日本共産党 田村智子
コラム

【13.06.18】「ブラック企業ではない」?ワタミの長時間労働

厚労委で残業年間480時間超の実態告発

日本共産党の「ブラック企業」実態告発第2弾。
インターネット投票でも「ブラック」第1位の称号を受けたワタミについて、厚生労働委員会でとりあげました。

私たちが国会で個別の企業での労働問題をとりあげる場合、労働者からの告発を直接にお聞きすることが基本です。
私たち自身で、労働時間や給料など事実を確認して、これは法令違反が相当に疑われる、指導が必要だと確信を持つからこそ、一歩もひかない告発・追及ができるのです。
今回も、党東京都委員会の「雇用と就活対策室」が、ワタミで正社員として働いていた男性から話を聞き、労働時間や給料明細をみせてもらったうえでの質問となりました。

年間480時間を大きく超える時間外労働。
大臣告示では、時間外労働は「月45時間、年間360時間を超えてはならない」としています。
これを100時間以上超える長時間労働。

給料明細では、残業代は割増し賃金として払われているのに、これだけ残業しても月20万円そこそこの給料。
「重複等調整」という項目で働いた分の賃金がマイナスになっている月が多いためです。
あらかじめ残業時間込みで基本給を決めている、月の労働時間があるラインを越えなければ(もちろん8時間+時間外労働)、その分の賃金を差し引くという仕組みのようです。

ワタミは、26歳の女性が就職2ヶ月で自ら命を絶ち、今年2月、過労自殺として労災認定されるという事件が起きています。
この女性は、月140時間、2ヶ月で227時間の時間外労働をしていました。
休日も、渡邉会長の著作などの研修に参加し、またレポート作成で追い込まれていたことも明らかになりました。
事件後、通常の労働時間外の研修・レポート作成をあらためたと報道されていましたが、「今も続いている」と元正社員の男性。

こうした実態がありながら、渡邉美樹氏は自身の公式ホームページの労働時間について、次のように記述しています。
「時間外労働時間については、ワタミの外食事業の平成24年度月平均は38.1時間。これは、36協定で定めた上限45時間を下回っています。」
平均と上限は違います。平均38時間とすれば、12倍して年間456時間。
大臣告示の時間外労働は「年間360時間を超えてはならない」をはるかに超えています。

「HPでこのように大臣告示をゆがめて、長時間労働を開き直っている。厚労省としてこれは指導が必要ではないか」
「渡邉氏のHPには、自民党参議院比例区(全国)支部長と大きく打ち出してある。大臣として直接にものをいうべきではないのか」

ワタミを名指ししたところで、議場の空気は少し変わりました。
大臣・副大臣は「苦笑い」で下を向く。民主党席からは「お〜」というような声。
さすがに厳粛な面持ちでの答弁となりました。
個別企業については答弁できないとしつつ、「長時間労働の是正に努める」という主旨。

本当は予算委員会で安倍総理を質したいところです。
安倍総理自ら「比例代表での立候補を」と要請したのですから。
「アベノミクス」とは、企業が世界で一番活動しやすい国をつくること。
そのためには、長時間労働で使いつぶされる労働者がいようとも、起業家として名を売る渡邉美樹氏を担ぎ上げる。
長時間労働・「使い捨て労働」に声をあげる者たちへの宣戦布告ともいえるやり方です。
正面から対決するのは日本共産党、この構図がはっきりと見えてきました。