日本共産党 田村智子
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【13.12.05】文教科学委員会 研究開発力強化法改正案について

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 この法案が本委員会に付託をされたのは昨日夜九時九分です。これを受けて、夜十時二十九分に開かれた理事懇談会で、自民党は、重要な法案だから趣旨説明、質疑、採決を一気にと求め、民主党、みんなの党の理事がいないにもかかわらず、委員長の職権で本日の委員会を決めてしまいました。
 この時点で既に衆議院の法案提出者は一人も国会におらず、私は提出者から直接説明を受けることもできませんでした。それどころか、自民党が民主党から常任委員長のポストを奪うために行われた本会議は、本日午前四時前まで断続的に続けられ、私の質問通告は本日五時前とならざるを得ませんでした。
 これが重要法案の扱いなのでしょうか。全会派が落ち着いて質問できるよう委員会運営を行うことがなぜできないのでしょうか。このような、会期中に採決さえできればよいと言わんばかりの乱暴極まりない委員会運営には、怒りをもって抗議をいたします。
 以下、文字どおり一睡もせずに準備をいたしました質問を行います。
 まず、衆議院の質疑では、労働契約法の特例が研究者に限定されるという答弁があったかと思えば、我が党の宮本議員の質問に対して、非常勤講師も含まれると副大臣が答弁をされています。大学関係者からは、非常勤講師も対象なのかと驚きの声が上がりました。法案では、労働契約法の特例は、大学任期制法と研究開発法の両方に書き込んでいます。これ、任期制の場合には、契約時に大学任期制法に定める契約である旨を明示することとなっていると私は昨日夜遅く文部科学省から説明を受けました。
 では、そうした明示がない、あなたは任期付きの非常勤講師とか教員ではないと、そういう非常勤の講師、非常勤教員は、研究開発法にある研究者として労働契約法特例の適用となるのでしょうか。提案者、お答えください。

○衆議院議員(伊藤渉君) 大変な中、委員会を開催いただきまして、大変にありがとうございます。
 ただいま御質問いただきました件につきまして、改正後の研究開発力強化法は、繰り返しになりますが、研究者、技術者などを労働契約法の特例対象と規定をしております。多様な形態が存在する講師の個々のケースが研究開発力強化法上の研究者などに当たるかどうかは、最終的には個別具体的な事例に即しての判断がなされるものと考えておりますので確定的なことは申し上げられませんけれども、講師は、常勤、非常勤を問わず、教育、研究を行う教授又は准教授に準ずる職務に従事する職と学校教育法に位置付けられておりますことなどを踏まえますと、基本的には研究開発力強化法上の研究者に当たるものと考えております。

○田村智子君 衆議院の議論の中では、研究者については、プロジェクト研究と労働契約法の無期転換、この期限が矛盾をするということが特例の理由として強調をされておりました。今、非常勤講師も対象となる場合があるということでしたけれども、なぜ非常勤講師をこの労契法特例の対象にするのでしょうか、端的に理由をお答えください。

○衆議院議員(伊藤渉君) 今の答弁にもございましたけれども、最終的には個別具体的な事例に即しての判断がなされるものと、こういうふうに考えておりますけれども、大学において行われる教育は研究と不可分のものでございまして、大学教員等のうち、非常勤講師につきましても、講師は、常勤、非常勤を問わず教授又は准教授に準ずる職に従事する職として学校教育法に位置付けられておりますとともに、大学教員等の任期について必要な事項を定める大学の教員等の任期に関する法律の対象ともなっていること、また、同一組織内において同一種の職である者が無期労働契約への転換について異なる人事上の取扱いとなることは適切ではなく、今回の特例の対象者が大学内において曖昧になるおそれがあること、以上のような観点から、法改正においても特例の対象とさせていただいております。

○田村智子君 個別に判断をすると言いながら、今のお答えをお聞きしますと、教育や研究に従事する者は、それはもう差があってはいけないからみんな範疇に含めるんだというようにも聞こえるんです。非常に対象が曖昧ですよ。労契法の特例という言わば法律の適用除外を設けるときに、こんな曖昧な定義をしてもらったら困るんですね。
 じゃ、もうちょっと具体にお聞きをします。
 例えば、大学で語学を教えている講師、非常勤講師が大変多くいます。専らフランス語だけを教えている、専ら中国語だけを教えている、こういう方がいらっしゃいます。専ら学生の教育や試験、評価という業務を大学との労働契約としている非常勤講師の場合、これは研究者に当たるんだという判断、特例の適用であるかどうかという判断は一体何によって行うんでしょうか。それは労働契約の内容でしょうか、それとも、使用者の側がこの人は研究者に当たるんだと、こういうふうに判断すれば済むということなんでしょうか。提案者。

