日本共産党 田村智子
コラム

【08.05.22】「白金はすててこで歩ける町」だった」

路地裏から高層マンションまで訪ねました

 
港区白金、地元の星野たかし区議と一緒に歩くのは何度目でしょうか。
ここに来るたびに、高層マンションをまぶしく見上げてしまいます。

港区は来月早々に区長選挙があります。
今日、訪ねた先々で「高層ビルばかりの街づくり」への疑問の声が聞かれました。

白金も「シロガネーゼ」と騒がれ、高級住宅街と宣伝される。
でも、町を歩けば昔ながらの商店街があり、路地裏があり、町工場が何軒かがんばっていることがわかります。
そういう昔ながらの家が軒を連ねる場所は、なんだかほっとします。

わずか10年ほどで、そんな路地裏や商店街が高層ビルに見下ろされるようになり、
さらに今度は、高層ビルに取り囲まれる場所になるかもしれないのです。

今日は、高層マンションのなかに入る機会もありました。
もともとの住民の方で、再開発で土地を提供せざるをえず、代替としてマンションに入居したという方。

インターフォンで許しをもらい、エントランスへ。
目を疑いました。
大理石のような石をしきつめた床はみがきあげられているようにさえ見えます。
ホテルのロビーのようなソファのセット、ゆったりカーブをえがく広い階段。

エレベーターも階を表示するボタンが3列(それでも途中階まで用のエレベーターです)。
エレベーターをおりると絨毯が敷かれた廊下が、しんと静まり返っていました。
ホテルの部屋にチェックインするような気持ちになります。

訪ねた先は80歳をこえる方。
「まあ住んでしまえば慣れるよ」とにこやかに迎えてくれました。
でも気軽に外出はできないのでは?と、おせっかいな心配をしてしまいます。

ここに住んでいても、後期高齢者医療制度や年金がどうなるかの心配は町場のみなさんと同じ。
「年金を小遣いにして、と思っていたけれど、そうもならないね」

そんな話を終えて(「赤旗しんぶん」の購読もおすすめして)、1階におりました。
エントランスをじっくり見ながら外へ。

自分がここに住むとしたら、とちょっと考えてみました。
子どもの友達は気軽に遊びにこれるのだろうか。
このエントランスを子どもが駆け回るなんて想像もできない。(わが子でなくても、です。)
どんな子育てをすることになるのだろう?

まだ入居が始まって間もないマンションですから、
コミニュティをどうつくり、深めるかは、住民のみなさんや近隣のみなさんの課題となるのでしょう。
けれど、こういう「家」をつくる側に、「暮らし」の実感があまりに乏しいように思えて仕方がないのです。

「サンダルばきで、ちょっとおつかい、なんて、できないですね」という私に、
「ちょっと前まで、すててこで歩ける町だったんですよ」と星野区議。

そういうコミニュティを壊して高層ビルの街がつくられている、
「白金」という街の名前を「高級」にしたかったのは誰なのか、考えずにはいられません。