日本共産党 田村智子
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【12.05.28】行政監視委員会――地域活性化についての参考人質疑

「市町村合併」政策への総括が必要

○福岡資麿 委員長 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。
 本日は、行政改革と行政の役割分担に関する件のうち、地域活性化と行政の役割について参考人の方々から意見を聴取した後、質疑を行います。
 御出席いただいております参考人は、前高知県知事・早稲田大学大学院客員教授橋本大二郎君、宮古市長山本正徳君及び小布施町長市村良三君の三名でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、橋本参考人、山本参考人、市村参考人の順にお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 (以下、中略)

*註――参考人の方々の意見陳述は国会図書館の国会会議録検索からお読みください。


○田村智子 どうも参考人の皆さん、御意見ありがとうございます。
 地方分権、私たちは、憲法がうたう地方自治がやはりもっと光が当てられて、その実現に国の側も力を入れるべきときを迎えているんじゃないだろうかと、こういう問題意識でお聞きをしたいんですが、今日は是非行政の監視という立場からも3人の方に御意見をお聞きしたいと思います。
 橋本参考人にですけれども、事前にいただきました橋本参考人のいろんなお書きになったものの中に、道路特定財源の例を挙げて、そして三位一体の改革の失敗から学んだ教訓があるというふうにお書きになっておられます。地方分権という言い方、中央集権型から抜け出すという言い方がやられた出発点は、やっぱり三位一体の改革がトップダウンでやられたことだと思うんです。やはり、それについての総括が果たして国の中でちゃんと行われているだろうか。
 高知では、例えば土佐の教育改革などの取組見てみますと、改革をやる過程の中で、必ず当事者の方、教職員や地域の方や保護者の方も交えた総括というのを時々で行いながら改革に取り組んでこられたと思います。
 そういう意味で、国の中でこの三位一体の改革、一体、総括が、地方公共団体の首長さんお呼びして意見を交換して共通の認識にしたようなことがあったかどうか、あるいは橋本参考人が今どういう評価をされておられるか、その中心点を、短い時間で申し訳ありませんが、お答えいただきたいと思います。

○参考人(橋本大二郎君) 私は、三位一体の改革の結果というものを受けて、それが第一次の分権改革の流れの中で出てきたことですけれども、もうこれ以上国とその分権ということで議論してもらちが明かないじゃないかと、だから一旦ここでやめるべきではないかということを知事会でも発言をいたしました。けれども、やはり多くの知事さんは、かなりの地方から見たときに裏切り行為であっても、財源の移譲ということが少しでも風穴が空いたと、これは歴史的に非常に大きなことなので、その風穴を大切にして、もう一つ大きな風穴を空けるステップを踏もうということで第二次の分権改革というものに進んでいきました、二〇〇六年の話だったと思いますけれども。
 私は、自分の思いとしては、もうそこでやめない限り、さいの河原の石積みのように、幾ら石積んでいってもぱらぱらぱらぱらおっこってそういうことを繰り返していくのではないかということを思って、今も思っております。
 三位一体の改革についての国と地方の間での総括があったかというと、私の知る限りそういうものはないだろうと思います。知事会においては今のような総括というか評価があって次に進んだということですが、自分の個人的な意見は違ったということになります。

