【13.04.25】厚生労働委員会 丸川珠代労働政務官が人材派遣会社の意見広告に登場した問題、現物給付型医療保険解禁について
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。丸川政務官の広告、登場されたことについてお聞きをいたします。
いろいろ広告がどこの広告かということが議論になっていますけれども、結果として、ヒューマントラスト社の広告で、同社の社長と対談をした、監督官庁の政務官が監督の対象となる一事業者の広告を行ったというのは、これはもう事実なんですよね。だから、これは本当に問題だと私も思います。
まず、私、お聞きをしたいのは、丸川政務官は、ヒューマントラスト社は問題のない企業だと確認した旨の委員会答弁を繰り返し行っておられるんですね。じゃ、実態はどうなのかということを少し見ていきたいと思うんです。
この対談で阪本社長は、就業当日に給与の一部を日払いするキュリカを大変押し出して宣伝をしておられる。このキュリカを利用した派遣労働者からは、手数料が引かれるんだという指摘の声が上がっています。
まず、労働基準局長に一般論でお聞きをいたします。
労使協定がない下で給与の一部を控除する、手数料などの名目で控除をすると、これは違法ではないでしょうか。
○政府参考人(中野雅之君) 一般論として申し上げます。
労働基準法では、賃金について全額を支払うことを使用者に対し義務付けております。使用者が労働者に対して賃金を支払う際に賃金から控除を行う場合には、労使の書面による協定を結んでいただく必要がございます。
○田村智子君 これは日々の働き方ですから、恐らく労使協定という枠の外に置かれた労働者の皆さんがこのキュリカを使っておられるというふうに思うんですね。違法なんですよ。
そんな違法行為をこんなあからさまにやっているのかと思って、キュリカについてヒューマントラスト社のホームページを詳しく調べてみました。津田議員のでしょうか、のところにもあるんですけれども、なかなかこういう具体の説明にたどり着けないんですよ。たどり着いてみて分かったのは、この資料の中にもあるんですけれども、これは労働者に給与の相当額の一部を貸し付ける制度なんですね。だから、貸付けのための手数料を一回三百十円徴収をしているわけです。
しかし、政務官が登場した広告にも貸付制度という説明は一言もありません。ホームページでも給与即日払いサービスだと大きく銘打っています。だから、多くの労働者、ほとんどの労働者はこれは給与の一部を受け取るシステムだと認識をして、手数料徴収は違法じゃないかという声もインターネットの書き込みの中で現れてくるわけですね。
これは、そのホームページを見た労働者はどうするかというと、キュリカの情報なども見てそのまま派遣登録するわけですよ。言わば募集に応じているわけですよ。となると、これは虚偽の求人広告とも言えるのではないかと。
適切なやり方であるのかどうか、安定局にお聞きしたいと思います。
○政府参考人(岡崎淳一君) これも一般論でお答えいたしますけれども、労働者の募集の際には基本的には労働条件をきっちり明示していただくということが基本でございます。その際に、必ずしも労働契約締結と同じになるわけではない場合もありますけれども、それはその可能性を含めてしっかり明示していただくというのが基本であるというふうに考えております。
○田村智子君 実際に誤認している方がいっぱいいますし、恐らく丸川政務官も対談したときには誤認をされたのではなかろうかというふうに思うわけですね。
もう一点、これは基準局長に確認をしたいのですが、労働条件通知書、これは法令に従うと誰が作成をすることになっているのか、お答えください。
○政府参考人(中野雅之君) 一般論で申し上げます。
労働基準法では、使用者に対しまして、労働契約の締結時に労働者に対して賃金、労働時間、その他の労働条件を書面で明示することを義務付けております。
○田村智子君 その答弁を受けて、ヒューマントラスト社の企業向けのページ、まとめんCAを紹介するホームページのページを打ち出したので御覧いただきたいんですけれども、ここには、まず打ち出しからして、「派遣法改正後も今までと同様の業務効率運営が可能日雇派遣を」と、こう書かれていて、ちょっと意味がよく分からないんですけれども、続いて、これは三十日未満の日雇派遣が原則禁止になったと、これはちゃんと説明しています。