○衆議院議員(伊藤渉君) 何度も繰り返して申し訳ありませんが、個々のケースについては最終的に……

○田村智子君 個々のケースの判断の基準です。

○衆議院議員(伊藤渉君) はい、判断がなされるものと考えておりますけれども、再度、講師の定義を申し上げますと、常勤、非常勤を問わず、教育研究を行う教授又は准教授に準ずる職務に従事する職と学校教育法に位置付けられていることを踏まえますと、基本的には研究者に当たるものと、こういうふうに考えております。

○田村智子君 答弁になっていないと皆さん分かりますでしょう。個々のケースだと言いながら、それじゃ何をもってこの人は研究者と見るのか、そうじゃないのかと、その判断基準は何かとお聞きをしているのに、何一つ具体的に出てこないじゃないですか。答えられないということでよろしいんですか。今以上の答弁はないということなんですね。
 これ、だから、そうなったら裁判で訴えろという話になっちゃうんですよ。研究者だといって、五年を超えて申込みを、無期転換の申込みをしたと、だけど大学の側が、それはあなたは研究者だと、そういう扱いなんだと、私たちのところでは、それが不服だったら裁判で訴えろという話になっちゃうんですよ。こんな法案をこれで採決しちゃうんですか、皆さん。本当おかしいですよ。
 じゃ、もうちょっと先に進めます。
 衆議院の議論では、有期契約の研究者は五年を超えるプロジェクトに就けないとか、五年で雇い止めか無期転換かのどちらかだというような答弁が何度かありました。
 そこで、厚生労働省にこれ確認をしたいんですけれども、これ何で五年で無期転換権を与えないかといったら、五年超えるプロジェクトがあって、もし五年超えちゃったら雇い止めになるか無期転換かどちらしかないんだというような答弁が何度かされているんですよ。厚労省に確認をしたいんですけれども、有期契約のままで五年を超えて研究に従事すること、あるいは、非常勤講師が非常勤のままで五年を超えて同じ大学で講義を持つこと、これは現行の労働契約法の下でも可能だと考えますが、確認をいたします。

○政府参考人(大西康之君) 委員御指摘の点でございますが、プロジェクトの話と有期の話、二つあったかと存じます。
 一つ目の方で、労働契約法の十八条と労働基準法十四条に関する御質問だと思いますが、労働契約法十八条におきましては、この無期転換ルールは、同一の使用者との間で五年を超えて有期労働契約を反復更新した場合には労働者の申込みにより無期労働契約に転換するという……

○田村智子君 申込みがなければできるということでしょう。

○政府参考人(大西康之君) はい。それと、非常勤講師に限らず、五年を超えて勤務をすること自体を規制するというものではございません。
 もう一つ、労働基準法十四条の方は一回の労働契約の期間の上限というのを定めておりまして、原則三年、高度の専門的知識を有する労働者とは五年とされておりますので、五年を超える一回の有期労働契約を締結することは認められていないと、そういうようなことになっております。

○田村智子君 五年を超えて複数回の有期契約を結んだ際、これ無期転換を申し込むかどうか、これは個々の研究者や教員、あるいは講師の判断なんです。何も一律に切られるなんという法律じゃないですよ。切るか無期にするかどっちかだなんという法律ではないんです。
 大学や研究機関がそれにもかかわらず五年未満で一律に雇い止めにする、これは、使用者の側が、無期転換への申込みさえさせない、つまりは、この労働契約法の適用を逃れようとすると。こういうものなんですね、法の趣旨をゆがめるようなやり方なんですよ。
 もっと自分はいろんな大学で研究したいんだと思えば申込みやらずにいろんなところへ移ることもできるでしょう。それから、もうちょっとここのプロジェクトに七年ぐらいやっていたいと、申し込まずに有期契約でできるんですよ。その後動くことだってできるんですよ。できるんです。なのに一律で切ろうとしているのは、申込みをさせまいとしていると。
 だったら、労働契約法の内容や、なぜ五年を過ぎたら無期転換権を与えるという法律になっているのかと。こういう趣旨を徹底することこそ緊急に求められていると思いますが、提案者、いかがですか。

