日本共産党 田村智子
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【11.10.27】厚生労働委員会-TPPによって日本の薬価制度は重大な影響を受ける/保育所の除染について

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 昨日、日比谷野音で開催されましたTPP交渉参加反対の集会、与野党を問わずたくさんの議員の皆さんが参加をされ、私も参加をいたしました。ここでは日本医師会の代表も、日本の医療制度に重大な影響を与えかねないとしてTPP交渉参加に断固反対の決意表明をされました。
 政府は、公的医療保険制度は議論の対象になっていないと、こうやって医療機関の皆さんにも説明を続けてきています。しかし、アメリカ政府はこの九月、医薬品へのアクセス強化のためのTPPでの目標というタイトルのアメリカ通商代表部の文書を公表しています。これは、TPP交渉でアメリカがどういうことを要求するのかということが項目で書かれている、そういう部分があるんですね。そして、その中に何が書かれているか。医薬品の市場参入機会を確保するため、TPP参加国に政府の医療費償還制度そのものの見直しを要求する中身が書かれています。
 まず確認します。この文書を厚生労働省は認識をしていましたか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 御指摘の文書は、アメリカ通商代表部、USTRが九月十二日に公表した文書だと思います。この文書には、TPP交渉参加国での医薬品へのアクセスを高めるため、医薬品アクセスの迅速化など九つの目標の達成に向けた交渉を行うというアメリカ政府の方針が記載されておりまして、厚生労働省では九月十六日に外務省からこの件に関する情報を受けて、この文書を把握しています。

○田村智子君 把握していてなお公的医療制度は協議の対象じゃないと言うのはおかしいと思うんですね。私がさっき指摘したところ、ちょっと私たちの直訳なんですけれども、ジェネリック薬及び革新的な新薬の市場参入について可能な限り最も公正な機会を確保するために、中央政府の医療費償還プログラムの運用において透明性と手続の公正性についての最低限の基準の尊重を求めると。直接、中央政府の医療費償還プログラム、これはどう読んだって公的医療保険制度ですよ。これが協議の対象になっているじゃありませんか。これでも公的医療保険制度は協議の対象じゃないって言えるんですか。

○国務大臣(小宮山洋子君) これは、こうした方針はずっとアメリカ政府が主張しているもので、この項目は、先発、後発医薬品のいずれにも公平な市場アクセス機会を確保するための一つの方策としてこうしたことを主張している内容だというふうに思っています。
 薬価の透明性とか公平性を主張していることと、今回TPPの中で医療保険制度が審議されているかということは、そういう具体的な審議、検討は行われていないということを申し上げています。

○田村智子君 それは余りにも公的医療保険制度というのを狭くとらえていますよね。だって、中央政府の医療費償還プログラムの運用ってわざわざ書き込んでいるわけですよね。
 これで平行線になってしまうと思いますので、それでは、政府は懸念事項の中で一応この医薬品の問題でも、米豪FTA、米韓FTAのように医薬品分野に関する規定が置かれる可能性はある、こういうふうに書いています。これが単なる医薬品の例えば輸出入の問題だけなのか、こうやって懸念を示したからには、米豪FTAや米韓FTAによってその国の医療制度に何の変更ももたらされていないのかどうか、これ、ちゃんと国民に説明をする、そういう必要性があると思います。
 これ、政府がそういう資料を出しませんので、私、この場でお聞きをいたします。
 米豪FTA、これによってオーストラリアで何が起きているのか。オーストラリアの医療というのは、政府が補助金を出して医薬品の価格を低く抑える制度、これはほかの国にも先駆けた、薬価を低く抑える公的な制度があります。PBSと略されています。新薬についてもこのPBSに基づいてジェネリックの価格や効能と比較をして薬価を政府が管理をする、高くなり過ぎないように、いわゆる参照価格制度、この対象にしてきました。
 そして、このPBSが、米豪FTA後、二〇〇六年一月、このFTAに基づく作業部会で議論の対象となりました。翌二〇〇七年には制度の変更が行われたのではないかと考えますが、外務省、この経緯について簡潔に御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(西塔雅彦君) お答え申し上げます。
 米豪のFTAにおきましては、医薬品に関する附属書が設けられているところでございます。同附属書におきましては、革新的な医薬品の重要性の原則、あるいは新薬の保険適用に関する審査の透明性の確保等が規定されているところでございます。また、その附属書にかかわる事項についての作業部会が設置されているところでございます。豪州側のプレス発表によりますと、先生今御案内のとおりでございますが、二〇〇六年一月に第一回目の作業部会が開催されたと承知しております。
 また、豪州は、二〇〇七年八月でございますが、医薬品の価格制度の改正を行ったところでございます。その改正の中身でございますが、医薬品の代替性のレベルに応じまして、それを二つのカテゴリーに分ける、これはF1とF2でございますが、F1というのは代替可能なものがない医薬品、いわゆる先進的な医薬品ということになるかと思いますが、それとF2、これは代替可能なものがある医薬品、ジェネリックということになろうかと思います。この二つに分ける、そうした制度改正を行ったと承知しております。
 なお、米豪FTAの作業部会における議論とこの豪州の医薬品価格制度の改正との関係につきましては、これは米豪間の話でございますので、第三国たる我が国としては見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

