日本共産党 田村智子
コラム

【13.10.18】市田書記局長の質問に余裕を失う安倍総理

参議院本会議のレポート第2弾

2日目の代表質問(18日)、午後のトップで市田忠義書記局長が登壇。
その直前に、議員傍聴席に志位和夫委員長の姿が、ますます士気が高まります。

消費税、原発、TPP、集団的自衛権と秘密保護法案など、争点を明確にしてまさに正面対決。
そして、4月消費税増税中止の一点での共同やブラック企業規制法案の国会審議をよびかける。
市田書記局長が質問を終えて席に戻るとき、自民党席から「民主党がしっかりしないからだよ」という声が起こりました。

安倍総理の答弁は、開き直りや抽象論の繰り返しがほとんどでした。
しかも、予想通り、他党の議員への答弁と比べて明らかに早口。しかもどんどん加速していく…これは、通常国会でも感じたことでした。
野党質問には早口になる、答弁を早く終えたいのか、精神的に余裕がなくなるのか。
加速し続ける答弁に、隣の議席の紙智子さんが声をあげました。
「速すぎる、ちゃんと答弁してください!」ーーその途端に、口調がゆっくりになる。なるほど、余裕がないのか。

抽象的な内容の答弁のなかで耳を疑ったのは、TPP交渉についての答弁でした。
質問で「食料自給率をどうするのか」と聞いたのに、「自給率(一瞬、言い淀み)…自給力はおとさない」と答弁したのです。
所信表明演説でも「食料自給率」という言葉さえなかった、質問されても「自給率」という言葉を避ける。「自給率」を政策目標からはずし、抽象的な「自給力」という言葉を創り出してしまったのです。自民党政治はここまできたのか…。

秘密保護法案についての質問では、国民の知る権利を奪い、戦前のように目も耳も口もふさぐもの、と厳しく批判。
これに対して、自民党席から声があがりましたーー「共産主義には民主主義がないじゃないか」という内容。
「日本共産党が何をしてきたか学んでから言え!」
とっさに、きつい声で言い返しました。心臓の鼓動が早くなるほど、怒りがこみあげていました。

日本国憲法が、拷問の禁止を掲げたのはなぜか、思想信条、言論の自由を掲げたのはなぜか、戦前戦中、もっとも激しい弾圧を受けたのは誰か。
何も学んでいないし、関心さえもないのでしょうか。
安倍内閣も同じです。
弾圧によって国民の戦争反対の声を抑え付けた、この政治には無反省なまま、秘密保護を掲げて、国民を監視し、公務員などの思想調査も合法とする、こんなことが許されるはずがありません。

参議院の代表質問の最後は、民主党の議員。
解雇規制の緩和、派遣労働の規制緩和をとりあげての質問に、最後に答弁に立ったのは田村憲久厚生労働大臣でした。
この答弁で、労働基準法の一部を適用除外とする地域(特区)をつくることは断念したのだとわかりました。
けれど「多様な働き方」というスローガンで、正規雇用を減らし、派遣や有期雇用を増やして行く方向は明確に打ち出しました。
これを「がんばる人が力を発揮できる」というような美辞麗句で答弁を締めくくりました。

「がんばる人を…」という答弁は、厚労大臣だけでなく安倍総理も繰り返していて、その度に後ろからわが党議員の「みんな頑張っているんだよ」という声が聞こえました。
その声が聞こえる度に、「雇い止め」裁判を闘う方々の顔が思い浮かんできて、とうとう私も大きな声をあげてしましました。丁度、厚労大臣が答弁を終えて、自分の席に着こうとしている瞬間でした。
「がんばってきた人たちが使い捨てられたんですよ」、間髪いれず紙智子さんが「そうだ!」
その直後、議長が代表質問の終了を告げたので、W智子の不規則発言が代表質問の締めくくりになりました。

さあ、来週は予算委員会。参議院では片道20数分、答弁含めればおそらく1時間近い時間をとれるのではないかと思います。
私も、文教科学委員会での初めての質問へ、準備が本格的になってきました。