○衆議院議員(伊藤渉君) 大学等に対しては、これまで厚生労働省、文部科学省及び国立大学協会、こうしたところを始めとする各大学関係団体の三者が相互に協力をいたしまして、数度にわたるQアンドAの配付や説明会の開催などによって改正労働契約法の趣旨の徹底を図るなど、その趣旨の徹底に努力をしてきたというふうに承知をしております。
 一方で、このような取組によって、大学等の研究開発の特性を踏まえますと、五年までの間で無期契約に転換するかの判断が困難な場合があることから人事労務管理に課題が生じておりまして、その結果、プロジェクト途中での離職につながり、研究開発法人や大学等の研究開発プロジェクトに必要な人材を必要な期間確保することが困難となっていること、また、プロジェクトへの長期的な参画等を通じて研究者などが業績を上げ、その能力の一層の向上を図ることが困難となっていることなどの問題が顕在化をしてきたところでございます。
 このために、大学等における人事労務の特殊性を勘案をしまして、改正労働契約法の趣旨である雇用の安定を図るためには、大学の教員等に対して同法で規定された有期労働契約の通算契約期間の特例を設けることが必要と、こう考えた次第でございます。

○田村智子君 人材確保が困難になるのは、大学側が五年未満で一律に雇い止めにしようとするからですよ。
 これ、労契法は最初から大学や研究機関を含むという前提で検討されてきました。その検討の過程では、昨年五月三十一日、科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合が持たれていて、有識者議員から出された「労働契約法の改正案について」という文書があります。その中でこう述べられているんですね。改正された労働契約法の下で無期労働契約に転換した労働者を合理的な理由に基づいて解雇することが否定されるものではなく、プロジェクト型の研究活動を適切に運営していくことは可能、改正法の下で新たに締結する労働契約の内容を適切なものにすることを始めとして、合理性のある解雇理由が生じた場合に、そのことが客観的に明らかになるようにしておくことである、大学機関等においては、このための体制整備に適切に取り組むとともに、単に無期労働契約に転換することを忌避する目的をもって研究者等を雇い止めすることのないよう望みたいと。
 こうした検討もあって、大学や研究機関も労働契約法の適用除外にはしないんだと、こういう判断をしたんじゃないんですか、文部科学大臣。

○国務大臣(下村博文君) 改正労働契約法の施行に向けて、昨年五月に総合科学技術会議の有識者議員から御指摘の労働契約法の改正案について出されたことは承知をしております。これを踏まえまして、文部科学省においては、厚労省や国大協とも協力をして、大学側に対してQアンドAを示すなど、適切な対応に向けて準備を進めてきたところであります。
 一方、本年四月の改正労働契約法の施行以降、研究者等については大学や研究機関等において五年までの間で無期契約に転換するかの判断が必要となったが、大学等の研究開発の特性を踏まえると人事労務管理に課題があるとの指摘もあったところでございます。
 このため、本年六月に閣議決定された日本再興戦略において、労働契約法をめぐる課題について関係省が連携して直ちに検討を開始し、一年をめどに可能な限り早急に結論を得て、必要な措置を講ずることとされたところでもあります。
 また、ノーベル賞受賞者への衆参表祝行事等における山中伸弥教授からの強い要請や大学団体からの要望、また実際に京都大学iPS研究所に提案者等が訪問された際の研究者などからの要請など研究現場からの要請等も踏まえ、我が国の研究開発能力の強化等を図るため、今回、研究開発強化法及び任期法を改正し、労働契約法の特例を規定することとなったというふうに承知をしております。

