【13.03.21】厚生労働委員会−TPPが日本の医療制度に与える影響と保育所待機児問題について
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
まず初めに、TPP交渉参加についてお聞きをいたします。
野党時代の田村大臣と私は一緒に日比谷野外音楽堂でTPP交渉参加断固反対の鉢巻きを締めまして、頑張ろうと拳を掲げたことを鮮明に覚えております。前のめりの安倍総理に対して田村大臣が歯止めを掛けなかったと、これは私にとっても裏切られたという思いでいるわけであります。
大臣は、公的医療保険制度はTPP交渉の対象ではないという発言を繰り返しされていますが、日米二国間協議やTPP交渉におけるアメリカの関心事項として、政府の健康保険払戻し制度、日本に即して言えば、診療報酬、その薬価の問題が挙げられていると思いますが、大臣は当然このことを承知していると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 正直申し上げまして、前段委員がおっしゃられた部分に関しては、そのときからずっと私申し上げているんですけれども、民主党さんには申し訳ないんですけれども、当時、民主党主導で交渉されることは大変不安であると。つまり、外交等々非常に心配がございましたので、申し訳ありません、そういう思いの中で申し上げておった話でございまして、自ら交渉することを否定しておったのでは、私、大臣がやれないわけでございますので、そういう意味で、首尾一貫してそのように主張してきたということは御理解をいただきたいというふうに思います。
それから、今の点でございますけれども……(発言する者あり)済みません、申し訳ありません。これ、日米経済調和対策等々だけではございませんでして、こういうような薬の問題に関してはEUとのEPA交渉等々に含めても議論をさせていただいているわけでございまして、そういう意味では、米国とだけではなくて、いろんなところと協議する中において入ってきておる項目の一つであるということは確かでございます。
○田村智子君 外務省に確認をしたいと思います。
二〇一一年二月の日米経済調和対話協議で、薬価や医療機器の価格についてアメリカはどのような主張をしましたか。
○政府参考人(正木靖君) 委員御指摘の日米経済調和対話におけるアメリカ側の関心事項でございますが、我が国の医薬品、医療機器の価格に関し、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、市場拡大再算定、外国平均価格調整ルールなどが関心事項で挙げられております。
○田村智子君 これはもうちょっと丁寧に御説明いただきたいんですけれども、新薬創出加算についてはどういう中身で要求がされていて、市場拡大再算定ルールについてはどのような中身が要求されているんでしょうか。
○政府参考人(正木靖君) 失礼いたしました。
新薬創出加算につきましては、アメリカ側の関心事項として、新薬創出加算を恒久化し、加算率の上限を廃止にすることによりドラッグラグ解消を促進し、研究開発への誘引を強化すると。
それから、市場拡大再算定につきましては、市場拡大再算定ルールが企業の最も成功した製品の価値を損なわないように同ルールの廃止若しくは少なくとも改正し、日本における当該製品の開発を奨励する。
それから最後に、外国平均価格調整ルールにつきましては、日本における価格が外国平均価格より高いか低いかにかかわらず、製品が平等に扱われるよう、FAP、外国平均価格調整ルールを改定し、日本の薬価政策の公正な実施を保障するという内容でございます。
○田村智子君 つまりは、新薬の高い薬価はずっと維持をすると、そういうルールの恒久化を求め、市場拡大再算定ルールとか外国平均価格調整ルールのようにアメリカにとって薬価や医療機器の価格が引き下がる方向のルールは廃止をしてくれと、少なくとも引下げを抑える改正をしろと、こういうふうに求めているわけで、これはもう医薬品メーカーの利益に沿った、知的財産権を過大に要求するような身勝手な要求だというふうに言わざるを得ないんです。
