日本共産党 田村智子
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【12.11.15】厚生労働委員会――年金減額、日本年金機構の「雇い止め」について

年金財源を理由に繰り返される庶民増税

○田村智子 日本共産党の田村智子です。
 昨日の党首討論で衆議院の比例定数削減を条件に十六日解散という動きが民主、自民、公明の三党でつくられて、そして、この党首討論の終了後、昨日午後六時ごろに突然本日の委員会開会をまたも三党の合意によって決定をいたしました。国民がどのようにして国会議員を選ぶかというのは、国民主権の根幹にかかわる非常に重要な問題です。その選挙制度の問題が解散の駆け引きに使われる、あってはならないことだと思います。そして、年金の問題というのは高齢者の生活の根幹にかかわる問題です。それを、十分な審議ができるような条件も与えられず、このような委員会のやり方で採決を行うということに私まず強く抗議をしたいと思います。
 提案されております国民年金法等の改定法案は、特例公債による歳入を財源として基礎年金の国庫負担割合を五〇%に引き上げるというものですけれども、この赤字国債は結局は消費税増税によって償還をすると定められていますから、とどのつまりは消費税増税をしなければ国庫負担の五〇%は実現できないと、こう言っているのと同じだと思うんですね。これ、年金のためと言えば何度でも国民に増税を求められると言わんばかりの政策だと私は思います。
 経過を振り返ってみたいと思うんです。
 自民党・公明党政権の下で、年金百年安心だと言われて、国庫負担五〇%のためだからと、二〇〇四年以降、所得税、住民税の増税が繰り返し行われました。二〇〇四年、所得税の配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止、二〇〇五年、六十五歳以上の所得税の老年者控除廃止と公的年金等控除の引下げ、住民税の配偶者控除の上乗せ部分廃止、二〇〇六年、所得税と住民税の定率減税半減、翌二〇〇七年、定率減税廃止。これだけの増税を繰り返しながら、年金の国庫負担は、約束の二〇〇九年になっても、今日に至るも五〇%にならず、今度は消費税一〇%にしなければ不可能だという。これは、私は国民に対して余りにも信頼を裏切るやり方だと思います。
 三井大臣、こうした経過を政治家として、大臣としてどうお考えになるのか、お述べください。

○三井辨雄 厚生労働大臣 平成十六年の年金制度改革によりまして、年金制度は、平成二十一年度以降の基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることを前提といたしまして、長期間の給付と負担のバランスを確保してまいりました。これまでは臨時的な財源によりまして国庫負担割合二分の一との差額を確保していましたが、このような状況を続けてまいりますと、非常に困難であり、将来世代に負担を先送りすることは適当でないと。また、このため、全ての世代の安心を確保することを目指す一体改革の一環といたしまして、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税率を引き上げ、必要な費用に充てることとしたもので、必要な措置であると考えております。

○田村智子 定率減税の廃止だって恒久的な財源だったわけですよ。年金財源だと言って、二兆八千億円、これ庶民増税を強行した。ところが、年金財源の拡充は僅か六千八百億円にすぎなかった。これは前政権のことですから、問題だって、民主党の政権、私、言ったっていいと思うんですよ。ところが、これが問題だとも言わない、反省の弁もない、そして消費税一〇%。これ、十三兆五千億円増税しても、また年金のためだとか財源が足りないとか、これで消費税の税率がまた引き上げられる、こういうことが繰り返されかねないと。私は大変そのことを危惧しております。
 しかも、今度の法案というのは、一方で財源確保しておきながら、来年度からは三年間掛けて年金支給額を二・五%引き下げると、こうしているわけですね。これは、物価スライドを凍結していたことでまるで今まで不当に高く年金を支給していたかのような説明が政府が行い、マスコミもそれを報道すると。私、これはとんでもないことだと思うんですね。実際には、年金の支給額はこの間ずっと減少を続けてきています。
 これは確認をしたいんですけれども、二〇〇二年度と二〇一二年度、国民年金の満額、それぞれ幾らか、年金局長、お答えください。

○香取照幸 厚生労働省年金局長 御答弁申し上げます。
 二〇〇二年度、平成十四年度の老齢基礎年金の満額は、月額六万七千十七円、年額ですと八十万四千二百円となっております。同様に、二〇一二年度、平成二十四年度の老齢基礎年金の満額は、月額六万五千五百四十一円、年額ですと七十八万六千五百円となっております。