○田村智子君 大学関係者からその五年で雇い止めにしなくちゃいけないんだのような声が起きているのは、その一番の原因は、それは独立行政法人に対する運営費交付金を削られ続けてきたと、これが一番の原因だということは、様々な大学側が出している文書を見ても、私もそうだなと思いましたよ。
 例えば、今年の五月、北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、早稲田大学、慶応義塾大学など十一大学の学長による学術研究懇談会、これ、「日本の国際競争力強化に研究大学が貢献するために」という提言をまとめているんです。この中で、国立大学法人運営費交付金は、この交付金は正規雇用の人件費でほぼ相殺されてしまうと、それぐらい貧困なものなんだ。研究費、競争的資金とか補助金は、これは資金を使うときの規制があって、このお金で正規の人を雇うことはできないと。非正規の人しか雇用ができない。ずうっとこの間、文部科学省が運営交付金は削り続けるわけですよ。
 一方で、競争的資金、研究費は増えていくんですよ。そうしたら、非正規を増やすお金はどんどん増えていく。だけど、若手研究者のポストをつくるお金、そもそもの運営費交付金の方が全く伸びていかない、むしろ削られていく、ポストがつくれない、だから無期転換することが困難だということをこの十一大学の学長の皆さんは書いています。学術会議からも言われています。いろんな大学が同じことを指摘しているんですよ。
 そのことの解決こそ求められているんじゃないでしょうか。基盤的経費を増やして若手研究者のポストをつくる、それこそが国の戦略だと思いますが、文部科学大臣、いかがですか。

○国務大臣(下村博文君) 研究者は複数の有期雇用契約を繰り返しながら、その過程で多様な教育研究経験を積み重ねていくことにより能力の向上を図り、テニュアポスト等の安定的な職に就いていく傾向が一般的にあるわけであります。
 今回の特例は、京都大学の山中伸弥教授や大学、団体等からの要望等も踏まえ、緊急的に措置することとしたところであるというふうに聞いておりますが、これによりまして、研究者等が有期雇用期間中の研究実績に関する評価を適切に受け、将来的に無期雇用への転換を目指す上で、プロジェクトへの長期的な参画によりまとまった業績を上げやすくなるとの効果が期待され、雇用の安定化にも資するものと考えております。
 なお、研究者等の雇用の在り方については、改正法の附則第二条において、法律の執行状況等を勘案し、検討を加え、必要な措置を講ずるものとされておりまして、文部科学省としても今後適切に対応してまいりたいと考えております。
○田村智子君 そんなふうに若手の研究者を非常に不安定なまま十年働かせるとやっていたら、若手教員、日本からいなくなっちゃいますよ、若手の研究者。
 今、住宅ローンも組めないというふうに答えているポスドクの方、若手研究者の方、七〇%以上いるというんですね。これ、日本学術会議基礎医学委員会が二〇一一年に調べた結果ですよ。これで研究者の育成なんて言うのはとんでもない。
 ちょっと時間がないので次に行きます。研究開発法案の二十八条、科学技術の振興に必要な資源の柔軟かつ弾力的な配分についてお聞きします。
 法案では、必要な資源配分の対象として、我が国及び国民の安全に係る研究開発ということを加えていますが、これは一体何を指すのか、お答えください。
○衆議院議員(大塚拓君) お問合せの件でございますけれども、我が国及び国民の安全に係る研究開発とは、具体的には、安全で安心して暮らせる社会の形成、災害、貧困、その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威の除去、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障等にかかわる研究開発ということを想定しているところでございます。
 国の安全や国民の安全にかかわる研究開発というのは、通常の経済原理にのっとった研究開発への投資、投資したお金を何らかの形で回収をしていくと、そういう経済原理の中では予算を配分し難いけれども、その結果が実現をしたとすれば社会的に大きなインパクトのある革新的なイノベーションをもたらす、そういう可能性のある大きな価値をもたらすもの、こういったものを誘発していくという効果があると考えております。正の外部効果というのが高く期待をされる分野でございます。まさに研究開発によってフロンティア分野を開拓をしていくということを想定しておるものでございますけれども、田村委員も座右の銘が開拓精神ということでございますので、是非御賛同をいただきたいと、このように思っておるところでございます。

○田村智子君 具体にお聞きします。
 総理大臣を議長とする総合科学技術会議は、今ImPACT、革新的研究開発推進プログラム、これ推進しようとしています。これは、米国防総省の国防高等研究計画局、DARPAをモデルとしたもので、今年度の補正予算獲得に並々ならぬ決意を山本担当大臣が記者会見で述べられています。このImPACTで推進するような研究開発に重点的な資金配分を行うということなんでしょうか。