○田村智子君 事実として、FTAによって作業部会が持たれて、そしてその作業部会の後に医療の制度、薬価の制度が変わっているんです。今言われたように、新薬をF1という別枠にして高い卸売価格を保てるような制度変更が行われたんです。この変更によってオーストラリアでは一部の薬価、大変高騰をした。それだけでなくて、このPBS全体に係る公費が著しく増大をしているという報告があるんです。
 厚労省は、このような問題をちゃんと認識をしているのか。これでも日本の薬価制度や医療保険財政に影響を与えないなんて言えるんでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 今外務省からも御説明ありましたように、こうした内容につきましては、内閣官房作成の説明資料のTPP協定交渉の分野別状況でも米豪のFTAの例を引きながら説明をしています。
 それで、御指摘の、公的医療保険制度はTPP協定交渉の議論の対象となっていないというふうにして御説明をしてきたことにつきましては、今分かれて検討しているわけですけど、金融サービス分野のところでこれは検討をされていまして、その中で公的医療保険制度は適用除外ということで、制度の在り方そのものが議論の対象とはなっていないという趣旨だというふうに理解をしています。

○田村智子君 そういうのをごまかしと言うんですよ。国民にとっては、自分たちが受ける医療の制度がどうなるかということ、これがちゃんと説明できなかったらTPPに参加することがいいのかどうか判断が付かないじゃありませんか。重大な問題ですよ。
 昨日、全国会議員に日本農業新聞配られて、この農業新聞もトップで、医療制度の見直しをアメリカは要求していると、政府の説明と矛盾していると。これちゃんと、金融とその保険のサービスの中にないなんて言っていたら駄目ですよ。国民にとって医療の制度が、例えばオーストラリアを見たら、韓国を見たらこういう事例がありますよとちゃんと分かりやすく説明すること、これ必要じゃないですか。もう一度、大臣、お願いします。

○国務大臣(小宮山洋子君) これは、検討に必要な情報については政府全体で入手を図っていますが、厚生労働省としても必要な情報は入手をいたしまして、国民の皆様に分かりやすく御説明をするということは私も必要だというふうに考えています。

○田村智子君 これ急がれていますので、本当にそれやってくださいね。
 大体民主党の政権は、社会保障と税の一体改革だとこう言って、今医療費に係る税の負担を抑え込む、こういうことを一生懸命やろうとしていますよ。患者の窓口負担も三割に、さらに定額負担、これやろうかどうしようかと、こういう検討までしている。昨日の社会保障審議会では、市販薬になっている医薬品は医療保険の適用除外にすることまで検討している。
 こうやって医療費を抑えよう抑えようとやっているときに、一方で、アメリカとオーストラリアのこの協定で、オーストラリアのように現実に薬価が引き上げられている国があるにもかかわらず、TPP参加で同じことがこの国で起こるかどうか分からない、そのことについて何の検討も国民の中に示されないというのは私は異常だと思います。
 TPPの参加交渉を何が何でも進めるというのは、これはもう社会保障の制度をどうしていこうかということと全く矛盾する。是非、医薬品の高騰を招きかねないし、大体この薬価の高騰というのは患者にとってはこれ負担が増えるわけですよ。国にとっても医療財政が苦しくなる問題ですよ。
 やっぱり小宮山大臣、野田首相に対してTPPの参加交渉、これAPECで表明するのはおかしいと、こういう懸念、ちゃんと提言すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 今申し上げたように、必要な情報は可能な限り入手をしたいと思いますが、交渉に参加をしないと具体的な中身は分からないというふうにも聞いています。
 私は、再三申し上げているように、交渉に参加した上でしっかりとした議論の材料を手に入れて、その枠組みをつくることにも参画をし、その結果日本の医療ですとか医療の保険制度とかそうしたところに心配な点があるのであれば、参加することと参加交渉に加わることは別ですので、そこは私は違うというふうに考えています。