その上で、自社での日々直接雇用は業務量及びコストの増加が発生すると説明をして、私どものまとめんCAを利用すれば、求人募集、応募者管理、面接手配、労働条件通知書の作成、シフト調整、勤怠管理、月次給与、とにかく給与にかかわることですね、それから、給与の明細作成、振り込みデータ作成、日払い対応、社会・労働保険手続、年末調整まで全ての業務をヒューマントラスト社が行いますよと、こういうふうに書かれているんです。これは偽装日々紹介ではないかと。しかも、法令で定めている労働条件通知書の作成をあなたのところはしなくていいんですよと、事業主に法令違反の勧めまで行っていると、こういう中身になっているんです。
丸川政務官、ヒューマントラスト社のこのようなやり方は調査や是正指導の対象ではないかと思うんですが、先ほど必要があったら調査を行っていくという御答弁が繰り返し行われていました。ヒューマントラスト社、調査すべきではないでしょうか。
○大臣政務官(丸川珠代君) 問題があれば厳正に対処するべきだと思います。
○田村智子君 是非調査を行っていただいて、法令違反をお勧めする、自らも犯すというような企業は厳正に対処をしていただきたいと思っていますし、そういう企業の広告に結果としてあなたは登場したんだということをやっぱり深く受け止める必要があるんじゃないかと思うんですね。
私、こういう広告に出たのは偶然でも何でもないと思っているんです。丸川議員はこれまでも、派遣事業への規制強化が行われようとすると、派遣業界と立場を同じくして意見を述べてこられました。例えば、二〇一〇年、専門二十六業務が本当に専門的業務になっているかどうかを厚生労働省が立入調査を行ったときには、人材派遣協会が厚労省に要望書を出したと、その直後にその要望を受ける形で調査に抗議する委員会質問を行っておられます。二〇一二年には、派遣法改定の際、日雇派遣の規制を行うべきではないなどの論戦を張ったことを私は鮮明に覚えております。
業界からは、こういう言わば要望という政策提言的なものを受けただけではなく、二〇一〇年、二〇一一年には、製造業派遣の事業所と業界団体でつくる政治連盟新労働研究会からパーティー券各六万円、二回、購入を受けていると、金銭の支援を受けていると。これは政治連盟新労働研究会の政治資金収支報告書に記載がされています。事実です。
丸川議員、「人材ビジネス」二〇一三年一月一日号、これはまあ政務官になる前に受けたインタビューかとは思います。そのインタビュー記事の中で、労働者派遣制度は、基本的に規制をするというよりも活用するという姿勢が大切だと、こう述べられているように、派遣業界は全体として優良な業界だと、もっと育てていくことが必要だと。何か問題あれば厳正に対処と言いましたけれども、全体としてはもっと活用していく業界だという立場でいたから、こんないかがわしいことをやっているようなヒューマントラスト社もそのまま信じて広告に出てしまったのかなと思うんですね。ただ、それは派遣業界の実態を余りにも見てないんじゃないのかというふうに思うんです。
厚生労働省のまとめで、二〇〇六年度、労働者派遣事業にかかわる企業、これ調査件数九千七百七十六件、うち是正指導は六千二百八十一件です。二〇一一年度は、調査件数一万四千五百三十件、うち是正指導は九千二百八十件にも上ります。調査も是正指導もこれ増え続けているわけですね。企業名公表にまで至った悪質な違法、この中には三菱電機のグループ企業、三菱電機プラントエンジニアリングとか、派遣大手の株式会社新日本も含まれているわけです。
この現状を、丸川政務官、どのように思われますか。
○大臣政務官(丸川珠代君) 問題のある派遣企業をきちんと指導していくということは非常に正しいことだと思っておりまして、まさに私が望むところは、派遣制度の中で問題のある企業をどんどんと市場から追い出していくことにあるというふうに思っています。
○田村智子君 かなりそうやって真っ正面から御答弁されると、じゃ、ちょっと聞きたいんですけれども、じゃ、そういう派遣の指導対象かなと思われるヒューマントラスト社の広告に結果として出てしまったということはどのように認識されておられるわけですか。
