コラム
【07.01.24】湧き水の池を消滅させて道路をつくる?
湧き水の池を消滅させて道路をつくる?
私が1歳の頃に計画されたまま、建設が凍結された東京外郭道路。
「オリンピックまでに間に合わせてつくる」と突然東京都が言い出し、大問題になっています。
三鷹市、武蔵野市の市長さんとも懇談。
二つの市のほか、練馬区、杉並区で建設予定地を一日かけてまわりました。
閑静な住宅街。学校が複数ある地域。
この地下に高速道路をつくるだけでなく、地上部も自動車道路にする計画が浮上しているのです。
街を激変させ、地域を分断するほどの大きな道路を、なぜ地上にまで作る必要があるのでしょうか。
目の前に学校があっても、横断できない道路がつくられたら子どもたちはどうなるのか、現場を歩くにつれ、大きな怒りがわいてきます。
練馬区には地下水が湧き上がってできた池もあります。
その一つ、三宝寺池に向かって歩いていく途中、同じ方向に歩いている男性に声をかけてみました。
「外環道路のことで視察しているんです」と私。
「なんで反対するの? 地下を通るから何も問題ないでしょう」
「地上の道路建設も計画があるのですよ」
「地下につくるのに、なんでそんな馬鹿なことを」
この方は、池までつきあって歩いてくださいました。
近くに住んで45年になるそうです。
そういう方でも、地上部計画は知らされていない、問題の大きさを痛感します。
さらに、八の釜(やのかま)憩いの森へ。
細長い小さな池、ここから水が湧き出ているという場所に行くと、水面がモコモコと動いていて、「水が生きている」ように見えます。
「ここを全部掘り取って、地下から地上へと道路をつくるんです」と松村都議。
すると、通りかかった年配のご夫婦が、「八の釜を堀り取るの?」と驚きの声をあげました。
毎日、散歩されているそうです。
「どうしてそんなひどいことをして、道路なんかつくるのかね」
怒りがおさまらない様子でした。
都内の交通量を減らすためには、周辺の環境は犠牲にしてもいいのでしょうか。
新しい道路をつくれば、また自動車の量が増えるでしょう。
東京の街づくりをどうするか、私たちも、住民のみなさんと本気で考えあい、東京都にも国にも声をあげていかなければと思います。
関係自治体からは、環境問題をはじめ、かなり厳しい意見が出されています。
「指摘した問題がクリアされなければ、建設には同意できない」というのが、共通した立場のようです。
ところが、東京都はこれを「参考意見」としか扱っていないと、都議団から説明がありました。