○田村智子 この十年間で既に支給額は二・二%引き下げられています。実際の手取り額はもっと目減りしているんですね。年金から天引きされる介護保険料、国保や後期高齢者医療制度の保険料、値上げに次ぐ値上げです。介護保険料は、制度発足時の二〇〇〇年には、一号保険料、これ高齢者の保険料ですね、全国平均は二千九百十一円でした。それが今年度の第五期の改定によって四千九百八十二円、一・七倍にも引き上げられました。
 東京都では、今年度、介護、医療の保険料が一度に値上げされたということで、都内の自治体に十二万件を大きく超える苦情や問合せが殺到したというふうに聞いています。
 こうした社会保険料も税金も、これはほとんどが有無を言わせない天引きです。高齢者の方は、現実には年金を手にするとき既にもうこれは引かれている、生活に充てることのできる年額は既に大きく目減りをしてきた。
 大臣、こういう認識がおありかどうか、お答えいただきたいと思います。

○櫻井充 厚生労働副大臣 各種の保険料を特別徴収した後のデータは存在しておりませんが、今先生から説明があったとおり、介護保険料などの保険料が引き上げられておりますので、今御説明のあったとおりではないかというふうに推察されます。

○田村智子 これ、既に相当な目減りなんですね。
 私たち試算をしてみました。夫婦二人で月約二十五万円の年金を受給していたと、こういう世帯の場合、所得税、住民税、社会保険料が天引きされて、この間の増税でですね、実際に受け取れる年金額は十年前と比べると年二十八万円目減りをしました。一か月分の年金、それ以上が丸々消えたことになるんです。これ、率にすると九・四八%の減と。同じ時期の物価下落幅というのは四・七%なんですよ。既に物価スライド以上の収入減になっている。
 こういう、税金が増えたとか社会保険料が引き上げられたとか、これは物価に入らないんです。考慮されないんです。今の物価スライドというのを考えるときに全く反映されない。こうやって物価に反映されないものはどんどん値上げされて、年金は目減りしていく、にもかかわらず、物価が下がったといって、これは考慮しないんですよ、物価が下がったと、二・五%減額すると。さっき紹介した夫婦二人の世帯では、今よりも更に年七万円の減額になります。血も涙もないというのは私こういうことだと思うんですね。
 大臣、これでも二・五%減額をしなければ年金支給額は高過ぎるんだと、今の支給額は、こう言えるのかどうか。今度、大臣、お答えください。

○三井辨雄大臣 年金の支給額は、やはり今の高齢者の所得を見ますと、決して、デフレ影響下の受けている各世代とも減少傾向にありますけれども、しかし、その減少幅の最も小さいのが高齢者世代なんですね。すなわち、若い世代を含めて全ての世代を安心確保することが重要だと思っております。
 また、現行の特例水準によります年金額は、本来の給付水準と比較いたしまして毎年約一兆円の給付増となっております。これは、将来世代の給付を削って今の世代に回していることにほかならないと考えておりますし、また、社会保障と税の一体改革では、若い世代を含めて全ての世代の安心を確保することを目指しているところでございます。
 こうした点につきまして高齢者の方々にも是非とも御理解賜りたいと、こういう具合に考えているところでございます。

○田村智子 それは、現役世代の給与の減などが本当に問題で、国家公務員の給料もボーナスもどんどん減らしていくわけですよ。今度は退職金減らすといいますよ。それで今度は民間が公務員も減らしたんだからってまた減らすと。こっちに歯止め掛けないで、民間も減っているんだと、高齢者の下げ幅は少ないんだと、だからこの減額を我慢してくれと。こんなことをやっていたら日本の景気どんどん悪くなる、日本の社会どんどん悪くなる、そんなこと目に見えていると思うんですね。
 今、高齢者の方に我慢していただきたいと、現役世代のためだって言いますけれども、今度の提案見てみると、年金だけじゃないじゃありませんか。児童扶養手当、まさに現役世代ですよ。障害者、被爆者の皆さんの手当、これも今回の法改定で一・七%の減額だと。世代間の対立なんかじゃないです。もう収入の少ない苦しい立場の方の収入どんどん減らして、そういうことが全く関係ないような富裕層の方々、ここ何の影響もない。こうやって格差がどんどん広がる一方の政策を進めているだけじゃありませんか。
 特に児童扶養手当の減額、母子世帯の貧困に私は追い打ちを掛けるものだと思います、たとえ一・七%でも。直近の国民生活基礎調査、二〇〇七年のものを見てみますと、母子世帯の貯蓄分布、一番多いのは貯蓄ゼロです。二九・六%に上ります。その次に多いのは、五十万円未満の貯蓄だという方が一四・一%。これもう綱渡りのような生活実態がこの数字から見えてくるじゃありませんか。これ、定期的に収入として入ってくる児童扶養手当がこの母子世帯にとってまさに命綱だ、これ明白ですよ。
 子供の貧困率、厚生労働省やっと調べるようになって、二〇〇九年度一五・七%だという数字出した。数字出したけれども、じゃ、この貧困をどうやって解決するのかという対策は何にも出てこない。よりによって児童扶養手当を減額するという。これは政府の政策によって貧困率を更に悪化させることになるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

