【12.07.26】社会保障と税の一体改革特別委員会――国保料(税)の負担はどうなるか
消費税増税しても保険料は一層の値上げ
○田村智子 日本共産党の田村智子です。
法案に入る前に、東日本大震災で被災された方々への国民健康保険、介護保険の自己負担と保険料の減免措置がこの9月で期限切れとなります。大変心配する声が被災地の皆さん、また医療や介護の関係者の方からも出されております。
厚生労働省は、昨日、このことについて事務連絡を出したということですけれども、その内容を簡潔にお答えください。
○小宮山洋子 厚生労大臣 国民健康保険と介護保険の一部負担金免除や保険料の減免につきましては、東電の福島原発事故に伴う国による避難指示等が行われた区域以外の被災者は、平成24年の9月末まで、減免に要した費用の全額を国が財政支援することにしています。
10月以降は、保険者の判断によって一部負担金等の減免措置を行った場合に財政支援ができる既存の国民健康保険制度などの仕組みを活用した支援を行っていきたいと考えています。具体的には、国民健康保険制度の一部負担金について、減免に要した費用が一部負担金総額の3%を超えるなど財政負担が著しい場合に免除額の十分の八以内の額を財政支援をする仕組みがありますので、保険者で減免が必要と判断される場合にはこれを活用していただきたいということです。
○田村智子 ということは、10月以降、対象から外れる自治体が出てくるということだと思います。また、2割は保険者負担だと、こうなりますと、被災自治体も財政的には大変厳しいというところありますから、今後、被災者向けの減免を打ち切るようなところが出てくることもあり得ます。
震災からまだ1年半で、仮設住宅での生活で健康被害が、悪化が広がっているという報道もありますので、こういうときこそ私は支援必要だと思いますので、この場では現行の制度の継続を求めまして、法案についての質問に入ります。
社会保障制度改革推進法案についてお聞きをいたします。
第2条、「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする」と、こういう案文になっています。これは、年金、医療、介護については、法律で定められた義務的負担以外、国や自治体の財政支出は抑制するという方向なのかどうか、発議者にお聞きします。
○柚木道義 衆議院議員 お答えを申し上げます。
御指摘をいただきました改革推進法案の第2条第3号では、急速に少子高齢化が進展する中で社会保険料に係る国民の負担が増大していることを踏まえまして、公費負担につきましては低所得者への保険料軽減等、それから国民負担の適正化に充てることを基本とする旨を規定したものでございまして、義務的負担以外の支出を抑制することを規定したものではございません。同時に、社会保障の機能の充実と給付の重点化及び制度の運営の効率化、つまりは今後の給付の重点化、負担の増大の抑制についても、この制度改革の課題の一つと考えております。
○田村智子 抑制ではないと。
そうすると、社会保障費は、前回の質疑でも取り上げましたけれども、高齢者人口が増えることに伴う増額があって、社会保険料も当分の間引上げが予想されると。国民所得は今激しく落ち込んでいるところに、消費税増税、そして国保料や介護保険料の引上げというふうになると、非常に耐え難い負担になるわけですね。ですから、保険料軽減のために公費投入が必要だと、これは認めるということなのかどうか、確認をします。
○柚木道義 衆議院議員 お答え申し上げます。
この一体改革では、低所得者が多く保険料負担が重い市町村国保の構造問題、これに対応するために、安定財源を確保した上で市町村国保に2200億円の公費を追加投入いたしまして、市町村国保の財政基盤の強化を図ることにしております。
また、現在の市町村国保では決算補填等のために約3600億円の法定外一般会計繰入れが行われておりますが、これ必ずしも所得水準が低く保険料負担が過重な市町村だけではございませんで、所得水準が高い市町村でもこれは行われている実態がございますので、これは国保財政の健全化を図る観点から、法定外一般会計繰入れを解消するように努めることも必要と考えております。
ただ、この法定外一般会計繰入れの解消については、これは実は御党の高橋議員等の御指摘もございますが、保険料の引上げだけではございませんで、収納率の向上策、こういった工夫も必要でございまして、そういったことと医療費適正化策を併せて推進していくことによりまして、さらには地方団体の意見も踏まえまして、今後の市町村国保の構造問題に対応してまいりたいと考えております。
○田村智子 では、今の話にもありました国民健康保険のことについてお聞きをしたいんですけれども、今、国民皆保険といいながら、国保料の納付率、これもう88%と、90%を切ったままなんですね。世帯で見ると、2割の世帯が滞納、短期保険証の発行は128万世帯を超えていると。資格証明書、これは事実上の保険証の取上げ、30万世帯を超える方々に行われてしまっています。
このことを私たち何度も取り上げてきました。年収が300万円台ぐらいでも、その保険料が4人ぐらいの世帯ですと40万円ぐらいになっちゃうというような問題も何度も取り上げて、保険料が払えずに無保険となっている方がいらっしゃる、病院に行くことができない、また、不安定雇用の若者などでは、保険証を持っていないと、こういう方が多数いると思われるわけですね。言わば、国民皆保険の危機とも言える状況だと思います。