日本では、前々回の診療報酬改定のときに、やはりアメリカの薬価は際立って高いと、このことを念頭に入れて、ある国が突出して薬価が高い場合は一定の補正を加えて外国平均価格を算定するというルールを追加して、そうやって薬価が高くなり過ぎないようにしたわけです。二国間協議やTPPの参加交渉でこういう日本のルールが不透明だと言われてアメリカの要求を受け入れるということになれば、新薬の薬価は高止まりします。公的医療保険の財政を圧迫します。薬が高くて治療が受けられないという患者が出てきます。こういう懸念は否定できますか。
○国務大臣(田村憲久君) 薬価の算定ルール等々が不透明だというようなお話があるのかないのか、そういうことを言われている国もありますし、そもそも、そんなこと自体、このTPP交渉、貿易交渉でそぐう問題じゃないと言っている国もございます。
いずれにいたしましても、日本の国が不透明だというのは、薬価算定ルールですよ、それはもう全くのうそでございまして、それぞれの製薬メーカーがしっかりと意見を算定をする中において述べられるようにもなっておりますし、また新薬を日本の薬価に収載する場合に、この場合には二回にわたって意見を表明できる、そういう機会も含まれております。何か一回目のときに不服があればその後もう一度意見を聞けるような、そういうようなルールにもなっておるわけでありまして、全くもって不透明な薬価算定ルールではないわけでありますから、そういうことはしっかりと主張をさせていただこうというふうに思っておりますし、そもそも、これが向こうの言うとおりじゃなければそのTPPは結べる結べないというような問題でもございませんから、交渉の中できっぱりと我々の主張をしてまいるということになると思います。
○田村智子君 かつて野党時代に、大臣、ブログの中で言っているんですけど、もうルールを決めるには遅過ぎると、〇八年、〇九年の時点ならまだしも、そうでない、こんな最終盤で交渉に入るということは非常にもう難しいんだって、御自身、ブログの中で書いていらっしゃるんですね、二〇一一年十一月三日。それでも大丈夫だというのは、私は、これは非常に無責任な発言だなというふうに言わざるを得ないなと思っているんです。
現にアメリカとFTAを締結したオーストラリアでは、一部の新薬の卸値が急騰して医療再生に既に影響を与えているという事実もあるわけですよ。薬というのは日本の公的医療保険財政の三分の一を占めているわけですから、現にTPPの交渉の対象になっていると、アメリカが大きな関心を持っていると。なのに公的医療保険は対象外というのは、これは私は詭弁じゃないかなというふうに言わざるを得ないんですね。
薬価だけじゃないんで、もうちょっと質問を進めたいと思います。
実は、国内でも公的医療保険の根幹にかかわるような問題が安倍内閣の下で議論がされようとしています。規制改革会議ワーキンググループは保険外併用療養の更なる範囲拡大を論点に挙げていて、二月二十五日の第三回規制改革会議に提出された四ワーキンググループにおける検討項目案では、「保険診療と保険外診療の併用制度について、先進的な医療技術の恩恵を患者が受けられるようにする観点から、先進的な医療技術全般にまでその範囲を拡大すべきではないか。」と、こういうふうに書かれているわけですね。保険診療と保険外診療の併用制度を医療技術全般に拡大すると、これはいわゆる混合診療を大きく拡大するということです。
現在、保険外併用療法による先進医療は、新しい医療技術や薬を保険適用するかどうかを評価する、そのための評価療養という枠組みが認められてきました。これまでも評価療養を経て多くの医療技術や薬が保険適用されてきました。じゃ、この評価療養の制度が変更されて、高度医療などを保険適用の評価のためではなく保険外診療として普及をしていくと、そういう検討を規制改革会議の中で行うことになるんじゃないでしょうか。内閣府に確認します。
○政府参考人(滝本純生君) 保険外併用療養の更なる範囲拡大についてでございます。
今後、規制改革会議やその下におきますワーキンググループにおきまして議論をしていくことになります。
具体的な内容などについては今後のこの会議やワーキンググループにおける議論を通じて決定されるところでございますが、規制改革会議におきますこの問題に対する現状の認識は、保険診療と保険外診療の併用が認められております評価療養を前提としたものでございまして、例えばその一つである先進医療について申し上げれば、国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点を踏まえながら、国民の選択肢を広げて先進的な医療に接する機会を拡大すると、そういう基本的な考え方に沿ってまずは議論が進められるものと、そのように考えております。
