日本共産党 田村智子
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【12.07.30】決算委員会――東京外環自動車について

「外環ノ2」の計画決定と合わせて建設中止を

○田村智子 日本共産党の田村智子です。
 社会保障と税の一体改革と称して13兆5千億円も消費税を増税するという法案がこの国会でまさに審議中で、その中では、社会保障分野でも国民の更なる負担増はやむを得ないという答弁が繰り返されています。
 その一方で、政権交代後、一旦予算執行が停止された巨大公共事業が次々と息を吹き返しています。その一つが総事業費8兆円、残事業で3・3兆円の大都市圏環状道路整備事業です。この事業費用の相当部分を占める東京外郭環状自動車道、関越―東名間16キロですね、この自動車道は1966年に計画をされましたが、地元自治体や住民の皆さんの強い反対で45年以上が経過してもなお道路の建設に着工できていないという、そういう高速自動車道路です。
 国土交通大臣にお聞きをいたします。消費税増税さえしようというときに、そして社会保障に必要な費用がこれから十数年間でピークを迎えようというときに、僅か16キロの高速自動車道路を造らなければならないと。その理由は何か、お答えください。

○羽田雄一郎 国土交通大臣 お答えをいたします。
 東京外環、関越から東名は、首都圏3環状道路を形成し、首都圏の慢性的な渋滞の改善、物流機能の向上、災害時の緊急輸送路として活用が見込まれるなど、首都圏の国際競争力の強化はもちろんのこと、その整備効果は首都圏以外にも広く波及するものと考えております。
 このため、平成21年5月に事業化し、これまで調査設計や用地買収を進めてきたところでありまして、引き続き整備の必要性や効果について国民の皆様に十分説明しつつ、併せて設計、工事の段階でもコスト縮減に努めながら整備を進めていきたいと考えているところであります。

○田村智子 渋滞の解消ということなんですけど、国土交通省の交通量調査でも、例えば2005年と比べて2010年、全国的に自動車の交通量というのは減少していると。東京でいっても、東京都は3環状道路のうち圏央道は通りました。首都高の環状線も通りました。これで相当に渋滞は解消されているという評価もしているわけですね。更にもう1本巨額の予算を使って造る必要があるのかと、こういう疑問の声が起こります。
 また、近年は災害対策だというふうに言われていますけれども、地下40メートルよりも深いトンネルの高速道路なんですね。これは資料で今お配りしていますので見ていただきたいんですけれども、地下40メートルですよ。これは大きな災害が起きたら当然進入禁止になるでしょう。それで避難に使えないと。しかも、地上の道路と違いますから、災害後も各地域、例えば避難所へのアクセス、この道路からやるということはほぼ不可能じゃないかと。これは私だけが言っているんじゃないんですね。馬淵元国交大臣が御自分のホームページの中で私と同じことを指摘をして、むしろ一般道路の沿道建築物の耐震強化、不燃化の方が重要ではないかと、こういうコメントも述べられていて、私、そのとおりだなというふうに思います。また、これをお聞きしても、また渋滞緩和だと、あるいは競争力の強化だと。もう東京の一極集中の方を解決するということが今最も重要な課題じゃないか、この問題提起はしたいと思います。
 もう一点お聞きしたいんです。
 実は、東京都は2020年に東京にオリンピックを招致する、このこととの関係でこの東京外環道路が必要だと、こういうアピールもしているんですね。都民の支持も十分に得られていないし、開催ももちろん決定していない。このオリンピックが道路建設の口実になるというのは、私はいかがなものかと思っています。
 そこで、確認をいたします。東京外環道は2020年の夏のオリンピック開催に間に合う計画なのか、完成予定は何年何月なのか、お答えください。

○羽田雄一郎 国土交通大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 東京外環、関越―東名は、首都圏の慢性的な渋滞の改善などを図る上で重要な道路であり、2020年、平成32年のオリンピック開催地に東京が立候補していることも踏まえ、でき得る限り早く完成させたいという思いはありますが、高速道路会社への事業認可では、工事完成予定を平成33年の3月31日としているところであります。工程的には大変厳しいというふうに分かっておりますけれども、東京都から強い御要望もいただいており、関係機関とも調整しながら、できる限り早くしたいというふうに考えております。