○田村智子 ありがとうございました。
 続いて、山本参考人にですけれども、もし今の三位一体のことで御意見あったら一言お聞きしたいんですが、むしろお聞きしたいのは、今やはりこの災害からの復興ということで、復興庁ができることで施策がスピードアップするんだということが最大の、何というんですか、国の側の主眼としてこの間政策が取り組まれてきたと思います。
 しかし、私、別の調査会の中で若干お聞きした意見の中では、復興庁できたけれども、復興庁は窓口であって、そこから結局は国土交通省だったり様々な省庁に話が分けられていく、要望が分けられていく、そういう言わばワンストップサービスのようなところはできたけれども、それでスピード感を持って施策が進むというふうにはなかなかなっていないんだというような御意見も受けたりもしました。
 そこで、この復興庁ができたことで、今、しかしここの改革が足りないんじゃないかと、問題意識として思っておられることがありましたら、是非具体に一、二点をお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(山本正徳君) スピードが余り変わらないのは先生おっしゃるとおりだというふうに思います。
 元々、例えば災害支援法だとか、それから今度の例えば防災集団移転とかも、防災集団移転も津波みたいな災害を想定していないので、震災を中心にした災害に対しての法律みたいな形でできていますので、ですから、実態と合わない部分が出てくるんですね。
 そういう場合に、例えばそこに、実態と合わないので、崖地危険移転補助金とかというのを使ったりして、いろんな制度をそこに持ってきて使おうとするんですが、またこれが合わなかったりして、それに対して、例えば崖地の場合は基礎とか何かが残っていて、それを証明しなければ例えばほかに移転した場合にその移転した先での利子補給ができないとかいう規定があったとしますと、もう今どんどんどんどん復興が進むので、その基礎とか何かそこにうちがあったという証拠はどんどんなくなるわけです。でも、実際、例えば除去してしまう前に写真があったり、あるいは登記簿に載っていたりすればいいんじゃないかという話を持っていったんですが、なかなかこれに対する回答が非常に遅い、何か月と掛かるんですね。そういうこともあります。
 また、それが、大丈夫できますよというのがしっかり被災地に、全部の被災地に届いていないとかいう話があったり、なかなか、法律をいろいろ駆使しながらこの対応をしていかなきゃならないような今の状況の中では、スピードは上がっていないというのが現状でございます。

○田村智子 ありがとうございます。
 課題が多いんだなと本当に思います。今ある法律の転用ではない新たな仕組みが必要だということで、今後私たちも検討していきたいと思います。
 最後に、市村参考人、私、長野県小諸市の出身で、長野の銘菓は小布施の栗菓子だというように帰省するたびに買って帰ってきているんですけれども、今日はありがとうございます。
 私も、まちづくりということで、余りに中央集権的なやり方がいまだに続いているということは非常に問題意識を持っています。おっしゃるとおり、道路やダムの計画が何十年前のものであろうとも、いざゴーサインが出れば何十年の計画のまま、そのときに引かれた線のままで造られていくというのは、余りにその当該地域を無視したやり方ではないかなというふうに思っているところです。
 先ほど御紹介のあった国道の拡幅、歩道の側を拡幅しながらという取組は非常に学ぶべき点が多いなというふうに感じています。道路でいいますと、確かに交通渋滞の解消というのが道路整備の一番の主眼になってきて、それがために国道でいうと拡幅、あるいは踏切の除去でいっても大きな道路が二本なければ高架化する補助金が出ないなど、余りに国の側が引いた線での道路の工事というふうに縛られてきたように思います。それを、こういう独自の強みを、独自性を生かした国道の計画というふうにするに当たって、国との関係で御苦労をされたようなことというのがありましたら、是非この際お話しいただければと思います。

○参考人(市村良三君) ありがとうございます。
 田村先生の質問ですけれども、今、国土交通省はこういうことに逆に大変理解をしていただいています。これネックになるのはむしろ県ですね。
 道路、国道が特にそうですけれども、人と物を安全にある程度のスピードで運ぶという最大のあれがあるわけですけれども、日本の町、村はちょっとそれに、もちろんその恩恵は大きいわけですが、そろそろやっぱり町、村を迂回するというか、その町を抜けるときはちょっと遠慮をして迂回をしていきましょうというような、町の中はできるだけ車じゃない社会というようなものを目指していくべきだと思っておりまして、国土交通省は理解をいただいているところでありますので、逆に県などがそれをもうかなり一方的に解釈してしまっているところがあるかと思います。

○田村智子 あとちょっと一分ぐらいあるので。
 今のその県の側が硬直的に理解しているというのは、国の方針を逆に硬直的にとらえているという意味なのかどうか。

○参考人(市村良三君) という意味です。はい。

○田村智子君 どうもありがとうございました。