○田村智子君 そうすると、確認したいんですけれども、評価療養という制度、これ保険適用にしていくということを前提にしながら併用を認める制度ですね、この評価療養という枠組みは規制緩和の名の下に変更することはあり得ないと断言できるんでしょうか。
○政府参考人(滝本純生君) 今申し上げましたように議論はこれからでございまして、まだ本格的な議論は始まっておりません。ただ、今申しましたように、まずは評価療養の枠の中で拡大を図っていくということでございます。ただ、将来、審議会でございますので、どのような議論になるかは現時点では確たることは断言は申しかねます。
○田村智子君 今度は大臣にお聞きします。
三月一日の記者会見で、良い医療技術、良い薬というものが一般の方々に恩恵がないというのも問題だと、保険者、被保険者、国民の皆様方が理解をいただけるような範囲の中で新しい医療の技術の発展というものに対して、保険というものに対しての恩恵というものをこれから見ていかなければならないと、ちょっとよく分かりにくいんですけれども、こういうお話をされていて、そして十九日の衆議院の厚生労働委員会の中では、再生医療のような高度医療は費用が高いうちはなかなか保険適用はできないんだというような答弁をされています。
でも、評価療養というのは別に費用が安くなるから保険適用するという判断じゃないですよね。だって、心臓の病気のように、高いままだってこれはエビデンスがあるというふうになれば保険適用になっていくわけですよね。これ、規制改革の会議の検討のように高度医療を保険適用外のままで普及をしていく、拡大をしていくと、こうなっていく、大臣がおっしゃるとおり高いままだったら保険に入れるのはなかなか難しいと、こういうことになっていけば、アメリカのように高い費用のまま保険外の診療が普及をしていくことになる、お金のあるなしで受けられる治療の中身が違ってしまうと、こういう医療の未来像がこういう中から透けて見えるように私は思えるんですよ。
日本医師会など医療関係者は、国民皆保険制度の堅持というのは、将来にわたって医療保険給付の範囲が堅持をされて、国民にいつでもどこでも同じ医療を受ける権利を保障することだと、こう主張をされているわけですね。これら規制改革会議の議論とか大臣の発言聞いていますと、果たして日本医師会などが求めているような、お金のあるなしで受けられる治療が違ってくると、こういう国民皆保険が崩れていくような方向に行かないと言えるんだろうかと大変心配になるんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) まず前段の、私は以前、もう遅いという今日もおっしゃられましたTPP参加の話でありますが、これに関してはもう御承知のとおり、TPP、どんどんどんどん交渉が遅れていっております。そういう意味では、絶好のチャンスが訪れたということであろうというふうに思います。
それから、今の部分でありますけれども、ちょっと、全て何か医療保険というものを、財政が無尽蔵にあれば、それはもう新しい技術を全部すぐに保険適用すればいいわけですよね、安全性だとかその効果というもの、それが分かれば。しかし、なかなかそれが難しい中でこの医療保険制度というのをどう守ろうか、その中においてどうやって高度な、しかし初めは高い、そういうような医療技術又は製品、薬、こういうものの恩恵を国民の皆様方に受けていただくかということを考えた場合に、当然この評価療養というところで、費用対効果ということもしっかりとここで検証する必要があるわけなんです。
ですから、高いだけじゃありません、その効果はどうなのかということも含めて検証する中で、保険適用をするのかしないのかと。ただ、その意図する心は一般化するということ、それが前提でありますから、初めから一般化するつもりがないようなものはこの中には入ってこないというのが、これが評価療養の中の先進医療であろうという認識で私は考えておりますので、当然時間がたてば技術革新等々いろんなことが起こって値段が下がってくるでありましょうから、費用対効果が上がってまいりまして収載されてくるという話になってこようと思いますので、何ら矛盾している話ではないというふうに思います。