○三井辨雄 今の御質問でございますけれども、これは親の経済力やあるいは幼少期の生育環境によって人生のスタートラインの段階から差が生じて世代を超えまして格差が固定化されることがないように、子供に対する支援を進めていくことが大変重要と考えております。とりわけ一人親家庭に対する支援は重要であるということは認識しております。
 児童扶養手当のほか、子育て・生活支援、就業支援など、就業、自立に向けた総合的な対策に取り組んでいるところでございます。

○田村智子 これ、言っていることとやっていることが違うんですね。だったら、児童扶養手当の削減、これやめるべきじゃないんですか。大臣、どうですか。

○三井辨雄大臣 児童扶養手当等の各種手当は、これは年金での措置と同様に、平成十一年から十三年の間に物価が下落したにもかかわらず手当額を特例的に据え置いてまいりました。これは、母子家庭に関しては、死別の場合は遺族年金、離婚の場合は児童扶養手当が支給されております。その際、同じく母子家庭に支給される遺族年金と児童扶養手当のスライドの取扱いについて均衡に配慮したものでございます。このため、今回のスライドの特例分一・七%の解消につきましては、年金の特例水準の解消に合わせて対応する必要があると考えております。

○田村智子 もう聞いていてむなしくなるんですけれども、どこが本当にチルドレンファーストなのかと。もうこの言い方は、民主党の皆さん、やめていただきたいというふうに私思いますよね。今言ったみたいに、もう貯蓄もないんですよ。母子世帯の貧困というのは本当に今社会問題になっていますよね。それでも、物価が下がったと、そう言って下げていくと。
 今までやっぱり特例措置というのはなぜとられてきたのか。自民党・公明党政権のときでさえと言わせていただきますが、高齢者や社会的に弱い立場の方々にはやっぱり配慮が必要なんだと、だから年金やあるいは児童扶養手当のこういう手当額ですね、この手取り額の水準は維持しなくちゃいけないと。デフレで物価が下がっていたとしても、生活実態を見るならば特例的な措置が必要だって言ってやられてきたことなんですよ。
 こういうことはもう必要ないと、自民・公明政権の下でもやってきた政策はもう民主党政権は要らないと、投げ捨てると、そういうことでよろしいんですか。

○櫻井充 副大臣 これは、済みませんが、我々とて積極的に望んでやっていることではないんだということはまずこれ御理解いただきたいと思っています。これは、大臣も相当苦しい答弁なされておりましたが、誰だってこれ、給付を引き下げるとか、それから負担を上げるなんということをやりたくないわけですよ。
 ただ、これ、自公政権下で平成十二年から十四年の間になぜそうなったのかというと、これは経済的に一時的にこういうような状況になるのではないのかということを見ていた。その結果、そのことが結果的には継続してくるものですから、その後には特例水準で引き下げてきているはずです。
 まず平成十二年から十四年で申し上げますと、大体毎年六千億ぐらいの支給超過になっています。この十年間で約七兆円の支給増加になってきていて、この結果何が起こるかというと、年金財源、財政上非常に厳しくなってくるわけです。百年安心プランといってこの制度設計がなされていて、もう一つこれお考えいただきたいことは何かというと、持続可能な制度をどうやってつくっていくのか、年金制度に対する信頼感をどう生んでくるのか。それからもう一つは、国家財政上申し上げれば、今、債務残高でいうと約一千兆円、そして対GDP比で二〇〇%を超えて、日本の国債の信用はどうなんだと、そういう話も出てきているわけであって、こういった観点から考えてくれば、ある部分の財政的な措置をきちんとしていかなきゃいけない、財政規律も保っていかなければいけない、こういうところから生まれてきたものでございます。
 繰り返しになりますが、我々とてこれ望んでやっているわけではなくて、かなり財政的な面も含めて危機的状況になっているからこういう措置をとらせていただいているということでございます。

