日本共産党 田村智子
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【13.02.26】予算委員会−生活保護の生活保護扶助基準額について

○委員長(石井一君) 次に、田村智子さんの質疑を行います。田村さん。

○田村智子君 生活保護の生活扶助基準額が今年八月にも引き下げられようとしています。この削減案は子供さんのいる世帯での引下げ幅が大変大きい。小学生、中学生の子供二人の母子世帯で生活扶助がどうなるのか、厚労大臣、お示しください。

○国務大臣(田村憲久君) 子供二人の母子世帯というお話でございました。経常的に給付されるもので予測されるものは住宅扶助、教育扶助もございますが、今は生活扶助というお話でございましたので、生活扶助のみをお答えをさせていただきます。
 現行の生活扶助基準額は、一級地の一で二十一万五千円、三級地の二で十七万三千円でございます。

○田村智子君 それがどう削減されるのか。

○国務大臣(田村憲久君) 失礼しました。
 本年八月から、一級地の一で二十一万五千円のものが二十万九千円、三級地の二で十七万三千円のものが十七万円。さらに、最終形ですね、平成二十七年、この時点でこの二十一万五千円のものが十九万七千円、三級地の二で十七万三千円のものが十六万三千円ということでございます。

○田村智子君 この生活扶助費というのは、食費、水光熱費、被服費など、家賃を除く基本的な生活費が全部含まれているわけですね。それが今年の夏からこのように削減をされたらどうなるのか。
 静岡県在住、中学二年の男の子、小学四年の女の子がいる母子世帯のお母さんに生活の実態をお聞きいたしました。一週間の食費は七千円前後。子供たちにバランスの良い食事をと思うが、安さと量を優先せざるを得ない。ガス代節約のため、お風呂は冬でもシャワーだけ。娘の服はもらい物で、この二年間一枚も買っていない。発達障害の息子は進学できる高校が限定され、定期代や制服でお金が掛かるから進学しないと言っている。今のこの保護費が削られたら食費を更に切り詰めるしかないと、こうおっしゃっているわけですね。
 居住地によって生活扶助の下げ幅は異なりますけれども、小中子供二人の母子世帯では、二年後には一万円から一万八千円もの引下げになります。これは一週間分、半月分、これ以上の食費が削られるのと同じことになってしまう。こういう実態を承知の上での引下げなんでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 今の事例がどういうような元で出されておられるのかよく分かりませんが、もし何らかの事情があるんであるならば、例えば家計管理のいろんな助言でありますとか、また、御健康に問題があられる場合には、健康指導といいますか管理というものに対して手厚く対応すべく、ケースワーカーの増員でありますとか、今国会、予算を計上させていただいているような状況でございます。

○田村智子君 これ特別な事例なんかじゃないですよ。私、幾つもの母子世帯のお母さんの調査しましたけれども、大体食費は一週間で七千円から一万円、子供さん二人、三人いらっしゃる母子世帯、生活保護を受けている方、同じような状況でしたよ。この方も、子供さん発達障害持っておられるからということもあるかもしれませんけれども、パートで働いておられる方です。特別な事例ではないんです。大体、東京二十三区で今二十一万五千円を被服費、食費に充てると、これ考えれば、大体こういう生活実態になってしまうんですよ。
 大体この生活実態、調査もしないで机上の計算だけで今回引下げの幅って出してきたんじゃないんですか。もう一度どうぞ。

○国務大臣(田村憲久君) 今回は、もう委員御承知だと思いますけれども、生活保護世帯の中でもかなりそのゆがみといいますか、格差といいますか、それがあったと。その中において、このゆがみというものを是正をするのに、大体同じような世帯、一般世帯、この第一・十分位と言われる世帯でありますが、この平均値を取りまして、その世帯によるゆがみ、世帯人数でありますとか、それから地域でありますとか、それから年齢、こういうもののゆがみを是正をしたわけでございまして、でありますから、生活保護世帯の皆様方の中でも、上がる方々もおられれば大幅に下がる方々もおられたということでございます。

○田村智子君 子供さんのいる世帯はみんな下がるんですよ、これ、出していただきましたけれども。私、第一・十分位と、言わば非常に苦しい世帯と言わば消費実態比較するような形でゆがみを正すというのは、本当に政治の方がゆがんでいて、両方にしっかりとした支援策が必要だということを申し上げたい。厚労大臣とはまた後日、質疑をやりたいと思います。
 総務大臣にお聞きをしたいんです。
 これまで予算委員会の質疑では、この基準の引下げが就学援助に影響を与えないようにするんだという説明がいろんな大臣の皆さんから繰り返されてきました。しかし、この就学援助の準要保護児童に対する就学援助の国の財政措置、これは二年度遡った実績で地方交付税措置を算定するのですから、来年度と再来年度に影響が出ないというのは、これ当たり前のことだと思うんです。
 今回の引下げで影響が出るのは二〇一五年度以降になりますが、それでは、二〇一五年度以降、地方交付税の算定に特別な手だてを取るということなのですか。確認します。

○国務大臣(新藤義孝君) これは御指摘のとおりでございまして、二十五年度、二十六年度はこの影響が出ません、今回の措置は。それは当然であります。そして、二十七年度につきましては、これは厚生労働省それから文部科学省、そういったところからよくお話を聞いて、適切に我々、内閣全体として措置してまいりたいと、このように思っています。

○田村智子君 これ、今回の基準の引下げで就学援助に影響が出ないようにすると、そうやって説明をされながら、国の財政措置は全く白紙なんですよ。影響が出ないなんということは全く検討がされていないんですよ。しかも、今、国の算定基準というのは生活保護基準以下の収入の人しか見ていない。地方自治体は更にそれを上乗せしている。今だって持ち出しなんです。今後更に国の財政措置が下がるかもしれない、それでも地方には影響を与えないでくれとお願いだけする、こんな無責任な話はないと私は指摘をしたいと思います。
 安倍総理にもお伺いをいたします。
 先日の予算委員会で総理は、格差が固定化されてはならないと、こう答弁をされています。子供を複数抱える母子世帯が一日僅か千円前後という食費を削らなければならないのかと。今こうやって追い詰められているんです、現実に。これは貧困の解決に逆行すると思いますが、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の生活保護の基準の引下げについては、様々な影響について、激変緩和措置を始め配慮を取るように指示をしているところであります。

○田村智子君 最後に。最後に一言だけ。

○委員長(石井一君) はい、一言。

○田村智子君 こういう家計が困窮している子供にまで食費や被服費を切り詰めることを求めているんです、現に。このゆがんだ政治こそを正すべきです。
 生活保護基準の引下げの中止を求めて、質問を終わります。

○委員長(石井一君) 以上で田村智子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)