぐそばの商業ビル。
「ビルの中の施設は初めてですね」、同行した台東区議の橋詰あつしさんに言葉をかけると、「都心に近いところは珍しくないんですよ」とのこと。
東京独自の問題を再認識しました。

広いフロアには20人ほどの利用者の方が、静かにチラシ折・袋詰めの真っ最中。
静かに流れるオーケストラの演奏が心地よい…。
うつ病など、精神障害の方の社会参加の場がこの施設の役割とのこと。

説明をしてくださった施設長さんは私よりも若い女性。
思わず「どうしてこの仕事を?」と質問してしまいました。
大学で精神医学を学び、教授から「現場で学んでみないか」と紹介されたそうです。

利用料は無料、昼食は持参か施設内でのグループ自炊(外で食べる人もいるそうです)。
このゆるやかな運営が、人とのつながりや社会とのつながりをつくるのが難しい方々にとって大切なのだと実感しました。

会社に就職した方が土曜日に訪ねてきて、会社であったことを話していくこともあるそうです。「愚痴が多いんですけどね。でもそれが、仕事を続けるうえでは大切なんです」
会社では文句は言えない、家でも「わがままだ」とか「それならやめてしまえば」と言われてしまう。
ここならわがままと思えることもまずは口に出すことができる。

場合によっては、「こんなことを言ってましたよ」と会社や区の就労支援担当に伝えることもあるそうです。
「そういう連携は、これからつくっていくところですが」

自立支援法の枠外となる施設ですが、現場の知恵がたくさんつまっています。
行政に求めることは?――今受けている補助金の枠が小さくなることのないように。
「後ろ向きなんですが、それが率直なところ」と施設長さん。実感だと思います。

午後はいくつかの施設を運営している社会福祉法人の所長さんにお話を聞きました。
「ちょうど、利用者さんの家族が何人がニュース折をしているところなので、話を聞いてみますか?」――願ってもない展開です。

「押しかけてすみません」
年配の女性が3人。手際よくニュースを折っていました。
作業しながらでも、と思っていたのですが、みなさん片付けて話をしてくださいました。

「自立支援法は廃止してほしい」
重度障害の方は、都の手当てがあるために収入が多いとみなされ、これまで利用料徴収の対象外だった方が月1〜2万円の負担増。
「障害者年金があるじゃないといわれるけれど、親が死んだあとどうなるか考えれば、少しでも貯金してあげたい」

お話を聞いたのは、グループホームの施設。
「グループホームを利用するようになってお子さんはどうですか?」
「とても楽しく生活していますよ。これまでは、日中の作業所でも怒られ、家ではお母さんに怒られ、いやになると言ってましたから」
親元を離れたことで、精神的に自立することも実感されているそうです。

「ただ、この先のことを考えると…」
心配されているのは「成人後見人制度」のことだそうです。
子どもさん2人が障害者というお母さんは、昨年2人それぞれに後見人をお願いしたそうです。その費用が一人あたり約10万円。

私も初めて実態をお聞きしました。
自立支援法だけでなく、障害者のみなさんの人生をどう支えるのか、様々な問題があることに気づかされます。
「勉強不足ですみません。私たちも調べてみますね」

現場から学ぶことがたくさんの一日でした。
今年の「自立支援法見直し」は、選挙の結果によっては「自立支援法廃止」に道を拓くことができます。
どういう制度が必要なのか、もっと現場から学んで、実現を目指すときですね。