日本共産党 田村智子
コラム

【08.05.02】住宅セーフティネット法は力になるか

国会で国交省の説明を受けました

 
連休まっただなかの国会は、なんだか閑散としています。
ガソリン税の大騒動のあとの静けさ、いえ嵐の前の静けさでしょうか。

こういう日は、調べごとをするのに最適です。
以前から国土交通省に直接聞きたいと思っていた「住宅セーフティネット法」。
笠井亮衆院議員の秘書さんと一緒に勉強しました。

昨年7月、全会派が一致してつくった議員立法。
参院選直前だったこともあってか、こういう法律ができたことは、その当時、知りませんでした。
若者雇用、若者の住宅難の問題にとりくむなかで耳にする機会があって、ずっと気になっていたのです。

住宅を確保することが困難な人が、公営住宅・民間住宅をスムーズに借りることができるようにしようという法律。
説明を聞いてわかったのは、この法律が具体的な施策を伴っていない、ということ。
う〜ん、というのが率直な感想。

高齢者、障害者、低所得者など、住宅確保に配慮が必要な人が、住宅を確保できるようにがんばりましょう――掛け声だけになりかねない弱点をもっています。
(法律用語的にいえば、努力義務ばかり。
国は基本計画を持つ、ということだけが「ねばならない」規定ですが、この計画は数値をもたない理念的な計画に終わっています。)

国交省の担当者とのやりとりで「ワーキングプアの若者をどうするか」は、ある意味想定外だということもわかりました。
働いて自立することが困難な高齢者、障害者の方に住宅をどう保障するか、確かにこれが柱となるでしょう。
働いているのにまともに住むところも持てない――「ワーキングプア」の実態が、どれほど異常かがやりとりのなかでも浮き彫りになりました。

一日1000円のレンタルスペースで寝泊りする若者も増え続け、レンタルスペースの業界は年商何億というビジネスにまでなっている。
そんな実態も紹介すると、国交省の人は目をまるくして驚いていました。

「新銀行東京に融資する1%でも、若者の住宅対策につかえば、色々なことができるんでしょうね」「東京都はお金があると思うんですけどね」
これは私の言葉でありません。やりとりのなかで、思わず出された言葉。

国もやるべきことは色々あるでしょう。
住宅確保が困難という人がどれくらいの規模でいるのかさえつかんでいない。
公営住宅を抜本的に増やす施策もない。
それでセーフティネットをどうつくるつもりなのか、と思えてきます。

地域の実情にあわせて住宅確保の計画をたてれば、交付金として国からの補助があることもわかりました。
東京都がどうするか、声をあげて都を動かすということか。
あらためて法律とは何かを考える機会にもなりました。