日本共産党 田村智子
コラム

【08.02.28】築地で教えてもらったりんごの秘密

市場は産地とつながっている

朝10時の築地市場は、店の片付けや朝食の片付け光景を目にする時間。
青果市場を訪ねて、お話しをお聞きしました。

山積みのりんごの箱が、崩れそうになった現場。
排水路にかぶせられたマンホールのような蓋が、老朽化していたためです。
あわてて、周辺の店から人が出ての作業。
「豊洲移転」にこだわって、今の市場を整備する予算を惜しんでいるのかと、勘ぐってしまいます。

このお店の騒動がおさまったころに伺うと、ひとしきり「りんご談義」になりました。
「長野県の出身なんです。長野の人は、生産量は青森だけど、味は長野だってよく言ってますよ」と私。
「その通りだよ」と社長さん。
青森は木で完熟させていると雪害の危険性があるので、収穫してから熟させるのだとか。
長野は木で完熟にさせているので、甘さも十分。

1年中といってもいいほど、りんごが出回っているのも、
青森などで収穫した青りんごを冷蔵して、時期にあわせて熟させているからだとか。
この数年の疑問が解けました。

別のお店では、長野出身と聞いたとたんに「東部町の長野だね」と言われびっくり。
私も故郷、小諸市の隣です。
巨砲という大粒のぶどうの名産地、社長さんは何十年も前からこのぶどうを扱っていたそうです。
なんだか、同郷人のような気持ちになりました。

市場でのこんな対話は、市場で働く方々の産地への愛情を感じます。
足を運び、「これは」という品物を扱う。
農業とは違うけれど、果物のプロがここにもいるのです。

豊洲への市場移転では、大型店との取引が優先される危険性もあります。
年間を通じての価格と量の契約が、今も大手スーパーなどでは横行していて、
産地の都合、気象の都合が度外視されたり、規格が同じ品物に淘汰されたりという弊害が生じているとのこと。

市場の役割は、産地と消費者を結ぶこと、産地を無視した売り買いが何をもたらすことになるのか・・・。
今の輸入食料品の問題を考えずにはいられません。

産地を愛する市場であってほしい、
そのために、消費者も市場と産地を大切にすることが求められているように思えます。