日本共産党 田村智子
コラム

【09.01.18】新宿駅前で街頭労働相談

2時間で6人もの深刻な現実に直面

 
東京の共産党と民青同盟のメンバーで「街頭相談」を企画しました。
昨日は渋谷ハチ公前、今日は新宿駅東口。

東口は歩行者天国もあって、ショッピング・待ち合わせの人が西口よりも多いところ。
家族連れ、カップル、若い集団など、「相談事なんでも」と声をかける相手ではないかな、と思える人の流れです。

けれど行動開始直後、大きな紙袋をもった男性が目に留まりました。
「相談事があったらどうぞ」声をかけてチラシを渡すと、「仕事を首になったんです」
所持金は115円、食事をしていないのでくらくらする…

そこまで聞いて、私はとりあえずの買い物に走ってしまいました。
温かいものをなにか…。
自動車関連の会社の「派遣切り」、住まいを失い、都内を点々としていたそうです。

午後1時から3時までの宣伝行動で、「仕事を失い、住む場所を失った」と相談に来られた方は6人にのぼりました。
宣伝途中でよせられた募金で、カップ麺とおにぎりが急遽用意されました。

昨年までの私たちの街頭相談は、「残業代は払われていますか」「給料は充分ですか」「納得のいかない働き方をしていませんか」というものでした。
それが、驚くような様変わりです。

「路頭に迷う」、いいえ、人間が「路頭に放り出されている」。
なんでこんな事態が放置されているのかと、腹の底から怒りがわいてきます。
朝の政治討論番組では、「2兆円の給付金」をめぐって議論がされていましたが、与党は、この事態をわかっているのかと、苛立ちさえ感じます。

宣伝している私たちも経済的に余裕がある立場ではありません。
でも、今日の食事も寝るところもままならない方たちを目の前にして、放っておけるわけがないのです。
みんなで募金を出し合って、一晩、せめて暖がとれるネットカフェで過ごしてもらうことになりました。
そして、月曜日、区役所で生活保護申請を一緒にしようと。

街頭でよびかければ、責任を負い切れるのかと思うほどの深刻な相談がよせられる。
相談活動をしなければ、その人たちの姿を知ることさえできない。

私たちの活動は相談を「拾い集める」ことではありません。
一つひとつの相談に、何か力になれるよう努力するだけでなく、この現実を国や東京都につきつけて、せめて住まいを、せめて食事をと、緊急の対策を求めていくものです。
私たちが苦しい立場の方々を目の前にして「どうしたら」と考えるのと同じ事を、国や東京都、自治体でやってほしい。
この異常な事態を、これ以上広げないよう最大限の努力を求めたいのです。

昨日、東京チャレンジネットに一緒に行ってくれた、ネットカフェ暮らしのHさんからメールが届きました。
長い文章の最後にこう書いてありました。

「今、何万人もいる派遣やネット難民に笑いや元気が出た時、もの凄く計り知れない力(活力)が生まれると思うのです。今の派遣ネット難民の大半が20代〜40代。これから日本を背負う未来じゃないですか!生意気かもしれませんが…私は声を大にして言いたいです。人間として生まれた以上生きる権利はあるのです。『みんな日本が大好きで…日本に生まれて良かったと思いたいのです』」

仕事がなければ野宿、「崖っぷち」という彼の毎日。
心からの叫びに、私はどう答えられるのか。
この現実を知らせて、叫びを届けて、固い固い扉であっても何がなんでもこじあけなければ。

若者たちの笑顔と元気が日本の活力、その通りです。
重い気持ちになりがちな相談活動でしたが、「笑顔プロジェクト」になるよう、がんばっていきましょう!