日本共産党 田村智子
コラム

【08.03.05】若者雇用のアンケートで厚労省要請

違法企業名が次々と

 
「肉のハナマサで店舗の大量閉店、パート800人をひとからげにして解雇通知」
「大手生命保険会社で、電話代も自前、ノルマ達成をしなければクビだと言われた」
「民間委託された保育所で、6ヶ月の雇用契約を繰り返している」

若者の雇用問題で、何度目かの厚生労働省への要請行動。
こんなに企業名をあげての告発がされたことはなかったと思います。
850をこえて寄せられたアンケート。
このとりくみで、具体的に違法企業の実態をつかんだことが、私たちの要請がこれまで以上に迫力をもったのだと実感しました。

回答のためにずらりと並んだ厚生労働省の担当官も、真剣にメモをとっていました。
「違法は根絶しなければならない」
「労働相談のメールも受付ている(1年ほど前から)」
「介護職の離職率が高い。何が要因かを調査している(3月にも結果をまとめる予定)」
回答の内容も、これまでの「冷めた」感じが一掃されています。

社会問題となっているワーキングプア。
志位委員長が日雇い派遣をとりあげた国会質問は、今も動画サイトで話題を呼んでいます。
ここが攻め時、です。

厚生労働省のとりくみは、私たちの要求からはまだ遠いものです。
その一つは、働く人、これから働く人への、労働法の周知です。
「企業が違反をしなければよいのだから、使用者(経営者)への周知に努める」という姿勢。
自らの権利を知り、権利侵害を許さない、これは国民主権の土台です。
今の政府は、国民が主権者としての意識を高めることを恐れているのでしょうか。

権利を知ることでどんな威力を若者が発揮するか、私も認識をあらたにしています。
このアンケートに、自分の連絡先や名前を記してくれた若者が何人もいます。
企業名もあげた人に、今、「東京労働局や労基署に告発しようと思うけれどどうか」とこちらから連絡をとっているのですが、
「自分で労基署に言って、残業代が払われるようになりました」
「労働組合に入って交渉しています」
などなど、違法実態を自ら告発したという人に何人も出会うのです。

若者の力はすごい!
私たちもさらにパワーアップします。
東京労働局へは、違法企業名、その実態を具体的につきつける予定。
このHPへ、情報をぜひぜひよせてください。

要請書の全文を以下に掲載します。


2008年 3月5日
厚生労働大臣 舛添 要一 殿

  日本民主青年同盟東京都委員会
  日本共産党東京都委員会
  日本共産党東京都議団    
  日本共産党 田村智子事務所 
                    
若者が健康に人間らしく働き続けるための緊急要望

ワーキング・プアや「ネットカフェ難民」が大きな問題になるもとで、私たちは、非正規雇用や一人暮らしの若者がとくに多い東京で、若者の働き方、生活についての実態調査(「TOKYO若者実態調査」 2007年3月〜12月 回答数850)を行いました。「日雇い派遣」の原則禁止など法改正も喫緊の課題ですが、現行法のもとでも緊急の対策が必要と考えます。「実態調査」をふまえて、緊急に以下の若者支援策を要望します。
              
一、違法・無法をただし、心身ともに健康に働き続けられる雇用政策を求めます。
 1、「偽装請負」「給与・残業代未払い」「不当解雇」など違法行為は依然として多くみられます。解雇や不利益な扱いをおそれて告発できない若者も多数います。若者が労働条件について相談できる窓口の大幅増設、違法事業所への迅速かつ厳格な指導、違法に関わった事業所名の公表など、違法行為根絶のための抜本的な施策を求めます。
 2、非正規労働者は「同じ仕事をしているなら同じ待遇を」と強く求めています。交通費や必要経費さえ支給されない事態を緊急に解決するなど、非正規労働者の不利益を改善するための施策・指導を強めること。
 3、医療、介護、保育など社会保障の分野での長時間労働・低賃金など劣悪な労働実態を調査し、改善のための施策を講ずること。
 4、労働者の権利を啓蒙する簡易なパンフレットを作成し、既存のパンフレットも含め、コンビニ、ネットカフェ、映画館など、若者が利用する場所に大量に置くこと。中学、高校、専門学校、大学などでも、労働者の基本的な権利が実態にそくして学べるよう、労働行政機関として各学校との連携をつよめること。

二、人間らしく生きていくための生活支援、就労支援を求めます。
 1、「住宅セーフティネット法」にもとづき、国土交通省や地方公共団体、都市整備機構と連携し、低収入の若者への住宅供給の施策を緊急に講ずること。「家賃補助制度」創設を検討すること。
 2、職場や就職活動のストレスから「うつ」などの精神疾患や「ひきこもり」など、特別な支援が必要な若者が多数います。カウンセリング機能をもつ「若者サポートステーション」の抜本的な増設、無料で受けられるカウンセリング制度の普及など、系統的な相談活動、社会復帰支援をすすめること。
 3、健康不安を訴える若者が「実態調査」で4割近いことは重大です。社会保険加入手続きを怠る事業所もみられます。若者の医療保険加入実態の調査、健康診断実施状況調査を行い、必要な対策を講じること。

以上