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【12.02.26】歯科診療報酬改定/基礎技術料引き上げ−−委員会での要求が実りました
4月からの医療の公定価格を決める2012年度診療報酬改定のなかで、歯科は全体として不十分ながら、診療現場の実情を一定、反映する改定が行われました。歯科医師の要求とともに、日本共産党の田村智子参院議員の国会での活動が実ったものです。
12年度の診療報酬改定で歯科は1・7%引き上げられました。
一つ目の特徴は、歯科医が日常の診療でよく行う虫歯治療などの基礎的技術料が引き上げられたことです。
基礎的技術料は長期に据え置かれてきました。田村氏が昨年9月の質問主意書で、1986年以来、25年間報酬が上がっていない項目をただしたのに対し、政府は具体的な項目をあげて58の技術が据え置きであることを明らかにしました。
この質問主意書は、日本歯科新聞が取り上げるなど反響を呼び、診療報酬を議論する中央社会保険医療協議会(中医協)で歯科医師代表の委員が紹介し、診療報酬引き上げを要求。1月に愛知県で開かれた中医協の公聴会でも取り上げられました。
二つ目の改善点は訪問診療の対象拡大です。これまでは、「常時寝たきり」の患者でないと対象にならないうえ、「20分以上」治療しないと報酬が大きく下がりました。患者の容態悪化で治療を切り上げることなどがあり、現場からは見直しを求める声が強くでていました。今回の改定で、この二つの要件が緩和されました。
田村氏は、昨年12月1日の参院厚労委員会で「『常時寝たきり』などの要件が訪問診療の普及を妨げている」と指摘。さらに「呼吸器をつけている方などが20分間、口をあけているのは大変なこと。医師は治療時間を短くする努力をしている」と実態に即した見直しを求めました。厚労省の外口崇保険局長は「検討したい」と答弁。それを受けて要件が見直されました。
現在、訪問診療を行っているのは歯科診療所の2割程度にとどまっており、普及のためには今回の改定でも不十分といいます。抜本的な報酬改定とともに、患者の自己負担の引き下げが求められています。
全国保険医団体連合会副会長で歯科代表を務める宇佐美宏さんの話 歯科診療所の経営は「歯科医療崩壊」というほど厳しい実情。改定は、立て直しには遠いですが、診療現場の実態を見ようという姿勢は一定、評価できます。基礎的技術が評価されたのには、田村さんの質問主意書がかなり力になっています。訪問診療でも、私たちが強く求め運動してきたことを国会で取り上げてくれました。特に20分要件を取り上げてくれたのは田村さんだけです。
(2012年2月26日(日)「しんぶん赤旗」より)