○大臣政務官(丸川珠代君) こういう御質問を受けることになったこと自体が非常に極めて遺憾だと思いますし、問題があれば厳正に対応するべきだと極めて強く思っております。(発言する者あり)
○田村智子君 そうなんですね、御自身の問題はどうなのかというふうに本当に思うんですけれども。
実態は、一部企業を指導していけばいいような事態じゃないんですよ。今も違法派遣というのは増え続けてしまっていて、ここに厳正に対処するということが厚生労働省には求められているわけで、労働者の物扱いを根絶するんだと、こういう立場に立つべきだというふうに思います。
しかし、政務官の発言、この広告の中でも言っています、ニーズがあるのに規制すればアンダーグラウンドに潜ると、こういう発言をされているんですよ。規制が強化されるから違法が増えるんだと言わんばかりの発言ですね、これは。これは規制強化されるから違法件数が増えているんだと。これでは私は派遣業界を監督指導できないというのは明らかじゃないのかなと。
これ、雇用担当の政務官の任としてふさわしいのか、大臣、どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) いや、実は、弁明するわけでも何でもないんですが、自民党の中でいろんな議論をしてまいりました。派遣業者の中に、言われるとおり、非常に態度の悪い派遣業者はあるんです。それをどう規制するか、規制するための法律を作ろうではないかということで議員立法を準備してきたことも事実でございます。
派遣という働き方自体が全て悪いとは我々は思っておりません。それは、政労使の中においてもいろんな議論の中において、派遣法というものを今まで数度改正をしてきたわけであります。でありますから、全ての派遣が悪いとは思いません。
しかし、一方で、派遣の中において、言われるとおり、労働者の権利を守らない、そのような業者が多いことも事実であります。そこをどのような形で整理をして、不良業者を指導して是正をしていくか、若しくはそのような業者が入れないような制度にするか、そういうことを考えていくのが厚生労働行政だと思っておりますので、そのような観点から労働者の権利の保護を進めてまいりたいというふうに思っております。
○田村智子君 規制を強化すれば問題が起こるんだという発言とはそれは矛盾すると思うんですね。それで、先ほど言ったように、派遣大手も違法派遣が後を絶たないと。ここの問題が全く解決されていないのに、規制を強化したことが問題だという発言を繰り返されていると。私はもうこれは、議員として発言するなら分かるんですけれども、厚労省の担当政務官としてやっぱりこれはふさわしいとはとても思えないんですけれども。
これはちょっと問題を少し、また恐らく議論の機会があると思いますので、これは丸川議員の問題にとどまらないんですね。これ、今お話ししたように、違法派遣という実態が一向に止まらない。増え続けている。いかに監督するかという課題が本当に厚生労働省の目の前にある。
ところが、産業競争力会議で厚生労働大臣は、成長のための労働政策という提案をされていますよね。この中で、労働者派遣制度の見直しに向けた検討を加速するということを明記されています。この間、民主党政権のときに大臣が提出された派遣労働法の改正、修正の中身を見れば、規制強化ではないという提案もされていたので、一体どういう方向で派遣労働が見直されていくんだろうかと大変私これ危惧をしています。
また、派遣事業を含む民間人材ビジネスを大きく位置付けた新たな施策というのも思い切って提案をされておられます。その一つは、労働移動支援助成金の抜本拡充と。現行の制度は、中小企業を対象として、定年、解雇、離職を余儀なくされた労働者の再就職支援を民間の職業紹介事業者に委託をし、再就職が実現した場合に委託費の二分の一、労働者の年齢によっては三分の二、これを助成する、上限四十万と、こういう制度です。ごめんなさい、説明受けようと思ったんですけど、済みません。抜本拡充の提案も、これ見てみると、中小企業だけでなく大企業も対象とするんだと。再就職をした後に助成するだけでなく、再就職支援を委託したときにも助成金を出すんだと。民間人材ビジネスの、これ派遣事業なども含まれます、ここでの職業訓練、これへの助成も新たに創設するんだと。
