日本共産党 田村智子
コラム

【06.03.13】圏央道トンネル工事の現場へ

確定申告の大詰め。税務署への集団申告にとりくむ業者、職人のみなさんが、全国各地で「重税反対集会」にとりくんでいます。
私も東村山市で行われた集会に参加して、一言、あいさつさせてもらいました。
「文房具屋の娘として生まれ育ちました。文房具屋の智ちゃんとお見知りおきを」

最近のニュースでも世界の億万長者番付に、日本のサラ金会社の社長が入ったことが話題になっていました。
この社長、どう低く見積もっても年間2億円以上の減税の恩恵を受けているとのこと。
汗水たらして働く庶民、年金生活者には増税、一方で、使いきれないほどのお金を「金貸し業」で稼ぐ人には減税とは!

財政が大変だといいながら、無駄遣いもとまらない、という話をしたあと、総工費3兆円を超えるという圏央道建設の現場へとびました。
八王子トンネル、生まれて初めて工事用ヘルメットをかぶり、防塵マスクをして、掘削機が岩盤をくりぬく作業の最先端まで入りました。
止水をしてから掘削しているとはいえ、完全にコンクリート固めていない部分はいたるところからは水が染み出し、何箇所かはひどい雨漏りのようになっていました。
工事現場の真上や近接する沢や滝の水量に影響を与えるには充分な量ではないのか。

トンネル工事が4ヶ月遅れる原因となった事故について説明を求めると、「重機に足を挟まれた」「工事車両が一般道に出るところで交通事故に近いもの起こした」とのこと。
一人の労働者が怪我をして工事が何日も、何ヶ月も止まるのか? トンネルの外で起きたことで、掘削をやめるのか?
不可解な説明です。大量の水に悪戦苦闘したのではないのか、との疑念をぬぐえません。

次に、トンネルが下を通過している八王子城跡に登りました。
毎日、市民団体の方と調査会社が、川がどこまで枯れたのかを調査しているので、道のないところが道になっていました。
完全に干上がった北支川、瓦礫の道となって、荒れ果てた印象を与えます。
写真ではとうとうと流れる御主殿(ごしゅでん)の滝、岩がわずかにぬれているだけです。
さらに上流、トンネルから離れた地点で、せせらぎの音が初めて聞こえました。
「川は下から上に流れるのか」と皮肉も飛び出すほど。

問題が指摘されているのはここだけではないでしょう。東京と周辺の自然を壊しながら、なぜ自動車道路をつくらなければならないのか。
大掛かりな工事の現場、コンピューター制御の巨大な掘削機、これで巨額の利益をうるゼネコンの姿もみえるようでした。