○田村智子君 そういうのも詭弁だと思いますよ。参加を前提とした交渉になるんですからね、これは、当然のことながら。
 実際にオーストラリアでも、これ参加表明している国の中でも世論を二分するような事態になっているんです。TPPに入れば更に薬価が引き上がるんじゃないのかと、人命の上に貿易を置くのかと、こういう声が広がっているわけですよ。それを厚労省だけ情報を入手していたって駄目ですよ。農水省はちゃんと情報を示して苦言も呈していますよ、懸念も表明していますよ。厚労省だって、国民の命を守るという立場であるならば、情報入手だけでなく、ちゃんとその立場の表明ということ、これやっていくべきだと思います。
 うなずいて聞いていただいていますけれども、大臣、もう一度お願いしたいと思いますが。

○国務大臣(小宮山洋子君) 再三申し上げているように、国民の健康とか安全を守るということについてはしっかりと取り組みたいと思いますが、前提が、どういう条件で話をしているかということのきちんとした材料を手に入れるためには私は交渉に参加する必要があると思っていますので、交渉に参加した上でその医療とか医療保険制度、また食品の安全とか外国人労働者の問題とか、厚労省所管で懸念されることについてはその中で表明をしていけばいいことだというふうに思っています。

○田村智子君 これ平行線になってしまいますけれども、少なくとも情報を提示するということはお約束いただきましたので、ちゃんとオーストラリアや韓国で何が起きているのか、懸念というのの中身は何なのか、国民の中にきちんと情報を提供していただきたい、このことを強く求めたいと思います。
 TPPについての質問は以上ですので、外務省の方、ありがとうございました。
 続いて、私はこの十月の中旬に福島市内に行ってまいりました。放射線量の高い地域の保育所や学童保育所で要望もお聞きしてまいりましたので、このことを踏まえて質問をしたいと思います。
 除染についてです。
 福島市内の保育所を訪ねて園長先生にお話を伺って驚いたんですけれども、除染の実施が大変に遅いんです。ある保育所は園庭の空間線量が毎時一マイクロシーベルト前後、しかし、園庭の表土除去が行われたのは九月だというんですね。夏にはプール遊びをどうするのかと、このことで保育士と保護者が大変な苦悩をせざるを得ませんでした。
 なぜ乳幼児の施設でこんなに除染が遅いのか。保育所、学童保育所など児童福祉施設等についての除染について、厚生労働省は補助要綱、これ、いつ示しましたか。

○政府参考人(高井康行君) 児童福祉施設等の園庭の除染に係る経費につきましては災害復旧費として補助することといたしまして、東日本大震災に係る社会福祉施設等の災害復旧費交付要綱、これを八月十一日付けで通知いたしておるところでございます。
 ただ、この通知では土壌の除染に関する補助の細かな取扱いは別に定めるということにしておりまして、現在その内容を精査しているところでございます。

○田村智子君 補助要綱がいまだに出されていないということなんですよ。これ、大変な遅れです。だから、学童へ行っても保育所へ行っても、厚生労働省の方針が見えないということを施設長の方々からは皆さん共通して述べていらっしゃった。
 こうした対応の遅れが現場では具体的な混乱の原因にもなっています。例えば、ある保育所。表土除去だけが除染の対象だと言われて、建物の高圧洗浄はできないと、こう言われてしまった。施設長がそれじゃ駄目なんだと業者に掛け合って、何とか壁面の除染だけはやった。だけど、高い部分の屋根などは除染してもらえなかったというんですね。
 別の保育所。隣接する側溝、線量が高いのに除染はしてもらえなかった。側溝側の保育室は、これ、乳児の部屋でしたけれども、一部立入禁止なんです、線量が高いから。そういう状態です。
 学童保育所。敷地狭いですから、民間の学童保育。外遊びの場所は隣の神社なんです。ところが、学童の表土は除去したけれど、神社は対象外だと言われて、この七か月間、夏休みにちょっと校庭は使わせてもらったようですけれども、学童としての外遊びは本当に制限をされてしまっています。
 ちょっと確認をしたいんですけれど、政府全体の方針では保育園や学童保育所の表土除去に除染が限定されているわけではなくて、今私が挙げたような事例も除染の対象だと思うんですけれども、確認しますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(高井康行君) 御指摘のように、厚生労働省では、災害復旧費によりまして、園庭の空間線量が毎時一マイクロシーベルト以上の場合の土壌の除染について財政支援を行うということにいたしております。
 一方、内閣府の方におきまして、福島県の原子力被災者・子ども健康基金において、建物の除染など厚生労働省の財政支援の対象外の除染について支援を行っているというふうに認識いたしております。