○田村智子君 例えば、移植などがそんなにたくさんこうやって費用が下がっていくというのは余り考えられないわけですよ。だから、高いままの保険外診療というのが拡大されていく、拡大されていく方向だと。これは規制改革会議の中でも明確に書かれているわけですね。じゃ、そういうものがどうやって普及していくのか。
金融庁の金融審議会のワーキンググループでは、生命保険の現物給付についても議論がされています。この保険商品に加入していれば保険外の高いこういう治療が受けられますと、そういう保険商品の販売を視野に入れた議論なんです。また、公的支援の拡大が求められている不妊治療を保険商品として解禁するという議論も厚生労働省の外で行われているわけですよ。加入している保険によって受けられる治療が異なると。まさにアメリカ型の医療保険、これが金融庁の金融審議会の中で話し合われ始めようとしているんです。
こういう流れの中でTPPに参加すると、民間の保険でカバーしている保険外診療を今度公的保険の対象に加えようとすれば、日米の保険会社が民業圧迫を主張して抵抗するということは十分考えられるわけです。ISD条項を盾にしてアメリカの保険会社が日本政府を訴えると、こういう可能性も否定ができないわけなんですよ。
医療制度の根幹にかかわる規制緩和が現に国内で検討がされていて、国民皆保険堅持と、こうやって言えるのか。大臣、どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) 私の理解ですけれども、ISDS条項に関しては、これは投資協定でありますから幾つかの条件が付いておるわけでありまして、もちろん除外でありますとか留保もありますから、そこでまず議論をするというのはあると思いますが、その前に、内国民待遇であれば、基本的にはこれやはり訴えられない話ですよね。
いろんなISD条項を使って議論をした中身を見ていましても、やはり内国民待遇であるということは、国内の保険会社とアメリカの保険会社が同じ立場の条件の下でこれは競争をしているわけでありまして、そんな中でこれは訴えてアメリカの保険会社の言うとおりにやれと言ったところで、これはISDS条項のそもそも論点からずれておるわけでございますから、そういう意味からは心配する必要は私はないと思っておりますが、心配でありますから、留保もありますし除外もありますから、そういうものを利用しながらしっかりと対応していくということになろうと思います。
○田村智子君 既にアメリカからの要求の一つで保険が来ています。アメリカが既に日本でたくさん販売したがん保険について、かんぽは入ってくるな、私たちの圧迫になるという主張を既にやっているわけですね。そうすると、民業圧迫という問題が、やっぱり政府の後ろ盾があるかんぽに対してそうやって攻撃を掛けてきているわけですよ。だから、公的保険に対してのそういう圧迫が掛からないなんという保証は私はないと思うんですね。
それから、いろいろ留保の心配な条項があったら、まるでそのTPPにじゃ参加しなければいいんだというふうなことをおっしゃるんですけれども、ブログの中でおっしゃっているんですよ。国益が守れなければ最後にTPP不参加を表明すればいいなどとばかなことを言っている閣僚がいるが、この最終盤で交渉に入りすぐに不参加と言えるわけがない、国際的に良識を疑われると。田村さんの、憲久さんのブログの中でこういうふうに書かれているわけなんですね。
私、やっぱり皆保険は守ると口約束をしても、国内の中で、厚生労働省の外で、大臣の管轄の外で規制緩和の議論が現に起こっていて、保険外診療の拡大という流れが、そして、民間の金融商品や保険の商品という問題がTPPの中で交渉の対象になっている、このことは本当に重く受け止めるべきだと、のんきなことを言っていられないというふうに思うわけですよ。
TPP参加は、当初大臣言われていたとおり、やっぱり私はこれは今からでも撤回するということが必要だと思いますが、ここはもう見解が違うと思いますので次の質問に入りたいと思います。
保育所の待機児童の問題について、残り時間お聞きをしたいと思います。今、都市部などで大問題になっています。
