日本共産党 田村智子
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【12.11.01】妊婦健康診査の公費助成に関する質問主意書

妊婦健康診査の公費助成に関する質問主意書

質問第一二号

妊婦健康診査の公費助成に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月一日

田 村 智 子   


       参議院議長 平 田 健 二 殿


   妊婦健康診査の公費助成に関する質問主意書

 本年度末で妊婦健康診査支援基金(以下「本基金」という。)の事業の期限が終了する。また、厚生労働省からは来年度概算要求において本基金の延長と必要な財源措置について要求をしていないと説明を受けている。
 本基金は、妊婦健診について国が望ましいとする十四回のうち、これまで交付税で措置されてきた五回分に加えて九回分について補助を行うものであり、本基金事業の創設前には妊婦健診の公費助成回数は平均五・五回だったが、導入後大幅に増加し直近では十四・〇一回に達している。
 妊婦健診未受診・飛び込み分娩は医学的にも社会的にもリスクが高くなることが指摘されている。妊婦健診は自費診療のため、低所得世帯などではその負担感から妊婦健診を受けない傾向があることも指摘されているが、厚生労働省の調査によっても本基金による事業は妊婦健診に対する負担を軽減し低所得世帯も含めた妊婦健診に対するアクセスを改善したことは明らかである。
 産科医療に果たしたその役割を考えると、本基金による妊婦健診助成事業の継続と必要な財源措置、もしくは本基金と同様の妊婦健診に対する国の助成の継続は不可欠である。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 政府は、本基金の果たした役割についてどのように評価しているか。妊婦健診に対する負担の軽減や低所得世帯も含めた妊婦健診に対するアクセスの改善によって、妊婦や胎児の健康の増進や妊婦健診未受診・飛び込み分娩の減少にも役割を果たしたと思うが、政府の見解を明らかにされたい。

二 厚生労働省は本基金の延長と延長に伴う必要な財源措置について概算要求を行っておらず、補正予算による本基金の延長も含めて対応を検討していると説明している。しかし、補正予算どころか当初予算の執行が危ぶまれる状況であり、厚生労働省の説明では来年度、本基金による事業がどうなるのか全く明らかでない。市町村の来年度予算編成の前に財源措置も含めて方針を明らかにしなければ、現実の問題として来年度の実施を諦める市町村が出てくることも否定できない。
 前記一で述べたように、本基金による事業は妊婦健診未受診・飛び込み分娩の減少に重要な役割を果たしているが、その重要性に鑑み早急に来年度の方針を明らかにすべきではないか。

三 昨年十二月二十日に内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣の四大臣で合意された「平成二十四年度以降の子どものための手当等の取扱いについて」(以下「四大臣合意」という。)において、本基金も含めた基金事業について「年少扶養控除の廃止等による地方増収であることに鑑み、平成二十五年度に平年度化する地方財政の追加増収分及び2.(1)④の暫定対応分は、平成二十四年度増収分に係る対応に代えて、基金設置による国庫補助事業の財源に代わる恒久的な財源として、子育て分野の現物サービスに活用することとし、その具体的内容は今後検討する。」とされている。これは基金事業の財源に年少扶養控除の廃止等に伴う地方増収分を充てる方針を示したものであり、本基金による妊婦健診助成を一般財源化する方向に他ならない。十四回の妊婦健診実施の義務が自治体に無い現状で一般財源化をすれば、妊婦健診への公費助成回数は後退することにならないか。その結果、妊婦健診未受診・飛び込み分娩の増加を招きかねないのではないか。

四 厚生労働省は、子ども・子育て支援法の施行によって地域子ども・子育て支援事業として妊婦健診事業が自治体に義務付けられること、母子保健法で妊婦健診についての望ましい基準を定めることになっていることをもって、仮に四大臣合意に基づく検討が行われ一般財源化されたとしても公費助成が後退することは無いと説明している。しかし、子ども・子育て支援法の施行は早くて二〇一五年四月であり、しかも消費税増税を前提としている。消費税率引上げは経済状況の好転が条件であり、有効求人倍率の悪化など経済の不透明感が増しており、加えて我が党も含めて強い反対がある中で政府の方針どおり施行される保証もない。本年度で本基金による妊婦健診助成事業を終了して四大臣合意の方向に沿って来年度から地方増収分を財源に充てるということになれば、市町村に妊婦健診実施義務が無い現状では、厚生労働省の説明の論理によっても妊婦健診の公費助成回数の後退を招く可能性があるのではないか。

五 厚生労働省の説明どおり子ども・子育て支援法が施行され望ましい基準が定められたとしても、本基金の一般財源化が行われれば現在と同水準の公費助成が維持される保証はない。本基金の一般財源化は産科医療に重大な悪影響をもたらす可能性が高く、引き続き本基金の延長もしくは本基金と同様の国による補助事業を行う必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。

妊婦健康診査の公費助成に関する質問主意書に対する答弁書

答弁書第一二号

内閣参質一八一第一二号
  平成二十四年十一月九日
内閣総理大臣 野 田 佳 彦   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員田村智子君提出妊婦健康診査の公費助成に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員田村智子君提出妊婦健康診査の公費助成に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)第十三条の規定に基づき実施している妊婦健康診査に要する経費について、地方交付税措置を講ずるとともに、御指摘の妊婦健康診査支援基金による支援を行っているが、厚生労働省の調査によれば、平成二十三年四月時点で、全国の市町村(公費負担回数が無制限の市町村並びに岩手県、宮城県及び福島県内の市町村を除く。)の妊婦健康診査の公費負担回数の平均は十四・〇一回となっており、地域において安心して妊娠・出産ができる体制づくりが進められているものと考えている。

二から五までについて

 御指摘の妊婦健康診査支援基金を活用して行われる妊婦健康診査事業の実施期限は平成二十四年度末までであり、平成二十五年度以降の妊婦健康診査の財源の在り方については、平成二十三年十二月二十日に内閣官房長官、総務大臣、財務大臣及び厚生労働大臣の間で合意した「平成二十四年度以降の子どものための手当等の取扱いについて」で、平成二十二年度税制改正による所得税・住民税の年少扶養控除の廃止等による地方財政の増収分の平成二十五年度以降の取扱いについて、同年度に平年度化する地方財政の追加増収分等は、「基金設置による国庫補助事業の財源に代わる恒久的な財源として、子育て分野の現物サービスに活用することとし、その具体的内容は今後検討する。」とされていることなどを考慮しつつ、市町村等の意見も聞きながら検討し、市町村における妊婦健康診査の円滑な実施に支障が生じないよう、適切に対応していきたい。