○田村智子君 本当に国民の暮らしの危機には目を向けないのかというふうに言わざるを得ないんですね。だったら、格差の解消をやればいいじゃないですか、格差の解消を。富裕層とか大企業とか、求めるべきところいっぱいあると私たち提案していますけれども、今日はそういう議論には時間がないのでやりませんけれども、本当に冷たい政権だなというふうに言わなければならないというふうに思います。
 昨日の衆議院の審議でも紹介されていましたけれども、全日本年金者組合女性部が今年、女性高齢者生活実態調査を行いました。全国から一万八千四百八十一人の年金生活の女性からの回答を得た調査、これまとめられました。生活が苦しい、三〇・二%、何とか暮らせる、六六・三%、年金だけでは足りなくて貯金を取り崩して生活している、二七・九%。節約できるものは全て節約している、旅行や欲しいものは諦めて潤いのない生活をしていると、こういう記述もたくさんあります。
 高齢者の人口比率は高いと。確かに高いからこそ、高齢者の方が年に何回かは旅行も楽しめて潤いある生活を送ってこそ私は日本の経済も元気が出るはずだというふうに思うんですね。これやらなかったら社会保障の土台なんか築くことできないですよ。なのに、物価スライドのみに固執して年金の減額を行う、手当の減額を行うと。これ、やるべきじゃないということを重ねて強く主張したいと思います。

日本年金機構の2000人「非正規切り」計画

○田村智子 今日もう一問聞きたいのは、年金については、女性の低年金、これ本当にもっと焦点当てるべきだと私は思うんですね。
 日本婦人団体連合会発行の女性白書、二〇一二年版というのを見てみますと、厚生労働省の資料を基にして厚生年金の男女格差というのを検証しています。男性は月額二十万円前後のところに受給者層の山があるんですね、受給者数の山があります。ところが、これに対して女性は十万円前後、これが圧倒的に多いんです。これは女性に努力が足りなかったからではないですね。今、年金生活の女性の皆さんは、給料ももらわずに農業や自営業で働いてきたとか、会社勤めしても結婚や出産で退職が当然と、こういう時代を生きてきた方々です。当然、年金受給額が少なくならざるを得ないと。
 これ、私、今も同じだと思うんです。女性の半数以上、非正規です。数も割合も今最多です。不安定な雇用、賃金も低い、こういう実態を変えるということが女性の低年金問題にとって不可欠だと思いますが、大臣、一言いかがでしょう。

○三井辨雄大臣 御指摘のとおりでございまして、今先生のおっしゃるとおりでございますので、私たちもまたしっかり取り組んでまいりたいと、こういう具合に思っております。

○田村智子 そこで具体的に聞きたいんです。
 日本年金機構のアシスト職員、非正規雇用で女性が多いとお聞きしますが、このアシスト職員二千八人が来年三月末で雇い止めをされようとしています。二千八人の大多数は、機構発足時に通常の業務に必要だという職員一万五千人の中に含まれていた方々です。臨時的な仕事ではありません。社会保険庁のときも含めると五年、十年と働いてこられた方もいる。本人からも職場の正規の職員の皆さんからも、雇用の継続やってほしいという声が起きています。
 これ、なぜ雇い止めするのか。業務がなくなるからではありません。機構は、二千八人を雇い止めにする一方で、来年四月、同じ業務で新たに職員を雇用すると、こういう意向です。業務は継続するのに、一年契約、更新二回、これでしか労働者雇わない。その理由は何ですか。無期雇用に転換させないためのやり方ではないんですか。

○糸川正晃 大臣政務官 日本年金機構では、有期雇用職員としてアシスタント契約職員というのを雇用しているということでございます。機構の人件費は予算補助の対象となってございまして、予算額も考慮しながら人員体制を確保する必要があるということで、アシスタント契約職員につきましては年度ごとに契約を更新する仕組みということになっております。
 雇用契約の期間というのは、現在、就業規則で更新回数、先生御指摘のように二回ということになってございまして、二十四年度末に雇用契約が満了となる者が約二千名生じる予定でございます。
 有期雇用職員の雇用契約につきましては、機構と本人の間で契約期間や契約更新等の諸条件を締結しているところでございます。今後、原則として雇用契約書に沿った対応を進めていくというふうに聞いております。