来年度の認可保育所の入所が不承諾となったために、杉並区、足立区、大田区、渋谷区などでお母さんたちが集団で行政不服審査法に基づく異議の申立てを行っています。報道によれば、さいたま市でもお母さんたちが立ち上がると。杉並では、二千九百六十八人の入所の申込みに対して一次選考での入所不承諾は千七百七十七人、約六割にも達しました。東京全体どうかということを我が党都議団独自に都内全自治体を対象にして調査をいたしましたら、二月二十三日までに回答のあった四十自治体の集計で、募集定員三万六百六十四人、申込者は五万二千七百三十七人、定員から見れば申込者の四割がやはり入所できないということになります。
これは、お母さんたちにとっては仕事を続けられるかどうかという本当にせっぱ詰まった状態で、何で認可保育所を計画的につくってこなかったのかと、こういう自治体への疑問や怒りが募っているんですね。
昨年、子ども・子育て関連の法案審議で、大臣、修正案の提出者として、認可保育所を中心として待機児童の解消も含めて保育やっていくというふうに答弁されました。今、認可保育所に申し込んだ児童の半数近くが、自治体によっては半数以上が入れないと、この現状をどう思われますか。
○国務大臣(田村憲久君) それぞれの自治体でそれぞれの補助制度をつくって保育施設等々を運営されているわけでありますけれども、以前も申し上げましたとおり、質の問題だとかいろんなものを考えますと、それは、認可というのは国が決めている最低レベルを何とかクリアはしておるわけでありますから、やはり認可保育所というものに対して更に整備を進めていかなきゃならぬと思っておりますし、そもそも今回のいろんな東京都の問題も、認可保育所に入れないということに対して大変な憤りを感じておられるということでございますから、是非とも、東京都も含めまして認可保育所の整備、これを御協力をいただきたいというふうに思います。
○田村智子君 私たちも家庭的保育や認可外の保育施設も大変重要な役割を果たしてきたというふうに思っております。しかし、この間、認可保育所の不足という問題を脇に置いて、認可外での受入れを推進してきたこと、厚生労働省が二〇〇〇年に待機児童の定義を変えて、認可外での保育が受けられれば、認可保育所に申し込んでいても待機児童からはじいてしまうと、こういうことをやってきたことが今日の異常な事態を招いたと私は思っています。
認可外の施設、例えば東京都が増設に力を入れた認証保育所、ここに入所できても、保育料が高いとかお庭がない、二歳児までしか保育やっていない、こういう理由で認可保育所への入所希望を続ける方はいっぱいいるんです。保育ママさんを利用している方も、認可保育所の空きが出るまでなんだという方が少なくないんです。ところが、こういう子供たちは待機児童数からは今外されています。
杉並区、今年度の四月一日、待機児童数は五十二人だと発表されました。五十二人と聞けば、保育施設は大体足りていると区民は受け止めます。しかし、実際には、認可保育所への入所申込みは二千五百人を超えていて、入所できなかった児童数は一千二百人近かったわけです。待機児童が五十二人、実際には入れなかった児童は一千二百人、この数字の乖離、大臣、どう思われますか。
○国務大臣(田村憲久君) その五十二人ですら、整備を進めても次から次へと待機児童が出てくるわけですね。ですから、毎年毎年私申し上げますが、二万五千人ぐらいまで四月減ったものがまたその後増えていって五万人近くなると、十月ぐらいに。そして、また整備を進めて二万五千人。この繰り返しを毎年毎年やっておるということは一体どういうことかというと、今委員がおっしゃられたような問題もありますが、それ以前に、そもそもやはり待機児童の換算の仕方自体が今のままだと正確な数字をつかめていないということでございますから、新しい制度においては、より正しい数字をつかめるような、そんな努力をしてまいりたいというふうに思います。
○田村智子君 そうなんです。この間、ずっと厚生労働省も東京都も待機児童減っているって言ってきたんですよ、こういう数字だから。
東京都でいうと、二〇一〇年の四月一日は八千四百三十五人、連続して減って二〇一二年は七千二百五十七人、一千二百人減少したって発表なんです。でも、実際には、認可保育所に申し込んでも入所できなかった児童は逆に同じ二年間で二千人増えていたと。