○衆議院議員(大塚拓君) まさにこのImPACTというものは、そうした意味で、経済原理にのっとらなくても革新的なイノベーションというものをもたらしていくために非常に重要なツールであるというふうに考えているところでございます。私どもとしても、こうしたところへの資源配分が適切になされていくということが求められると考えているところでございまして、まさにImPACTは対象になるプログラムであるというふうに考えているところでございます。

○田村智子君 この中には、防衛省防衛技術本部との研究というものも含まれてくると思うんです。まず確認しますが、二〇〇四年以降、防衛技術本部と大学との共同研究の実績はどうなっているでしょうか。数字だけでいいです。

○政府参考人(外園博一君) お答えさせていただきます。
 現在、防衛省技術研究本部と大学や独立行政法人との間で二〇〇四年以降、十二件の研究協力に関する協定を締結しております。また、そのうちの五件が大学との研究協力に関するものでございます。

○田村智子君 この大学との共同研究が五件ということで、産経新聞などはこれ非常に少ないということを問題にしたんですね。衆議院の中では、東京大学が非軍事で研究目的をやっているのはけしからぬなんという、大学自治に介入するのかと思えるようなやり取りまであって、私非常に驚きました。
 このImPACTでは、民生、防衛、共用、デュアルユース、この技術は排除をされていません。これも山本担当大臣明言をしているんです。このImPACTでは、具体の研究開発のプログラムのマネジメント、各研究者が行う研究プロジェクトの公募、採択、遂行、管理などをプログラムマネジャーが行うとしています。
 では、デュアルユース、民生、防衛、共用の分野ではプロジェクトマネジャーに防衛技術本部の研究者がなるということはできるのでしょうか。これ内閣府。

○副大臣(後藤田正純君) ImPACTについての御質問ありがとうございます。内閣府でございます。
 今の御指摘でございますが、ImPACTにおけるプロジェクトマネジャーは、総合科学技術会議の設定するまずテーマの下で公募し選定することとしております。そのプロジェクトマネジャーの選定に当たりましては、研究開発プログラムの構想、達成目標、実施体制などの提案内容、そして資質、実績等を見極め適任と認められた場合に限るなど厳選することといたしております。
 したがって、プロジェクトマネジャーは、産官学から優れた人材を発掘したいというふうに考えておりまして、特定機関に所属する人材をあらかじめプロジェクトマネジャー選定の対象から除外することは考えておりません。

○田村智子君 除外することを考えていないということは、あり得るということです。
 ImPACTについて、第四回科学技術イノベーション予算戦略会議で青木議員は、ImPACTはデュアルユースが一つのポイントとなっていると発言をされています。さらに、防衛省・自衛隊のニュースを主とする新聞、「朝雲」によりますと、防衛技術シンポジウム二〇一三で総合科学技術会議の久間議員は、防衛省に対して、デュアルユース技術を視野にプログラム開発に取り組んでほしい、防衛省は人材が豊富、人の育成と優れた人材の発掘でも協力してもらいたいと、こう発言をしています。
 このデュアルユース技術には防衛技術本部が参画も予定をしていると。挙げられている研究テーマには、レーザー光線を使った観測装置、ドップラーレーダー、無線送電も可能にするマイクロ波送電、解読不能な量子暗号があるというふうにされております。
 テーマ設定などの議論は事前に漏れるとまずいということで、私たち国会議員にも説明できないのに、防衛技術本部が参加することは決まっています。ImPACTは、プログラムマネジャーの下に大学研究機関が研究を進めることになっていると。こうなると、研究開発が平和利用の視点からだんだん、これまでは研究開発というのは平和利用が原則だと……

○委員長(丸山和也君) 田村委員、質疑時間が来ていますので、まとめてください。

○田村智子君 はい。もう徹夜で準備したんですから、ちょっとぐらい見てください。

○委員長(丸山和也君) 見ましょう。

○田村智子君 それで、ほとんど、さっき言ったように防衛省との共同、言わば学と軍の共同というのは進んでこなかった。これを今度は一気に進めていくということにもなるんじゃないでしょうか。これは内閣府と提案者にお聞きをいたします。