○田村智子 甘いと思うんですよ。さきの通常国会で労働契約法の改定やりましたね。五年を超えて有期雇用契約が結ばれた場合、労働者が求めれば無期雇用への転換が使用者に義務付けられるわけですよ。
 私、何度も聞きました。じゃ、五年前に更新の回数を上限定めて切られてしまう、そういうこと起きないのかと、こうただしたんですね。そのとき西村副大臣の答弁はこうですよ。「雇い止め法理が法律に明記されるということになります。使用者が合理的理由のない雇い止めを回避する行動を取ることがこれによって促進されるほか、その趣旨を考慮した労使の話合いが促されると、これも十分期待されることであります。企業の実情に応じた無期転換の自主的ルールの整備が進むことも期待されます。 改正法が成立した際には、法律に明文化されたこの雇い止め法理の趣旨と内容について周知徹底を図っていきまして、現場の労使にしっかりとそこは浸透させていきたいと考えています。」と。
 日本年金機構というのは一般の民間企業じゃないですよ。厚生労働省が指導監督権限を持っているんですよ。何で更新が二回までなのか、合理的理由は何なんだと、これ指導すべきじゃないんですか、どうですか。

○糸川正晃 大臣政務官 あくまでも日本年金機構と今雇用職員の契約につきましては民間対民間という考え方でございます。そういう意味では、機構と本人の間で契約期間や契約更新等の諸条件を締結しているという認識の下で労働法令に従って適切に対処されるというふうに考えてございます。

○田村智子 現に、もう三月に切ると言っているんですね、契約更新は二回までだといって。労働契約法改定の趣旨は何だったのか。労働基準局長、確認したいんですけど、これは合理的理由のない雇い止めをなくして雇用の安定を図るということが改定の趣旨だったんじゃないんですか。局長、短くでいいです、お答えください。

○中野雅之 厚生労働省労働基準局長 改正労働契約法におきまして十九条に最高裁判例で確立しております雇い止め法理を設けた趣旨でございますが、無期転換ルールと相まって五年の手前でも雇い止めが無条件に認められるわけではないということを明らかにするとともに、判例法理が法律に明記されることによりまして、使用者が合理的理由のない雇い止めを回避するようになり、規定の趣旨を考慮した労使の話合いが進むと期待されることから設けたものでございます。
 なお、更新回数の上限を設けることにつきましては、労働契約が合意により成立するという原則に立てば、労働者と使用者がお互いに真に合意して更新の上限を設定することを禁止したり、その効力を直ちに無効とすることは難しいと考えていることも労働契約法改正の際の議論の中では御答弁申し上げたと承知しているところでございます。

○田村智子 労使の対等な話合いで決めるということなんですけれども、元々弱い立場の人に、契約の更新は二回までですよ、それでもいいですかといってやること自体、私たちは法案審議のときに物すごく問題にしたわけですよ。それに対して、そういうことがなくなるようにと副大臣が答弁をしているわけですよ、期待されるところだと。期待なんて話じゃないんですよ、日本年金機構は厚生労働省が指導できる相手なんですから。法の趣旨を徹底する、契約更新の回数に上限を設けて雇い止めを行うことに合理的な理由があるのかどうかを聞く、そのぐらいのことできるんじゃないですか、どうですか。

○糸川正晃 大臣政務官 日本年金機構につきましては、事業の効率的な運営を図りつつ、可能な限りの雇用の安定を図っていくということが大事であるということの点につきましては、これは先ほども御説明しましたが、一般の民間の法人と変わるものではないというふうに考えてございます。
 その上で、実際に雇い止めされるという事態が生じた場合には、単に就業規則の規定や雇用契約書の内容のみによって雇い止めが無条件に認められるのではなくて、様々な事情を総合判断して雇い止めの可否が決せられるのが裁判例の傾向であるということでございます。
 日本年金機構の有期雇用職員の雇用契約については、機構と本人との間であくまでも契約期間や契約更新等の諸条件を締結するなど、これまでも労働関係法令にのっとって対応してきましたが、今後とも適切な対応に努めてまいりたいというふうに考えております。

○武内則男委員長 時間が過ぎておりますので、おまとめください。

○田村智子 済みません。
 年金制度というのは非常に複雑で、やはり長く働いてもらう方、これ必要なんです。個人情報も扱います。責任持って働く方が必要なんですよ。国民の権利にもかかわる問題になってくるわけです。これ、お膝元のところでこんなことをやられたら民間に期待するなんて言えないですよ。是非、指導するということを強く求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。