【11.07.25】予算委員会――被災地の医療再建を早く
東北3県で被災が判明した医療機関約2500
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
第二次補正予算案は、原発事故を起こした東京電力の存続を前提として異様なまでの救済策を裏付け、その負担は税金投入などで国民に肩代わりをさせようというものであり、反対です。また、被災者生活支援金の限度額引上げに踏み込まないなど、被災地支援は余りに不十分だと言わざるを得ません。
私は、四月二十五日の予算委員会で、被災地の医療再建について一次補正で組まれた政府の支援策が全く足りないということを指摘しました。これに対し政府の答弁は、二次補正等で本格的な対応が必要というものでした。ところが、二次補正では医療施設再建の予算は全く組まれていません。なぜ新たな予算、支援の枠組みを示さなかったのか、当面、一次補正で事は足りるということなのか、お答えください。
○国務大臣(細川律夫君) 今回の二次補正予算案は、当面の復旧対策に万全を期すための費用を計上すると、こういう方針の下で、被災した医療機関の復旧に対処するために、福祉医療機構の融資について、例えば返済猶予あるいは償還期間の延長、そういうものを盛り込んだものでございます。
さらに、本格的な医療施設の復旧復興につきましては、これはその地域におきます町づくり、これの在り方と、これは本格的に復興のときに病院等のことは考えなければなりませんので、その実情を踏まえまして、国や県あるいは医療関係者と協力をいたしまして医療提供体制の在り方を検討して、今これを検討いたしておるところでありますけれども、その検討状況に応じまして、その被災県の要望にも応じまして、第三次補正予算に向けまして必要な財源を確保したいと、このように考えております。
○田村智子君 改めて確認しますが、東北三県の病院、診療所の被災状況、一次補正で組んだ災害復旧補助金の申請、どうなっているかお答えください。
○国務大臣(細川律夫君) 被害状況でございますけれども、これ、被災県からの報告によりますと、まず病院の被害状況でございます。
被害が発生をいたしました九県全体で申し上げますと、全壊が十病院、一部損壊が五百八十一病院、うち岩手、宮城、福島の三県では全壊が十病院、一部損壊が二百九十病院となっております。また、医科、歯科合わせた診療所の被害状況につきましては、これは被害が発生した九県全体では、全壊が百六十九か所、一部損壊が三千三百九十八か所、うち岩手、宮城、福島の三県では全壊が百六十六か所、一部損壊が二千三か所となっております。
また、お尋ねの災害復旧補助金の申請状況につきましては、病院、診療所合わせて六月三十日時点で、被害が発生した九県全体では三百四十九医療機関、うち岩手、宮城、福島三県では二百四十医療機関となっております。
以上です。
○田村智子君 東北三県で被災した医療施設、分かっているだけで二千五百と、災害復旧費の申請は僅か二百四十。被災状況から見ると、これ余りにも少ないんですね。しかも、この余りにも少ない申請でも、一次補正で組んだ三十五億ではこれ九県全体では全く足りないんじゃないでしょうか。
大臣、この現状をどう認識されているか、もう一度お答えください。
○国務大臣(細川律夫君) この被災地におきます医療の提供体制、これは早期に復旧を図る観点から、公的医療機関、そしてまた政策医療を担う民間医療機関について災害復旧費の補助率の引上げ、迅速な復旧整備を支援をするということといたしております。
このほか、災害復旧費を申請をしていない医療機関への支援策といたしましては、岩手、宮城、福島県の三県につきましては、地域医療再生基金につきましての交付額を百二十億円をそれぞれ確保いたしておりまして、被災県の判断で民間医療機関への支援を手厚くすることも可能といたしております。
さらに、第一次、第二次補正予算におきまして、福祉医療機構の融資につきまして、先ほども申し上げましたような返済猶予あるいは償還期間の延長、そして金利の見直しというような対応を図ったところでございます。
この災害復旧費を申請していない医療機関につきましては、これは県を通じて状況を把握いたしまして改めて個別の医療機関に周知するなど、災害復旧費、そして地域医療再生基金、貸付け、融資が有効に活用されるように努めてまいりたいと、このように考えております。
○田村智子君 今、災害復旧費を申請していないとおっしゃられましたけれども、そもそも申請することもできないんじゃないのかと。
