【11.07.28】厚生労働委員会――国民年金法等の改正法案への反対討論
○田村智子君 日本共産党を代表して、国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
確定拠出年金制度導入に当たり、我が党は、年金の運用リスクを労働者に転嫁し、高齢者の所得を不安定にしてしまう、企業の運用責任と拠出責任を軽減し、年金資産を景気対策に利用するものであることなどを理由に反対しました。
現に加入者の相当部分が元本割れをしており、老後保障を不安定にしています。労働者のマッチング拠出を認め運用資産を拡大することは、景気対策として年金資産を更に金融・証券市場に動員しようというものです。高齢期の所得の確保どころか、更に退職後の生活を脅かしかねません。
また、法案によれば、年金機構に加えて厚生年金基金や企業年金連合等が住民基本台帳ネットワークにアクセスできることになります。既に、企業年金連合等は年金機構を通じて住基ネットの情報を得ることができ、このような改定は必要ありません。住民基本台帳ネットワークへ直接アクセスできる者を増やすことは、情報漏えいや不正利用の危険性を高めることになります。
なお、保険料納付可能期間を二年から十年に延長する等の国民年金法の改正は、無年金、低年金問題の防止、救済となるものであり、賛成です。衆議院による修正は、これを時限的措置とするもので、救済対象を狭めることになり、政府原案どおりとすべきです。
最後に、本法案は、高齢期の所得の確保をうたいながら、現に高齢期の所得保障にとって最大の問題である無年金、低年金の抜本的な解決にはなりません。国際的に見て余りにも長い最低加入期間二十五年の短縮、最低保障年金の創設、基礎年金の底上げなど、国民の年金受給権と生活保障への改正を求め、討論を終わります。