大変、言わば派遣業を含む人材ビジネスに多額のお金が流れ込んでいくというような政策になっていくんじゃないのかなというふうに思うんです。違いますか。
○国務大臣(田村憲久君) ここでも、今委員おっしゃられましたが、民間ビジネスといいますか、送り出し企業の方にしっかりと助成をしようと。送り出し事業の方から民間人材ビジネス事業者にお金が行った場合、委託した場合には流れるでありましょうけれども、基本的にはその送り出し企業の方にまずしっかり支援をやろう。
それから、一方で、それを引き受けた企業ですね、就職を、そちらに対しても、オフ・ザ・ジョブ・トレーニング、オン・ザ・ジョブ・トレーニング等々、いろんな部分でこれからいろんな職業訓練をしなきゃいけませんから、そちらの方にもしっかりとお金が行くようにしようということでございますので、決して民間人材ビジネス、企業にだけお金が行くというわけではございませんでして、全体的にこれを支援していこうという、こういう枠組みでございます。
○田村智子君 再就職支援を大規模に民間人材ビジネスを使って進めようというと。そこにはお金も出すんだと。当然、民間人材ビジネス、派遣業を含む、ここの何というか業務が拡大する、その利益になるということは明らかな仕組みだと思うんですよね。
それで、予算のことを聞きたいんです。この助成金、今年の予算は中小企業対象ですから、一億九千万円なんですよ。非常に少ないんです。これだけの抜本拡充しようとすれば、これ相当な予算増が必要で、一方で雇用調整助成金の大幅縮減ということも言われていて、そうすると、雇用調整助成金、今年度予算で減らされていますけれども、それでも一千百七十五億円積んでいるんですよ。片や助成金は一・九億円ですよ。
これ、この助成金の制度が数十倍とか百倍とか、そういう規模で膨れ上がるということですか。
○国務大臣(田村憲久君) それはこれからの制度設計でありますとか試算によってどうなってくるかという話になろうと思いますが、もう御承知のとおり、雇用調整助成金はリーマン・ショック以前と比べて大変な膨らみになったわけですね。これは当時の雇用情勢考えれば仕方がないことでございますが、それから日にちがたってきて、今大分労働環境が変わってきています。有効求人倍率ももうかなり上がってきていますよね。失業率もかなり下がってきている。こういう状況の中で、いつまでも雇用調整助成金というわけにはいかない、これはもう委員も御承知のとおりだと思います。
一方で、そういうものを、雇用調整助成金というものがあっても、今非常に本来の基準より緩和しております、条件を。それであっても、多くの企業が国際競争力の中で、今自主的な退職も含めて割増し退職金等々でいろんな方々が実質上会社を去られておられるわけでありまして、その方々は失業者にもなられておられるわけでありますから、そう考えたときに、その労働移動というものをどうするかというのはこれは喫緊の課題でございますから、失業がない中において労働移動するというのが我々の大きな目標でございますので、そのような形で人がうまく動いて新しい職場でしっかりと頑張っていただけるような、そういうような政策を進めてまいるということでございます。
○田村智子君 予算がどういうふうになるかというのは、検討と言いつつお答えいただけない。恐らく巨大な助成金にならざるを得ないんじゃないかというふうに思いますよね。
私は、これは電機リストラのようなことを今進められている、大規模に進められている、これが政府が助成までして一層進めることになるんじゃないのかと、雇用の安定図るということからリストラ支援にかじを切ると、厚生労働行政が、これに等しいんじゃないかというふうに危惧をしております。
この電機リストラも、単に失業させているというだけじゃないんです。人材ビジネスを既に介在をさせて、再就職支援の名目で労働者を追い詰めるというやり方が既に横行しているわけですね。例えばソニー、労働者を従来の職場から隔離をしたいわゆる追い出し部屋に入れて、次の仕事を探すことが業務だと、まさに雇用移動があなたの業務だというやり方なんです。ここにパソナとリクルート、これが絡んでいるわけですよ。