○田村智子 そうなんです。オリンピックに間に合わせようと思ったら、完成予定を8か月ぐらい前倒ししなきゃいけない。オリンピックに間に合うなんて保証は何もないわけですね。
 建設費用についてもお聞きをいたします。この東京外環16キロ、6車線の巨大なトンネルを2本掘ると、こういうものです。総事業費は1兆2800億円、そのうち中日本高速道路株式会社及び東日本高速道路株式会社、NEXCOというふうに訳します、この負担分は2460億円、残る1兆340億円は全て税金だとされています。
 この大都市圏の環状道路の整備事業ですけれども、同じように整備される新東名や新名神には税金の負担分はありません。なぜ東京外環だけ事業費のほとんどが税金の負担だというふうにされたのか、お答えください。

○菊川滋 道路局長 お答え申し上げます。
 東京外環、地元の皆さん方から、いろいろ調整をいたしまして、住環境等に配慮をいたしました結果、全線が今お話がありましたように大深度の地下構造となりました。したがって、ほかの高速道路より高い事業費ではありますが、首都圏の慢性的な渋滞の緩和などの……(発言する者あり)何ですか。

○田村智子 何で税金で……

○山本順三 委員長 答弁を続けてください。

○菊川滋 道路局長 はい。
 首都圏の慢性的な渋滞の緩和に、それに大きいと考えております。
 税負担という関係でございますが、元々、平成21年5月に有料道路事業と直轄事業を併せた事業方式を前提として事業化しておりました。その後、利便増進事業を活用した会社施行方式という整備を提案いたしましたけれども、関連の法案が廃案となりまして、その後、高速道路のあり方検討有識者委員会で整備手法の検討を進めておりましたが、昨年の12月の中間取りまとめにおきまして、この外環については有料整備を基本とし、不足分は、事業主体の責任を明確にしつつ、税負担を活用とされたところでございまして、これを踏まえて整備手法を決定したところであります。

○田村智子 これ、答弁聞いてもよく分からないんですけれども、私、国土交通省に自分が理解できるように何度もお聞きをしました。
 道路公団民営化の際、高速道路株式会社は、2050年9月までに料金やサービスエリアなどの事業収入と建設や補修などの支出とでバランスを取る。2050年、平成62年ですね、この9月の時点で黒字にも赤字にもしないと、こういうことが定められているということなんです。全国の高速道路で得られる料金収入や事業収入、今後2050年までの38年間分を充てても、東京外環道を造ると1兆円を超える赤字になってしまう、それを赤字にしないために税金を充てると。事業費がもし1兆2千、3千億ちょっとですか、これに収まらなかった場合、事業費膨らんだ場合も全部税金で負担する、こういうことになるわけです。
 実は政権交代前、こうしたやり方を民主党の議員、先ほど紹介した馬淵さんとかですね、これ厳しく批判していたんですよ。大臣、こんなやり方認めたら、NEXCOはこれから採算度外視してどんどん道路造れるようになっちゃうじゃないですか。赤字にしないために赤字分は全部税金で負担する、こんなやり方、私、モラルハザードだと思いますけど、いかがですか。

○羽田雄一郎 国土交通大臣 従来のいわゆる合併施行方式は有料道路事業と公共事業の責任分担が曖昧であったことから、高速道路のあり方検討有識者委員会の中間取りまとめを踏まえて、ジャンクションの周辺など工事を有料道路事業、その他を直轄事業とすることを基本として、責任分担を明確化した上で事業を実施するということにした次第であります。
 あとは……

