日本共産党 田村智子
コラム

【13.10.18】自民党の質問に「そうだ!」と拍手

「賃上げ」「雇用の安定」…一点共同の可能性を実感

衆参ともに、各党の代表質問が終わりました。
本会議が終わって、井上哲士さんが「本会議に向かう気構えが変わるよね」と感慨深げに言っていました。
言われてみて「ほんとにそうだ」と気が付きました。

これまで10議席を割っていたために、本会議では、通常国会(予算案を審議する国会)での代表質問、決算に対する質問、これしかできませんでした。
(昨年の社会保障制度改革推進法案は、民主・自民・公明の3党提出だったため、その他野党にも質問が認められましたが、わずか5分でした。)

11議席になって市田書記局長が20分の質問ができる、これが私たちの士気を何倍にも高めたことは間違いありません。
そのうえ、この国会、他党の質問に面白い変化が現れているのです。

まずは 17日の代表質問でのこと。

「労働者の賃金向上や労働環境の改善を、(景気対策の)一つの大きな柱としてはどうか」
「若者の低賃金・長時間労働は「ブラック企業」などと呼ばれて問題になっています。これまでとは「次元の違う対策」を謳うのであれば、こうした部分にも光を当てて、対策を取るべきだと思います」
「政府は国家戦略特区で、解雇や非正規雇用に関する規制緩和を検討しています。雇用環境を多様化・流動化しようという目的のようですが、本当にそれが、企業と労働者の双方が望んでいることなのでしょうか。若者の多くは、安定した雇用環境のもとでキャリアを積みたいと思っているのではないでしょうか」

自民党幹事長 脇雅史参議院議員の質問の抜粋です。
私は迷わず拍手をしました。共産党の議席からは次々と声援が飛びました。
「そうだ!」「 ブラック企業規制法案を一緒にやりましょう!」
一方、議席で圧倒的多数をもつ自民党は静まり返る――なんとも奇妙な状況になったのです。

TPPについても「自由貿易が絶対的な正義である、という考え方は少し狭い考え方なのではないか」に始まり、
「沖縄のさとうきび産業が壊滅すれば、地域経済の衰退、伝統文化の喪失といった問題はもちろん、与那国島や南大東島といった離島から人口が流出し、国防上の危機にもつながります」と展開。
(結論は一本筋の通った姿勢で交渉をというものでしたが)

「いいこと言う!」「撤退しかない」「撤退もありだ」
自民党の質問に、日本共産党からこんなに支持する声があがるなんて、想定外の出来事です。

この状況は、18日も続きました。
今度は、自民党の宮沢洋一議員の質問です。

「復興特別法人税を一年前倒しで廃止する場合、具体的にどのような賃金の上昇につながるのか。特に中小・零細企業にお勤めの方、非正規労働の方の賃金がどのように上昇していくのか、お聞かせください。」
「経済産業省において、出先機関である経済産業局も活用し、企業に対して賃上げ要請を行うとの報道がありますが、政府の気合だけでは、なかなか企業の経営者を動かすことは簡単ではないと思います。具体的にどのような働きかけを行って中小企業を含む企業の賃上げが実現すると考えているのか、御見解をお聞かせください。」

「私も聞きたいです」「いい質問!」「ちゃんと答弁してください」
これも全部、私たちがあげた声で、自民党席は困ったような雰囲気に。

この質問への答弁は、収益が上がった企業で賃金が上がり、消費が刺激されて、中小・零細企業の環境も改善する…というもの。
「その前に、消費税増税でつぶれてしまいます」と、私の声が響いたのは言うまでもありません。

それにしても、賃上げを求める質問が自民党からも連発されるとは。
この数年、私たちは、国民所得の回復こそ最大最良の経済対策だと主張し続け、今年の通常国会でも賃上げを何度も求め続けてきました。
国民の運動、若者たちの告発、日本共産党の論戦や対案が、ボディーブローのように、じわじわと効き始めていることを実感します。

社会保障についても、面白い場面がありました。
前述の宮沢議員、ある意味正直な方です。

「社会保障制度改革推進法では、給付の拡大を防ぐための表現である、「重点化」については二か所、「効率化」については三か所、「適正化」は四か所、それぞれ出てまいります。「負担の増大を抑制する」という表現は三か所であります。それに対して、給付を増やす場合には「充実」という表現を使うわけですが、この法律の中で「充実」と書いてあるのは一か所しかありません」

正直ですね。私たちは声をあげました。
「よくわかった」「わかりやすい」ーーこれは声援というのかな?
自民党席はやっぱり気まずい感じになります。何しろ、消費税増税とセットの法律です。
日本共産党が追及したとおり、社会保障は制度改悪をするということを宣言しているのと同じです。

民主党の西村まさみ議員は、70才から74才の医療費窓口負担が2割(所得によっては3割)となることを批判。見直しを求めました。
西村議員は歯科医師でもあり、窓口負担が重くなれば歯の治療をやめてしまう人が増えることを知っているのでしょう。

けれど、高齢者の医療費負担増は、民主党が自民党に実施を迫っていたという経緯があります。
わかっての質問か?という気持ちはありましたが、それを抑えて「賛成」「三党合意をやめよう」と声をあげました。

こんなふうに、他党の質問にもためらうことなく声援できるのは、一点共同の運動を積み重ねてきたからこそ。
たとえ自民党の議員であっても、意見の一致があれば同意を示す。
共産党と一致する見解だということを私たちが示す、これが安倍内閣に突き刺さるのだと思います。

テレビで国会中継を見ていた方が、Facebookで、田村さんの声が聞こえた、と伝えてくれてびっくり。
不規則発言でテレビデビューしてしまった…。
その後、傍聴していたという方からは、私の不規則発言に、ありがとうございます、というコメントが。
そうか、傍聴席では一言も発せられず、拍手も禁止。議員が思いを代弁しなければ、フラストレーションが積もるだけ。私たちは、質問だけでなく、不規則発言でも国民の代弁者にならなければ。
もちろん、これからは委員会質問がはじまりますから、ここでこそ代弁者として頑張ります。