それで、電機産業だけではないです。資生堂、黒字決算です。だけど、口紅製造の拠点である鎌倉工場閉鎖を打ち出しました。直接雇用の女性労働者五百人、再就職を外資系人材会社ランスタッド、ここに委託をしている。ランスタッドは、労働者に退職届を先に出さないと再就職あっせんに必要なIDは提供できませんと説明をするわけです。まず辞めさせると。仕事紹介の基本はパソコンなんですけれども、これやってみた女性労働者は、エンジニアなどの資格要件のある求人ばかりで、ある女性は六十か所から条件外だという返事が返ってきて、見付からないと、困ってしまってランスタッドの窓口まで行って相談したら、ハローワークに行ったらどうですかと言われたと、こんな実態があるわけですよ。
現に大企業は再就職支援だと銘打ってやっているわけです、雇用移動だと言って。実態まず調べてみたらいかがですか、ソニーの追い出し部屋とかこの資生堂とか。
○副大臣(桝屋敬悟君) 今いろんな事例のお話がございました。
昨年末以降、様々な報道もあったわけであります。こうした報道等に対して、こうしたまた事実に対して、大臣が直ちに指示をいたしまして、今お話のございましたところも含めて企業の幹部を厚生労働省本省に呼び出しまして、本省幹部、本省職員が直接事情聴取する方法によりましてその状況を調査したわけであります。その結果を大臣に報告した上で、結果につきましては大臣自らが、一月の末だったと思いますが、公表いただいたところであります。
今のような大規模な雇用調整事案、こうした対応につきましては、今後とも機動的な事実関係の把握あるいは裁判例等に基づく啓発指導にしっかりと取り組んでまいりたいと。今のようなハローワークではなくて、まさに労働局に御相談に行っていただきたいなと、こうも感じたわけでありますが。
○田村智子君 違う。私が言っているのは、もちろん追い出し部屋のことを呼んで聞いてもらったと、一歩前進だと思っているんですけど、私は新たな問題提起しているんですよ。この追い出し部屋が再就職支援だといってやられているんですよ。それで、大臣が提案しているように、民間人材ビジネスを入れて、まさに労働移動じゃないですか、自分のところはもうあなた要らないんだと、労働移動してほしいんだと、外から民間人材ビジネスも入れて、それで再就職活動やってくれということをやっているんです。
じゃ、その再就職支援活動というのが一体どのようなものなのかと。だって、お金出すって言っているんだから、そういうことに。これは、企業の人呼んで話聞いて、実態分からないですよ。そこまで行って、現場に行って、労働者からもお話を聞いて、いかなる再就職支援活動が行われているのかということを先行事例として調査をしてみたらいかがですか、大臣。
○国務大臣(田村憲久君) まず、産業競争力会議でこの再就職支援の議論が出ているときに、御本人の意向というものもしっかりと反映しなきゃいけないねというのが民間委員の方々からも御議論が出ておるという事実はお伝えをさせていただきたいと思います。本人の意向を無視して無理やりどこかに移すということ、これ自体はなかなかそれは難しい話でございます。ですから、御本人の意向というものが大変重要であろうと思います。
しかし、一方で、企業は、自らの企業の運営が成り立たないということになれば、最終的にはそれこそ最大の危機というものが訪れるわけでございまして、そのような中において最終的に全ての職員が大変な状況になるおそれもあるわけでありますから、そのような意味からすれば、企業は残る職員の方々の保護ということ、労働者の権利というものも含めながら考えていかなければならないわけでありまして、そこはいろんな選択をせざるを得ないという状況、これは資本主義経済でありますから致し方がないわけであります。そんな中において、そのような状況をつくらないためにも労働移動支援というものをやる必要があるのではないかと、こういうことがあるわけでございますので、そこには我々はしっかりとお手伝いはしてまいりたいというふうに思っております。
なお、もしそれぞれの御本人の意思を無視したりでありますとかひどい状況に関しましては、先ほど副大臣からお話がございましたけれども、労働局に個別労働紛争の相談室がございますので、そちらに行っていただければ適切なまた御指導等々ができるのではないかというふうに思っております。