厚生労働省が待機児童の定義を変えて、入れなかった子供の数をもうカウントしなくなっちゃった、取らなくなっちゃった、これは私重大だったと思うんですよ。新しい制度を待つことなく、もう今年度から、この四月一日からですよ、入れなかった子供の数をちゃんと厚生労働省としてつかむべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員がおっしゃられた数字からすれば、もう既に数字がございますので、どれぐらいかというのは理解ができるわけであります。
ただ、その整備を、とはいえ、例えば今の認証保育を、これは待機児童に換算したといっても、その方々、お子さん方は、すぐに認可保育所になれるわけではないので、例えば認証保育等々も認可保育の方に誘導するためのいろんな施策をする中において、より質のいい認可保育に移っていただきたいというような思いで今年度も予算を組ませていただいておるということであります。
○田村智子君 今私が言った、申し込んでも入れなかった人数というのは公表されていないので、私たちが独自に調べて出てくる数字なんですよ。自治体によってはもう公表していない自治体があるわけですよ。これ、駄目です。つかむというふうに変えていただきたい。新しい制度の下では保育のニーズをつかんで整備をするんだって言っているわけですから、認可保育所への申込数というのはまさにニーズですよ。これに基づいて整備計画も作っていくべきだというふうに思います。
もう一点なんですけれども、今回は杉並区や足立区で、お母さんたちが入所不承諾という行政処分を受けたので法律に基づいて異議の申立てをすることができました。そして、行政の側も、法律に基づく申立てに対して緊急の手だて、杉並などは取りました。これは、現行の児童福祉法が、認可保育所に申し込むということを法律で規定をする、入所決定を行う、入所不承諾という行政処分を行うという仕組みの中でできることです。
新しい制度の下では、入所の申込みという行為も法律の中からは抜けています。今の制度の下では、不承諾のこの通知を受け取ったとき、入れませんというその通知を受け取ったとき、その文書の下のところに、法律に基づいて異議の申立てができるということがちゃんと記されているんです。新しい制度の下でも同じでしょうか。
○政府参考人(石井淳子君) 子ども・子育て支援新制度におきましては、保育を必要とする子供の施設、事業の利用について、市町村が利用の調整を行うこととされております。利用調整の手続など詳細は今後検討でございますけれども、これは現行の保育所の利用手続と同様に、利用者が市町村に対して利用希望を出した上で、それに基づいて市町村により調整が行われると、こういう仕組みになるわけでございます。
この利用手続の中で、利用者が例えば自らの希望に沿わない調整結果になった場合、これは市町村に対してその調整結果について異議申立てを行うということが新制度上想定をされ、また可能と考えております。特に保育所の利用につきましては、これは現行制度と同様、新制度におきましても利用者が市町村に対して申込みを行う、そして市町村と契約を結ぶということになりますので、異議申立てを含めて市町村と利用者が直接向き合う、そういう関係であることについては現行と何ら変わるものではございません。
このほか、新制度の保育の必要性認定などの支給認定についても、これは市町村が認定を行うということから、利用者が仮に認定結果に不服があるといった場合には、市町村に対して異議申立てを行うことになると考えられます。
いずれにしましても、この利用手続の詳細、これにつきましては、本年四月に内閣府に設置をされます子ども・子育て会議などにおいて検討してまいりたいと思っております。
○田村智子君 済みません、もう時間ですけれども。
やっとそうやってはっきり出てきたんですよ。ずっとこの間聞いて、同じなのかと、申立てができるのかということを言っても、はっきり答えていただけなかったんです。不服審査法に基づいての申立てができるというふうには答えていただけなかった。この点、もう一回、後日更に確認をしていきたいと思います、新制度の下で保育制度がどうなるのか。後日に譲りたいと思います。
終わります。ありがとうございました。