○田村智子君 それでは確認したいんですけど、不十分な除染になっている施設が幾つもあるんです。さっきお話ししたように、壁だけになっちゃっている。そういうところはもう一度十分な除染をやることはできますね。確認したいと思います。

○政府参考人(宮本聡君) お答えいたします。
 まず、ただいま御質問ありましたように、福島県の再生のためには除染が喫緊の課題だという認識を強く持ってございます。このため、国としましては、まず第二次補正予算で福島県民健康管理基金を設立するための交付金を県に交付し、また予備費で同基金の積み増しを図っているところでございます。
 この基金を活用いたしまして、例えば御質問にありましたように、第二次補正予算である施設について表土の除去等をした後に、同じ施設でございましても今度は例えば屋根の除染、ここが不十分だということで、ここにつきまして除染しようという場合は、これにつきましても除染の対象が異なるということで予備費の対象になることに問題はないと考えてございます。

○田村智子君 これ、予算の仕組み上別建てになっていたとしても、施設にとっては建物除染も表土の除去もこれ一体で行うということは当たり前のことだと思うんですね。是非、厚生労働省には、児童福祉施設や学童保育所ではどのような除染が補助対象なのかと、これは厚労省の責任で自治体やその施設に対してちゃんとそのメニューの周知をしてほしいと思います。ちょっと時間の関係でこれは要望にとどめます。
 次に、保育所など児童福祉施設での除染についての厚労省の方針なんです。
 方針として文書として示されたものは、八月二十六日の雇用均等・児童家庭局長通知、福島県内の保育所等の園舎・園庭等の線量低減について、これだけだと思うんですね。この通知そのものを私ちょっと見直しが必要だと思っています。この局長の通知では、線量低減の基準について毎時一マイクロシーベルト未満を目安とするとされています。だから、予算でも災害復旧費の対象が一マイクロシーベルト以上のものというふうになっていると思うんです。
 しかし一方で、さきの国会で成立をいたしましたいわゆる除染法に基づいて環境省が除染の基準を検討しています。これは年間一ミリシーベルト未満にしようと。そのためには、一ミリシーベルトを三百六十五で割って、二十四時間で割って、毎時〇・二三マイクロシーベルト以上、こういう案が今パブリックコメントにかけられています。これ、子供の施設だけじゃなくて、地域全体のことなんですね。
 そうしますと、除染について、やっぱり関係自治体や専門家の意見も受けて政策が発展しているわけですから、この局長通知についても政策発展させて基準の見直しが必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) それは委員がおっしゃるとおりだと思います。
 その一マイクロシーベルトというのは、学校とか幼稚園の基準を定めたときに、それと併せて保育所もしたものなので、今回環境省が全体の、先ほどからのお話でもお分かりのように、各省縦割りになってしまっているので、それを除染については環境省でまとめて行うことになりましたので、そこで新しい基準を決めたらそれに合わせていくということだというふうに思います。