○田村智子君 聞いていることになかなかお答えいただけないんですね。
大臣が提案されているんですよ、産業競争力会議にね。産業競争力会議でどういう議論があるかというのはあるんですけれども、大臣が労働を移動させるために、労働者を移動させるために国が助成金を出して民間人材ビジネスによる就職あっせんをもっと導入したらどうかとおっしゃっておられるので、だから、現に大企業行っていますよ、その実態調べたらどうですかとお聞きしているんですけれども、なかなか、いや、助成金受けずにやっているわけですよ。今言ったでしょう、ソニーもパソナとかリクルート入れてやっているわけだから、その中身がどういうものなのかということを、聞き取るだけじゃなく実際に見に行くこと必要だと重ねて要望しておきたいと思います、もう平行線だと思いますけど。
私、やっぱり今リストラに走っている大企業、成熟産業がどこかとかいろいろな議論ありますけれども、例えばパナソニックだって、一方で大量に首切ったけど、残っている研究開発の方はもう夜中零時になっても家に帰れないというほどの超長時間、超過密労働になっているわけですよ。果たしてその人員削減がふさわしいものなのかどうかということなんです。
長時間労働、不払残業、いまだ蔓延していると。これを是正するだけでも、新たな雇用というか雇用の継続できるんだと、ワークシェアリングのようにできるんだと、二百八十万人分の雇用が生まれるんだという、そういう調査さえあるわけですよね。常用雇用労働者の労働時間見てみれば、二〇一一年の二千六時間からこれ二千三十時間へと増えています。残業も百五十六時間から百六十時間へと増えていると。
ここにこそやっぱりメスを入れて、人間らしく働けると、安易なリストラ支援やらないということが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 安易なリストラ支援なんてやるつもりは全くないわけでございまして、我々は、まず失業なき労働移動をどう果たしていくかということを考えているわけでございますから、リストラ支援をやるつもりはございません。それから、サービス残業等々、これは労働基準法上違反でございますから、そういうものがあれば適正にこれに対しては対応してまいるわけでございますし、委員がおっしゃられますとおり、やはりワーク・ライフ・バランスも含めて、労働者の方々がしっかりと生活の質というものに対応したような働き方、こういう働き方を我々も要望いたしておるわけでございまして、適切にまたそれぞれの事業者等々に対しては啓発活動をしてまいりたいというふうに思います。
(午後の質疑)現物給付型医療保険の解禁について追及
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
金融審議会保険商品・サービス提供等の在り方に関するワーキング・グループで、保険の現物給付や新たな保険商品の開発、保険商品の募集、販売の在り方についての議論が行われています。
ワーキング・グループでは、生命保険の現物給付の導入については見送ったと、しかし、その代わり、医療機関などへの保険金直接支払制度の導入、これと併せて保険会社が提携する財・サービス提供事業者を保険契約者に紹介すると、こういう保険商品を可能とするという方向が示されました。これは現物給付に大変近い方法なので、そういう財・サービス提供が可能というふうになるわけで、一定のルール整備が必要だという方向も示されています。
この議論の整理の中では、いろいろ言われているんですが、現在ニーズがある事項については全て直接支払で整理することが可能だという意見とか、現行の法体系の下でも実現可能である直接支払で整理し対応することとしてはどうかと、早くこれをやろうというような議論が行われているんですね。
これは事実上、マスコミの報道でも現物給付の解禁と、こう書かれました。非常に重大な中身です。民間医療保険などの第三分野、また生命保険の保険契約で新たに直接支払サービスを提供するに当たって、それでは契約の変更や新たな保険商品の認可と、こういう手続が必要なのかどうかを、これ必要ではないという方向で検討していると聞いているんですね。お金を払う相手が保険の契約者からサービス提供事業者に変わるだけだと。それでは保険会社が直接支払をするそのサービス事業者、これはこの情報を保険契約者に提供していくと、これ全く新しい枠組みになるんです。これについては保険契約の変更や新たな保険商品の認可が必要となるのかどうか、どういう議論かお教えください。