先ほど、所得水準の高いような自治体でも、国保の組合でも公費投入を行っているっておっしゃいましたけど、恐らく所得水準高い地域というのは東京なんかが入ると思うんですけど、実態はこういうことなんですよ。やっぱり年収400万ぐらいで40万の保険料、大変な負担なんです。
私は、もちろん私たちみたいに所得がそれなりにある方は別にいいですよ、おいておいて。だけど、全体として、国民健康保険といえば、やっぱり保険料の引下げが必要なんじゃないのかと、負担の軽減というならそういう方向が改革ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○柚木道義 衆議院議員 お答え申し上げます。
今回の、今のような御指摘も踏まえまして、今後の消費税財源の充当、これは3党協議なり国民会議の中で協議をなされる部分でもありますが、他方で、2015年度における医療、介護の充実分につきましては、御指摘の例えばこれ市町村国保の低所得者の方々への保険料の軽減の拡充、あるいは、昨日もおっしゃっていましたが、介護保険についても、これ1号保険料の低所得者の保険料軽減強化などにも充当される案が、これは一体改革、これまでの与党・政府案の中には含まれておりまして、こういったことも踏まえながら、今後の各党との議論の中で対応もさせていただける部分があると考えております。
○田村智子 一体改革でそうやって国保の中に入れるというお金は、先ほどからお話のあるとおり2200億円。先ほど御答弁いただきましたけれども、現在地方自治体が国保会計に年間3900億円の法定外繰入れを行っていると。行ってもなお保険料の引上げは避けられなくなっている。それだけじゃなくて、国保の赤字は積み増していると。もしも、ここに2200億は入れると、だけどあなたのところはもう一般会計からの繰入れやるべきじゃないよなんというようなことが行われたら、大変な国保料の引上げになってしまうんじゃないのかと思うんですね。
厚生労働大臣にもお聞きをしたいんですけれども、厚生労働省、2010年に、都道府県に対して、国保の広域化等支援方針策定要領、これ示しまして、その中で、一般会計繰入れによる赤字補填分については、保険料の引上げ、収納率の向上、医療費適正化策の推進等により、できる限り早期に解消するよう努めることと、一般会計からの繰入れやめろと、こういうふうに求める文書を出していますが、これ、一体改革の中でもこの文書は生き続けるんでしょうか。いかがですか。
○小宮山洋子 厚生労働大臣 それは、いろいろな努力の中で解消に努めるということはやっていただかなければいけないと思っていますので、先ほど提出者が言われた低所得者へのいろいろな対応のためには入れますけれども、全体としてはそういう努力もしていただきたいということです。
○田村智子 そうすると、先ほど来話しているとおり、2200億入れても全然足りない、3900億入れても引上げが続いている。だけどその繰入れの解消を求めるということになれば、消費税は増税するけれども国保料もやっぱり値上げが続いていくということになると、そういうことでよろしいですか。大臣。
○小宮山洋子 厚生労働大臣 それはやはり、少子高齢化の中でどういう仕組みでやっていくか。昨日もお話ししたように、やはりそれは保険料でやるか税金でやるか自己負担でやるかしかないわけですから、その中で低所得者の方にいろんな配慮をしながら、またその安定のために広域化などもしながら、それはあらゆる手だてを尽くさなきゃいけないということだと思っています。
○田村智子 低所得者への対策は当たり前なんですけど、今本当に必死で働いている自営業者の皆さんが払えなくて滞納になっている。これがもっと引上げになる、で、消費税増税になって売上げが落ち込むと、これ、とんでもない負担増になっていく、国民生活の破壊になっていくということを言わなければならないと思っています。やっぱりこんな案は撤回しなければいけないなと、改めて私、強く主張したいと思います。
今日は、残された時間で子ども・子育て新システム関連の法案についてもお聞きをいたします。
これ、3党によって修正がされまして、児童福祉法24条、市町村の保育実施義務を削除すると、このことについては見直しが行われました。これはやはり全国の保育関係者や保護者の皆さんが言わば2年掛かりのような運動で取り組んでこられた。私も昨年来、何度も国会で取り上げてまいりました。やはり、市町村は保育しなければならないというこの規定を残したのは、こうした国民の皆さんの運動を反映したものだと思っています。
しかし、現行法との書きぶりが変わっているわけですね、修正されたものは。市町村は、次項に定めるところによるほか、保育所において保育をしなければならないと。これは認可保育所あるいは保育型の認定こども園を含んでいますけど、認可保育所での保育と、これ以外の家庭的保育事業などによる保育確保措置とを並列に置いた、あるいは、次項によるものがというのが先に来ているから、こっちの方が優先されるんじゃないかと、こんなような声も上がってくるわけですね。
一体、この24条の1項と2項、どちらが原則なのか、保育の施策の基本はどちらになるのか、お答えください。
○池坊保子 衆議院議員 委員が様々な方々の現場の声をお聞きになりながら、私どもがやりました1項をそのまま残しましたことを評価していただいたことは大変うれしいと思います。