○田村智子君 これ、早くにお願いしたいと思いますし、もちろん福島だけでなく、全国の学童保育所や保育所、児童福祉施設での基準になるものだというふうに思います。
 で、私、本当に保育所の保育士さんたちやその保護者の皆さんの御苦労、苦悩、是非これ大臣にも厚労省の皆さんにもやっぱりお知らせしたいと思います。例えば福島市内で園庭除染して〇・二マイクロシーベルトぐらいになったと。じゃすぐに遊べるかと。そうじゃないんですよ。保育士さんたちも保護者も学習して、医学的に大丈夫だろうと理解をしても、不安は払拭されない。それで、全保護者にアンケート配って外遊び再開するかどうかって意見を聞くと、どんな不安があるのか、どうしたらその不安にこたえられるのか、外遊びは再開できるのかと。で、再開した保育所聞いてみても、時間は十分だと言うんですよ。別の保育所も三十分。遊具は線量が高いから全て使用は禁止のまんま。外遊びするとすぐに着替えさせなければ駄目だと。それでも不安だからうちの子は外に出さないでくれと、こういうお母さんもいらっしゃるんですね。
 それだけに、一マイクロシーベルト未満だったら大丈夫という基準はもう現場と全く乖離していますから、早く見直しも必要だというふうに思うんですけれども、やっぱりこうしたお父さんやお母さんたちの不安に、今は保育園の園長先生とか保育士さんだけが矢面に立って一生懸命それにこたえようこたえようってされているわけなんです。限界だって声も聞こえてくるわけです。
 ある保育園に行きましたら、専門家の方に直接来ていただいて、どうしたら除染ができるか、表土除去しても一部高いところがある、どうしたらこれが抑えられるか、直接アドバイスいただいてそういう手だてもした。それから、お母さんたち呼んで一緒に学習会もやった。これで安心して、まあ安心まで行くかどうかなんですけど、外遊びもどうにか再開ができるようになってきていると。本当にこの専門家の方に救われたという声を園長先生からお聞きをいたしました。
 こういう専門家の方は、ほとんど手弁当で頑張っていらっしゃる方もいらっしゃいます。せめて厚生労働省から、こういう学童とか保育所が専門家を呼んで学習会やりたいと、アドバイスを受けたいと、こういうときに、その謝礼金なり交通費なり、そうしたものの補助ということもこれ考えるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○大臣政務官(藤田一枝君) 私も、委員同様、福島県の保育所、何か所か訪問をしたときに、同じような保護者の皆さんの不安の声を伺ったことがございます。子供たちが安心して外遊びができるように、保護者の皆さんの不安を解消するということは大変重要だと思っておりまして、委員が御提案された、放射能の専門家というものを招いて、そして相談に応じるということも有効な手だての一つであろうと思います。
 そのときの費用負担でございますけれども、第一次補正予算で安心こども基金の積み増しを行っております。そして、これは子供さんや保護者の不安を解消するための相談事業の実施にもこの基金は活用できますので、そのことをもう一度自治体の方にも周知徹底を図って、厚労省としても必要な支援をしてまいりたいと思います。

○田村智子君 最後にもう一点要求をしたいと思います。
 こういう児童福祉施設などでの除染で大切なのは、線量が下がったかどうかだけじゃ駄目だと思うんですね。子供たちが安心して遊べるようになるということ、そのためにはやはり補助対象の拡充というのも必要になってくると思います。
 私が話を伺った保育所は、どこも園庭の線量は下がりました。しかし、遊具は高圧洗浄をやってもほとんど効果がない、木製のものなんか染み付いちゃって駄目だというんですね。塗料の間にもセシウムが入っているんじゃないだろうかと保育園の方は言っていましたけれども、登り棒も鉄棒も滑り台も全て使用禁止の状態なんです。五歳ぐらいの子供が、登り棒やりたい、だけど放射能があるから駄目なんだと大人に平気で話すような状態になってしまっているわけなんですね。それから、ベランダとかすのことか遊具の下のマットなどもやはりなかなか効果がないんです。コンクリートや地面に直接張り付けたものでありますと、これ剥がして敷き直すには何百万円という費用が掛かるものもあるんですね。
 これいろいろ説明聞きますと、賠償の対象だから除染の費用では見ること難しいなんて説明も、内閣府でしたか、受けたんですけれども、これ確かに賠償の対象かもしれません。しかし、子供が現実に遊べないんですよ。こういう事態をやっぱり一日も早く解決するためには、まず国が補助も行って、遊具の取替えができると、こういうふうに踏み込むことが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大臣政務官(藤田一枝君) 今回の震災で被災した児童福祉施設が事業を再開する場合に必要となる備品であるとか設備の復旧について、今回、第三次補正予算案に必要な財政措置を盛り込ませていただいております。
 今委員の方からお話がございました、子供たちの外遊びを再開するために除染が難しい遊具を買い換える、こういった場合についてもこの助成の対象としていくということで対応してまいりたいと考えております。

○田村智子君 ありがとうございます。
 是非、もう子供たちの体力の低下が現に見られているんです、七か月もこんな事態ですから。一刻も早く行っていただくことを重ねて要望して、質問を終わります。