日本共産党 田村智子
コラム

【08.05.29】「派遣で働いてからは転落の一途」

登録派遣のSさんとの出会い

「ぜひ日本共産党に入ってほしい人がいる」と、日野市の奥野りん子市議。
ちょうど日野市で行動していたので、私も渦中の人、Sさんの家に連れて行ってもらいました。

41歳、私と同世代です。
男性の一人暮らしの家に上がりこむわけにはいかず、近くのファミレスへ。

Sさんは自分の履歴書のコピーを示しながら、人生の一端を話してくれました。
正社員として働き、ステップアップをと転職。
ところが酒気帯び運転の車にぶつけられて、約1年の治療・リハビリを余儀なくされます。

その後は正社員での働き口がみつからず、派遣、契約社員、登録派遣へ。
「転落の一途」とはSさんの言葉です。
この2ヶ月、仕事がほとんどなく、収入月5万円。

話していても、Sさんが努力家、勉強家であることがよくわかります。
職場のなかでは、「頼りになるお兄さん」というイメージ。
ところが、正社員をめざす働き方がわかると、逆に「やめさせよう」という対応になる会社もあったと言います。
無理な夜勤のシフトに組み入れ、残業代もほとんどなし。
「ここで働いても、正社員にはなれないよ」という暗黙のメッセージ。

派遣会社の無法も、いくつもの書類を示して告発するSさん。
交通費はしつこく要求しなければ払われない、若い派遣社員のなかには、そこまで主張する気力がなく、泣き寝入りするケースが多々あったといいます。

ビル清掃、建設の現場では、朝食をとらずに働き貧血で落下する労働者の姿も。
「とにかく何か食べろ」と、若い人たちにおにぎりを買って渡した、そうしなければ命に関わる――聞いていて涙が出そうになります。

Sさんは、決して希望を失っていません。
理不尽な政治や社会のあり方を追及する目をしっかりもっているからだと思いました。
元来、勉強好きだったのでしょう。
図書館で派遣労働の問題の新聞記事をみつけては資料として集め、
歴史や政治の問題も、いくつもの本を読んで勉強しているようでした。

「あなたの一人の戦いではなく、連帯して世の中を変えたい」
「政治の変えるために、あなたの理念と重なるのなら、党に入ってほしい」
私たちの呼びかけも真剣な目で聞いてくれました。

若者たちが立ち上がり始めた、その一端を目の前で感じることができました。
Sさんが示してくれた資料は、これからの私たちの運動にも力になるものでした。
一つの告発が、鎖のようにつながり、網の目ように広がっていくのです。