○政府参考人(三井秀範君) お答え申し上げます。
先生御指摘のとおりでございまして、現在、金融審議会の保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループにおきまして、保険金の直接支払のサービスの是非につきまして検討が行われております。
まだ検討中でございまして、現時点でその確たる内容についてお答えする段階にはまだございませんが、途中経過で申し上げますと、このワーキング・グループにおけます議論では、保険給付自体を財・サービスによって提供すると、こういう現物給付型保険の解禁ということではなく、それはむしろ問題があるので、今回はしないという方向である他方、保険給付は金銭の支払で行うと、こういう現在の法体系の枠組み、この中でこの仕組みを維持しながら、まず附帯サービスとしまして、契約者に対してサービス提供業者の紹介を行うということとともに、契約者が当該事業者のサービスを利用した場合に、指図払いといたしまして、保険会社が保険金の中から当該サービスの代金をそのサービス提供事業者に対して直接支払うと、こういういわゆる直接支払サービスとして行ってはどうかという方向でおおむね議論が行われているというふうに承知してございます。
この考え方を前提といたしますと、直接支払のサービスにつきましては、保険金の支払という保険給付の内容を変更するものではありませんので、保険契約の変更ないしは新たな認可ということは必ずしも要しないものというふうに考える次第でございます。
○田村智子君 これ、現物給付に限りなく近い商品が契約の変更も新たな保険商品の認可も行わずに販売されることになりそうなんです。
これはどういうことかというと、例えば直接払いと提携事業者の情報提供サービス、これを組み合わせて、医療費の三割負担の自己負担分も見ますよとか、介護保険の利用料の自己負担分見ますよとか、あるいは介護保険外の介護サービスは賄えますよとか、制限日数超えたリハビリ見ますよとか、こういうことが次々と商品開発される可能性があるわけですね。今、例えば自動車保険の中では、完治していないんだけれども、一定期間過ぎたリハビリの費用負担、保険会社が拒否するという事例などが問題になってもいるんです。
そうすると、これ、中身をも、サービスの中身を提供する保険、そういう情報提供をして利用できるようになってくるわけですから、どういうサービスが提供されるのか、その質の確保はどうなのかということが本当に検討されなければならないと思うんです。そうすると、医療や介護サービスなど、提供されるサービス、これ極めて複雑なものにもなると予想されます。このサービスの内容とか水準、これは直接検査をして監督を行うということになるんでしょうか。
○政府参考人(三井秀範君) お答えいたします。
今、私申し上げましたとおり、今検討されております直接支払サービスのこの中身でございますけれども、これは、保険会社が事業者の紹介と、それから顧客、契約者の求めに応じた代金をこの事業者に対して行うと、こういうことでありまして、これは現在の自動車保険などで修理工場に支払っているものと何ら変わりはないところでございます。
サービスの提供自体は、保険契約者であるお客さんの指示なり指図に基づきまして、そのサービス提供事業者が保険契約とは別個の契約に基づいてサービスを提供するということになります。そういたしますと、必ずしも金融庁の検査監督の直接の対象になるものではないというふうに考えます。
他方で、保険契約の段階で、保険会社からお客さんに対して保険金を将来支払う時点でサービスを提供する事業者を紹介するサービスを行います、こういうふうに保険会社が明示して契約の勧誘を行うことが想定されますと、これは自動車保険などでも現在行われていますが、そういうことが想定されますと、その保険会社が将来紹介するであろうサービス内容に対しまして顧客、契約者の期待が生ずるということで、その期待を保護する必要があるのではないかという議論が金融審議会ではございます。