とともに、御存じのように、認定こども園だけではなくて、それぞれの事情において、地域においては、過疎で人が集まらない、あるいは大都会で保育所を建てるだけのその敷地もないとか、様々な事情がございます。それらのことを勘案いたしますと、今までは苦労して保育所をしながら財政的支援がございませんでした、そういうところにも私は日を当てなければいけないと思いますので、財政支援をして質の高い保育をしてほしい、そしてまた、市町村が認可、指導監督をするべきと考えておりますので、そのように2項をしっかりと明確化いたしました。
これは、どちらがどうなのかということではございません。主として家庭的保育というのはゼロから2歳児が多いです。保育所は、やはり集団的にみんなが遊んだり学ぶことが必要かと思いますので、保育所ももちろん最も大切な事業でございます。それらが連携をしながら、地域の事情に応じて、市町村の下で、国が書きましたガイドライン、それの下で子ども・子育て会議をすると思います。その意見を聞きながら、しっかりと設置をし、運営していってほしいと思っております。
どちらがどうということではなく、連携をしながら、もちろん保育所の機能はとても大切というふうに考えております。
○田村智子 そうすると、市町村が保育をしなければならないという保育所での保育と、その他の保育の施策というのが言わば並列に、同列に置かれたというふうに考えてよろしいわけですか。
じゃ、田村議員にもお聞きしたいと思うんですけど、それでよろしいですか。自民党の議員にもお聞きしたいんですけど。
○田村憲久 衆議院議員 委員、これ、今までは家庭的保育も小規模保育もこういうものに対して給付がなかったわけですよね。これを給付をするという意味では、これはもう一歩前進。それに併せて、参酌基準とはいいながら、特に面積基準に関しては、土地がないところあります。それでも保育のニーズがありますからそこは参酌でやるというふうな形でございますけれども、一定の指針、指標を示しておりますから質は上がってくるものだというふうに思います。
ただ、一方で保育所との関係はどうだという話でありますが、今でも保育所の方が圧倒的に多いのはもう先生御承知のとおりでございます。でありますから、保育所というものの方が面積もしっかりと一応基準の中に担保されておりますから、そういう意味では、保育所というものに、場所が造れるところであるならば保育所というものを積極的に造っていただくのはこれは当たり前でありますけれども、地域によってはなかなか保育所を造れないところがあるわけでありますから、その保育ニーズというものを……
○田村智子 法律上、並列かどうか。
○田村憲久 衆議院議員 保育ニーズというものをしっかりと、まあ言うなれば確保していくためには、このような形での新たな規定を盛り込まさせていただいた、法律的にも担保をしたというような次第であります。
○田村智子 何か聞いていることにすっきり答えていただけない。位置付けとしては並列に置いて、財政的支援もやるから、どっちもということになったんだというふうに理解できると思うんです。うなずいていただきました。
それで、この第2項、保育の確保措置なんです、第2項は。保育をしなければならないじゃなくて、保育の確保措置なんですね、第2項に定めているのは。これは、言わば定員枠を用意するということだと。この第2項に定める認定こども園、小規模保育、保育ママさん、これは保護者との直接契約ですよ。市町村との契約じゃないんです、直接契約、皆さんが批判されていた直接契約になるわけです。これが認可保育所での保育と並列に置かれるということになれば、これは私、やっぱり市町村の保育実施義務は法律上後退するという扱いになっているんじゃないかと受け止められるんですね。
しかも、衆議院の特別委員会、私、議事録をほとんど読ませていただきました、全部。そうすると、5月28日に、今は提案者になられた公明党池坊議員、質問に立たれて、現行法の24条のただし書の削除こそ必要ではないかというふうにおっしゃられているわけですね。認可保育所での保育をこれを原則とすると、家庭的保育事業の利用で果たして保護者の要請にこたえることができるのかという問題提起もされている。これは、今認可保育所に申し込んでも入れていないお母さんたちから大変歓迎される質問だったと思うんです。そうだと、認可保育所での保育を本当に施策の中心に据えて、並列ではなく中心に据えて、これを増やしてほしいんだと。
ただし書の削除とまでおっしゃられていたのが、なぜその他保育事業と並列なんという修正案になってしまったのか。これをもう一度、お答えいただきたいと思います。
○高橋千秋 委員長 池坊保子君。時間が迫っております。簡潔にお願いします。
○池坊保子 衆議院議員 私は、先ほども申し上げましたように、保育所がしっかりとあるべきだと思います。
ですけれども、それぞれの事情によって保育所だけでは待機児童を解消できないところもございます。そういうところはしっかりと市町村がやっぱりいろんなことの細やかな私は手配をするべきというふうに考えておりますので、財政措置もしっかりとするならば二項にしっかりとそれを書くべきというふうに考えております。
それは、大切さにおいては、保護者にとっては両方とも大切であることに変わりはございません。けれども、保育所があるということは、もちろん保育所が中心にはなっても、それだけで解消できないということは委員もよくお分かりになられるのではないかと思います。私はそれを補完する意味で二項をしっかりと明確化いたしました。
○田村智子 続きは次回にやらせていただきますが……
○高橋千秋 委員長 時間が来ております。
○田村智子 保育の実施義務という法律上の書き方変えたって、これはやっぱり重大だと思いますので、このことを指摘して終わります。