日本共産党 田村智子
コラム

【08.06.17】「学費の壁」を突き破る

早稲田大学の学生たちが学習会

久しぶりに早稲田の駅から本部キャンパスへ。
町の変わりようは、何度か町を宣伝カーで回ったときに感じていましたが、
キャンパス内も「変わったな〜」とつくづく感じます。

サークル部室があった法学部の建物(8号館)。
地下にベニヤなどで仕切った部室が、ありの巣のように雑然とあったのですが、
今は地下がありません。
正門正面の大隈重信像。80年代は、銅像まえには立て看板がひしめいていたのですが、
今は禁止されているのでしょう。すっきり、なんにもありません。

立て看板は建物にそって整然と並んでいて、
大学当局の「きれいなキャンパス」にしたいという意図が伝わってくるようです。

昔を懐かしんでいても仕方がない、早稲田に来るたびに思うのですが、
それにしても、なんだかこじんまりさせられているようで、一抹の寂しさは抑えられませんね。

向かった先は10号館。
学費問題の学習会の会場です。

早稲田の民青同盟の後輩たちが、2日間で200人の学生から集めたアンケート。
学費が高すぎる、家族や友人が進学をあきらめた、アルバイトで身体がくたくた、生活費も大変で水道を止められた、等々。
看過できない事態が当たり前になっていることに驚きます。

それでも多くの学生たちが「大学に入ったのだから仕方ない」と思わされている現実。
若者の人生、家族の人生が、高学費が原因で傷つけられている、
これは異常な事態なんだ!!!と、話しているうちに、私も怒りがめらめらと燃えてきました。

それにしても、200人からアンケートを一気に集める、というとりくみには驚きました。
私たちも、学生時代、学費問題で運動をしましたが、アンケートで広く学生の声を聞くという活動は、私自身はとりくんだ覚えがないのです。

学費値上げをどう考えるか、クラス討論を悪戦苦闘しながらやって、
クラスでの反対決議をあげて、という記憶はよびがえってきましたが、
あの時代は今の授業料の半分以下だったと思います。
くらしの切実さよりも正義感が先走っていたでしょうか。

学費問題から日本の政治、社会のあり方を大きく考えたい。
そういう私の思いは学生のみなさんに伝わったでしょうか。
時間がたりなくなって、質問にこたえることがほとんどできなかったので、
学生のみなさんとは、このHPのなかで後日質問にこたえることを約束しました。
メールで届き次第、このコーナーでこたえますので、またぜひ見てください。

この学習会の前後で、数人の学生の親しく話をする機会をもてました。
「早稲田に入ったのはなぜ?」という私の問いに
「戦争の問題に関心があって、法律と戦争のことについて学んでみたいと思った」
「福祉のことを学びたかった」
それぞれこたえてくれた上級生。
「民青に入って、本音で話ができるようになった」
「自分の意見を言えない、周りに流される自分を変えていきたい」
と話してくれた1年生。

なんだか胸が熱くなりました。
学ぶ目的がなかなか見えないまま、とりあえず学生生活をスタートさせたかつての自分の姿が、なんとも頼りなく思えます。

学生生活の4年間は、振り返ればとても短い時間です。
けれどそのなかで体験した、それまでの18年間とは比べられないほどに、人生に与える影響は大きかったように思います。
自分に向き合い、周りとぶつかりあったり、影響しあったり。
彼ら彼女らの学生生活が、どんなに人間の成長をもたらすか、
とても楽しみになってきました。

同時に、彼らと民青のこと、日本共産党のことも語り合いながら、
自分もまた、成長の過程であることをあらためて認識させられました。
10年後、20年後、私たちはどんな時代にどんな人生を歩んでいるのか、本当に楽しみです。