こうしたことから、保険会社に対しましては、紹介先の事業者が提供するサービス内容に対して保険会社からその契約勧誘時のお客さんに対してしっかり情報提供をする必要があるのではないか、さらには、紹介先の事業者が実際に保険金支払段階になって提供するサービスの質について保険会社が日常的に確認をするなど、適切な業者を紹介するような、そういった保険会社サイドの体制整備が必要なのではないか、こういった御指摘がこのワーキング・グループでもなされてございます。
そういうことでございますので、仮にこのような……
○田村智子君 急いでください、もう時間ないので。
○政府参考人(三井秀範君) はい。
このような義務が導入された場合には、金融庁といたしましても、しっかりその検査監督を通じて取り組んでまいりたいと思ってございます。
○田村智子君 これ、結局、情報提供がちゃんとされているかとか、ちゃんと提携事業者を確保しているかということしか検査ができなくなっちゃうんですよ。どういうサービス提供するかの中身のチェックができないというふうになってしまうんですね。これは私、非常に問題あるんじゃないかなというふうに思っているんですけど、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 現在も民間の保険で、医療の一定のサービスに対して給付を受けるというのがございますが、基本的には、自己負担の部分でありますとか、あと選定療養、また評価療養、この一部に対して保険等々で給付が受けれる。これは直接御本人でありますが、これを直接支払で今度は医療機関等々に支払うというような、こういうような制度設計なのかなと。詳しい話は我々も聞いていないので分からないのですが。しかし一方で、我が国の公的医療保険制度というのは、一つは、保険診療、これをしっかり確保することでございまして、自己負担とそれから高額療養費の組合せであるわけでございます。
あと、保険でカバーする部分というものはしっかりと、我が方でここはしっかりグリップをいたしておるわけでございまして、他の部分に関していろいろと民間保険の方で対応いただくようでございますけれども、我が方が保険で対応する部分をしっかりと守っている限りは国民医療保険というものは崩壊することはないというふうに思っております。
○田村智子君 その保険で手当てする公的保険のところが非常に不十分だという声がいっぱい上がっていて、だから民間保険に流れているという事態もあると思うんですね。
私、もう一つ危惧するのは、やはり高い保険料が払える方は、そういう自己負担分を民間保険会社に払ってもらったりとか、あるいは介護保険外の介護サービスが受けられるとか、こうやって今言ったように公的な部分が不十分なところを賄ってもらえる。そうすると、受けられる医療や介護の中身が、量もですね、非常にそういう貧富の格差が所得の格差によって生じてくるというような事態も生まれてくると思うんです。
それに拍車を掛けるようなやり方がこの直接支払で、事実上の現物給付にかなり近い金融商品の販売で普及されていくということになるんじゃないのか。これについては金融庁に対して、審議会に対して大臣も物を言うべきだと思うんですけど、保険でしっかり見るんだと、格差を生むようなそういう商品がどんどん出ていくということには歯止めを掛けるようなことが必要だと思うんですけど、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) ですから、高額療養費制度でありますとか合算制があって、介護と医療の中で合算制を入れているわけでございまして、その部分で上限というものをしっかりと守っていくということが大事であろうというふうに思っております。
○田村智子君 最後に一言だけ、済みません。
やはり今こうやって日米の保険会社が本当にすさまじい勢いで保険商品を売るわけです。事実上、現物給付に近いというものまで売ってくる。私は、それが逆に公的医療保険の範囲の拡大を妨げるような、民業圧迫を主張してというような事態にもなりかねないと思いまして、この動きはしっかり厚生労働の行政としては歯止めを掛けるようなことも時には必要だということを申し上げて、質問を終わります。