○田村智子君 もういいです、答えられないならいいです。
 お答えになれないんですよ。1兆円ものお金を入れるんですよ。新東名や新名神は入れないんですからね。何で東京にだけそんな税金を入れるのかという話になると思います。
 私、東名ジャンクションの予定地の世田谷区の喜多見の地域訪ねて、住民の皆さんからも直接お話をお聞きしました。この東名ジャンクションのところからちょっと高いところに、すぐに成育医療センター、子供さんの病院です、これ見えます。このジャンクションに換気塔を造ると、ちょうどその排気ガスが出るところが成育医療センターと同じ高さになっちゃう。これで子供たちの病院の環境が守れるんだろうかと。あるいは、周辺、すぐそばに学校あります。ぜんそくの子供さん増えています。もっと環境が悪化するんじゃないかと、大変に皆さん心配をされていました。また、このジャンクション、野川が流れているんです。川が流れています。そこの遊歩道、ここは早朝にはカワセミなど野鳥に会える場所だと、これこそ子供たちに残すべき財産だと、こう訴える方も何人もおられたわけですよね。
 やはり、今こんな巨大高速道路を造って、わざわざ1兆円投じて東京の環境をもっと悪化させる、こんなことやるべきなのか。消費税の負担お願いしているときですよ。やっぱり、これは私、立ち止まって、事業の中止もこれは判断すべきときだということを強く要望したいと思います。
 今日は、あわせて、外環ノ2の計画についても是非お聞きをしたいと思っています。
 東京外環道、これ計画当初は地下ではなくて高架で造る予定でした。高架で造れば、そのたもと、その高架の下をどうするのかと、下にもこれは外環ノ2という道路を造ろうという、これが45年前の計画だったんです。しかし、本線は地下に変更されました。当然、地上部の道路計画というのは白紙になったと、これは多くの住民の皆さんが、圧倒的な住民の皆さんがそう思っていました。
 ところが、いまだにこの地上部の計画が残っていて、東京都は現在、武蔵野市、練馬区、杉並区で話し合いの会というのを持って、この地上部をどうするかというのを地域の住民や沿線の町会、商店会の皆さんなどから意見を聞いているところです。ところが、この話し合いの会をやっているさなか、この7月の18日に突然東京都は練馬区大泉の1キロメートルについて事業認可申請を提出をいたしました。住民にとってはまさに寝耳に水です。一体何のための話合いなのかと強い抗議と怒りの声が上げられています。私、これは道義的にも反していますよ。住民に対する裏切りです。国は事業認可をすべきではないと思いますが、大臣、いかがですか。

○羽田雄一郎 国土交通大臣 外環ノ2は、昭和41年に高速道路の外環本線とともに都内の都市計画道路ネットワークの一部として決定された延長約九キロメートルの都市計画道路であります。平成19年に外環本線が高架方式から地下方式に変更されたことを踏まえて、都は、外環2の必要性や在り方について広く意見を聞きながら検討を進めてきたというふうに認識をしております。
 このうち、大泉ジャンクション地域の1キロ区間については、その整備により、当該地域の南北道路ネットワークの強化、良好な都市環境の創出、地域の防災性の向上等が図られることから、都は、今年3月に事業化について地元への説明を行い、整備に着手することとしたと聞いております。なお、残る8キロについては引き続き話合いを進めていくものと認識をさせていただいております。
 現在、審査を行っているというふうに聞いておりますので、認可の可否について申し上げる段階ではないということであります。

○田村智子 確認しますが、これは外環ノ2の道路の1キロ分として事業認可申請をしているわけですよね。

○加藤利男 都市局長 お答えいたします。
 そのとおりでございます。一部でございます。

○田村智子 これ、話し合いの会には国土交通省も正式な構成員として参加をしているんですよ。何のための話合いなのか。東京都は、道路を造るための説明会やっているわけじゃないんですよ。計画に沿って道路と緑地を整備するという案、計画を縮小して車道と歩道を整備する、もっと狭い道路ですね、これを造るという案、そしてもう一つ、外環ノ2の都市計画を廃止するという考え方を示して話合いをやっているんですよ。まさにやっているんです。もうこれは話合い終わったということなんですか。外環ノ2は道路建設するということなんですか。どうなんですか、国土交通省。話し合いの会に出ているんですから、お答えください。