○副大臣(後藤田正純君) あくまでImPACTにおきましては、デュアルユースというのは、国民の安全、安心に資する技術、そして産業技術、この相互の転用が可能であるというテーマ設定を可能としているものでございます。
 したがって、産業競争力の飛躍的な向上、社会的課題を克服する革新的イノベーションが創出された場合に、これは多様な活用先の一つとして国民の安全、安心に資するものに使われる、活用されるということも想定していると、そういうことでございます。

○田村智子君 一言いただいて終わりますから。

○衆議院議員(大塚拓君) 一つ御理解をいただきたいのは、本法案のスコープは専守防衛といった我が国の防衛政策の根幹を変更するようなものではないということはまず御理解をいただきたいというふうに思っております。
 それと同時に、デュアルユースといった分野は、やはり革新的なイノベーションを出していく上で世界的には極めて重要なソースでございます。我が国においてこのパスが存在していないということは我が国にとって非常に問題があるというふうに考えているところでございますし、もう一つ申し上げますと、防衛というのは非常に国の、国民の生命、財産を守る非常に公共的な使命の高い分野でございます。その分野に関することのみをもって問題があるというふうに指摘をされることはいささか違和感を提案者としては感じるところでございます。

○田村智子君 もっと審議が必要だということを申し上げて、終わります。

○委員長(丸山和也君) 田村委員、よろしいでしょうか。

○田村智子君 はい。

○委員長(丸山和也君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(丸山和也君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 まず、昨日以来の乱暴な委員会運営に断固抗議をするものです。昨日の夜の議運委員会で採決によって本委員会への付託が決定され、その後の本会議休憩後の二十二時三十分からの理事懇談会で、民主党理事が出席しない下で委員長職権で本日の委員会立てが行われました。そして、趣旨説明、質疑、採決まで強行されようとしています。
 各会派の合意に基づく丁寧な運営どころか、十分な質問準備の時間も保障もされていません。民主党やみんなの党の質疑も保障しないまま採決を行おうとしています。これでどうして良識の府、熟議の府と言えるでしょうか。委員長、与党の理事に対しては猛省を求めるものであります。
 本法案は、大学研究機関で教育、研究に携わる有期雇用の研究者、技術者などを対象に無期雇用への転換申立ての権利を得る期間を五年から十年に先延ばしし、十年もの長い間、いつでも雇い止めを可能とし、不安定雇用を増大させるものです。
 対象となる大学の教員、研究者である大学院博士課程修了者の多くは、修了後、任期付きの大学教員、ポストドクター、非常勤講師などの非正規の職にとどまり、数年たっても正規の職を得ることができません。学術会議を始めとして多くの大学研究機関などが求めてきたように、必要なのは研究の継続性が確保され、解雇の心配をする必要がない正規のポストの増加です。
 行うべきは、労働契約法改正の趣旨をゆがめた任期付研究員、非正規教員などの雇い止めを容認して労働契約法の抜け穴をつくることではなく、労働契約法改正の趣旨にのっとった対応を大学や研究機関に徹底し、正規・無期雇用転換を促すとともに、基盤的経費の増額で大学を支える財政措置を拡充することであります。改正労働契約法の施行後一年も経ず、労政審等、三者構成を原則とした議論も踏まえず新たな特例を設けることは、拙速に過ぎ、認められません。
 また、本法案に、国及び国民の安全に係る研究開発という名目で、軍事、民生の相互転用可能な技術の研究開発の促進が盛り込まれました。この結果、研究開発の平和利用が歯止めになっていた防衛省技術研究本部と大学などとの共同研究が促進されることになります。また、軍事研究への継続的な資金配分を行うことを国に義務付けています。安倍政権は、武器技術や武器そのものの輸出を成長戦略に位置付けています。本法案はこの方向を更に進めようとするものであります。平和憲法を踏みにじり、我が国の研究開発の重心を軍事技術に傾けることになります。
 本法案には、このほかに、研究開発イノベーション創設のためとして研究開発法人の出資を可能とすることが盛り込まれましたが、出資した後の利益、毀損した場合の扱いなどの問題点があることも指摘しておきます。
 最後に、このような法改正は若手研究者を使い捨てにし、基礎研究が一層軽視され、結果としてイノベーションの創出にもつながらないということを指摘し、反対討論を終わります。