日本共産党 田村智子
コラム

【07.10.29】ミシュラン「三ツ星」の地へ

ミシュラン「三ツ星」の地へ

 
「三ツ星」レストラン・ホテルなど無縁の私。
生涯初のミシュラン「三ツ星」の場所を満喫しました。
東京都八王子市、高尾山!
ミシュランの観光地格付けで「富士山」とともに最高ランクをつけられた山です。

訪問の目的は、すでに開通した八王子城址トンネルの換気施設の視察。
山の一部を掘ってつくられた、地下3階の施設。
異様なのは、壁のいたるところに大きなひび割れが走っていることです。

学校施設の老朽化などで、建物のひび割れの現状を施設する機会は何度かありました。
その比ではない、縦に走る何本ものひび。
補修も幅2〜3センチ、Vの字に削って補修材を入れているとのこと。

「阪神・淡路大震災級の地震がきても大丈夫」との説明に首をかしげてしまいました。
「こういうひび割れは、想定内なのですか?」と尋ねると、
「設計上の想定内、ということはないでしょうが、地下施設ではよくあることです」

土の圧力はどうなのか。
地下水が多い、地盤が比較的弱い、という高尾山で、トンネルを掘ったり大きな施設を地中につくると、「山が動く」ことはないのか…。
疑問がわいてきます。

視察後、高尾山で始まったトンネル工事(現在中断しています)の現場へ。
打ち込まれた鉄杭、銭湯の煙突を何本も突き刺しているようにさえ見えます。
紅葉がわずかに始まった、美しい里山の山肌が無残に崩されている様は、
怒りさえも通り越して、哀しさがこみあげてきます。

視察後、「高尾の自然をまもる市民の会」の事務所を訪ねました。
無残な山の姿だけでなく、山の生命力を感じたい、と思ったのです。
すぐ隣には、ボランティアの若者たちが作った「ツリーハウス」。
もみ大木が大黒柱となって、山の隠れ家みたいです。

足元を大きなバッタやカマキリが通り過ぎ、秋の虫が途切れることなく鳴いています。
脇を流れる川、「そのまま飲めますよ」とのこと。
都会からわずか1時間ほどで、里山の美しさ、楽しさをたっぷり味わえるのです。
ミシュラン「三ツ星」の所以です。

向かいの山肌には、黄色く色づいた桂の木(名前を教えてもらいました)。
薄紫と桃色の中間、なんともいえない淡くやわらかい紅葉。
まもなく色づく、秋の緑。常緑樹の深い緑。
言い尽くせない色に染められた山の美しさは、植生の多彩な高尾山だからこそでしょう。

なぜ高尾にトンネルをつくらなければならないのか。
ジャンクションを見上げる景観をつくるのか。
本当に大切なもの、次の時代に残したいものはなにか、声を大にして問いかけたくなります。