○加藤利男 都市局長 お答え申し上げます。
 先ほど大臣から御答弁がございましたが、9キロのうち1キロについては、今申し上げたように……

○田村智子 外環ノ2ですよ。

○加藤利男 都市局長 外環ノ2ですね。外環ノ2の残る8キロについては、それをどうするかという議論には影響を与えませんものですから、それは引き続き話合いを継続していくというふうに認識をしております。

○田村智子君 これは、皆さん、おかしいですよね。おかしいですよね。道路というのはつながって道路でしょう。たった1キロだけ事業認可して、あとは分かりませんと、どうなるか分かりません。こんな無責任な事業の申請のやり方もないし、これ認可するなんていったら、私は、国土交通省は何のために話し合いの会に入っているのかと、住民に対する裏切りを国土交通省自身がやるということになると思いますよ。
 実は武蔵野市議会は、これは事業申請を出す前ですけれども、東京都のこの動きに対して看過できないという立場で、話し合いの会の意見を尊重するよう求める、こういう意見書を全会一致で6月末にこれ議決をしています。
 私も、議員になる前ですけれども、地上部の道路建設の計画がある地域、全部見て回りました。ほとんどは閑静な昔からの住宅街です。子供たちが路地裏で遊ぶという日常がある、そういう地域なんです。小中学校もある、大学もある、湧き水の池や公園もあると。それらを潰して、あるいはどかして、今どき大きな道路をまだ都内に造ると、こんなこと考えられないです。
 これ、大きな道路を造られたら町が分断されてしまう、もう40年以上掛けてつくってきた町を壊さないでほしい、なぜ地上部に新たな道路が必要なのかと、話し合いの会の中では住民の皆さんからそういう声がどんどん出されているさなかです。なのに、1キロの部分を事業認可すれば、当然ほかの部分の圧力になるじゃないですか。1キロ造ったんだ、つながらなかったら道路の役割を果たさないと、そういうことになってしまいますよ。東京都も、意見は聞いたけれども、決定するのは東京都だと。1キロ認可された、じゃ次のところ、次のところと。こういうやり方は、私これ認めるわけにいかないと思いますよ。
 大臣、国交省の立場じゃなくていいですよ、大臣の立場として、政治家として、こういうやり方はいかがなものかと思うんですけど、いかがですか。

○羽田雄一郎 国土交通大臣 国土交通省としてもメンバーに入っているという話でありますし、現在その申請内容については、都市計画法に基づいて、都市計画への適合や事業施行期間等について審査をしていると、こういうふうに聞いております。このように審査を行っているところですので、認可の可否についてどうのこうのというふうに今言える状況ではありません。しかし、しっかりともう一度精査をさせていただきたいというふうに思っております。

○田村智子 実は、この東京外環道の建設をめぐっては、民主党の衆議院の議員の皆さんやあるいは都議会の皆さんですね、選挙のときには、こういう建設には反対だという立場を明確に表明されて選挙を戦って議員になられた方が何人もいらっしゃいます。地下だって造っていいのかどうかと、造ってほしくないという声がありました。地上部なんて絶対認められないというのが関係する市とそれから区のこれ総意だと思いますよ。武蔵野市からも正式にそういう意見書が上がっている。
 大臣、認可についての是非は言えないということなので、これだけは確認したいんです。話し合いの会やあるいは地元住民の皆さんの意見は尊重すべきであると、このことは明確にお答えいただきたいと思うんですが、いかがですか。

○羽田雄一郎 国土交通大臣 しっかりとお話を聞いていくべきだというふうに思います。

○田村智子 これ、是非大臣も、1兆円ものお金掛けるところですから、現地に行って見ていただきたい。どういう地域に道路を造ろうとしているのか。そして、今これだけ公共事業を次から次からとやって、で、消費税増税なんということをやったら、やはり消費税増税は大型公共事業をいよいよ進めるための増税なんだと言われても仕方のないような、そういう事態になると思います。
 私は、東京外環道の建設は今からでも中止をすべき、外環ノ2も即時これはやめるべきということを求めて、質問を終わります。