先ほど政策医療に参加している医療機関には災害復旧費、補助率上げたと言いました。でも、これはへき地医療とか周産期医療とか救急医療に参加をしていなかったら、そもそも補助を申請することさえできないんですよ。だから、マスコミの中ではメニューはあっても支援策がないと、こういう報道もされています。
今、宮城県では、再建のために補助金が必要かどうか一千七百七十一の医療機関に問合せをしています。六月二十一日現在、四百八十七施設から回答があって、補助金が必要だと答えたのは二百十九、しかし半数の百五施設は国の補助金の対象外となってしまっています。
そもそも、歯科診療所などを考えてみれば、救急医療にも周産期医療にもこれは参加のしようがないわけですから、再建のための国の補助金を受けられないということになってしまいます。
病院の再建には数十億円、開業医が医療機器を新たにそろえるだけでも数千万円、建物も復旧させるには億単位の費用が必要となる。それを、ただお金を貸すからいいということにならないはずなんです。だから、岩手県は、国の補助対象外となった医療機関にこのままでは駄目だと独自で五億円近い支援策の予算を組みました。これは国が本来やるべき支援策を被災県に負わせたのと同じではないかと思うんです。
補助対象を大幅に広げる、補助率を引き上げる、これ早急にやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) 災害復旧費の方は公的な機関あるいは政策医療を担っていただいている医療機関でありますけれども、そのほかの民間の医療機関などにつきましては、この支援策といたしまして、地域医療再生基金、これは先ほども申し上げましたように百二十億円確保いたしておりまして、これは被災県の判断によりまして民間医療機関への支援もできると、こういうことにいたしておるわけでございます。
そして、先ほども申し上げましたように、福祉医療機構につきましては、これは金利を五年間ゼロにするとか、あるいは返済の期間を五年間まずは据置きで猶予するとか、あるいは償還期間をぐっと長くするとか、そういうような対応もいたしておりますので、そういうことで支援をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○田村智子君 基金百二十億円といいますけれども、すぐに使える災害復旧の分は十五億しかないんですよ。しかも、例えば被災した病院の建て壊しの費用、これも全く国の補助ないです。医師不足の問題もあって、県はこの基金に手を付けられずにいるんですよ。
補助率を引き上げるとか、新たな補助の枠組みをつくるとか、これ検討必要だと思うんですけれども、大臣、もう一度お答えいただきたいと思いますが。
○国務大臣(細川律夫君) 先ほども申し上げましたように、一次補正予算では、当面の医療体制確保のために仮設の建物とかあるいは医療機器の整備とかいうようなことで十四億円を計上させていただいたところでございます。
また、基準額を超える整備が必要な場合には、これは地域医療再生基金を、これは県と御相談をいただいてそこで活用していただくと。既に十五億円は前倒しで交付できるようにいたしておりますので、これを活用をしていただきたいというふうに思います。
基準額を超えるような場合も、そのところでの検討をしていただいて基準額を増やしていただけるような、これはそこで柔軟な対応をしていただきたいと、このように考えております。
○田村智子君 平野大臣、岩手出身の大臣としてお聞きしたいんですけれども、東北の沿岸部というのはこれまでも医師不足で大変な苦労をしてきた地域ですよね。国の支援策がないために被災地での再建を断念する医師がこれ以上増え続けたら一体どうなるのかと。高齢化の進んだ地域で生まれ育った町に住み続けたいと震災後も頑張ってきた高齢者、その家族が、病院や診療所が再建なかなかできないと、これで泣く泣く町を離れざるを得ないような事態、これ生まれてくるんじゃないでしょうか。待っていられないんですよ。
地域の復興のためにも、診療所、病院、国の補助を切り捨てることをやらない、補助対象を広げる。復興大臣としていかがでしょうか。
○国務大臣(平野達男君) 被災地では、残念ながら、開業医の方がやっぱりここではやっていかれないということで、その病院を畳んでよそに移られた、あるいはよその病院からうちの病院に来ないかと言われて行った、こういう状況を何とかしてくれという声は強く寄せられています。特に三陸については、御案内のとおり、人口減少率が非常に高くて、かつまた高齢化率が非常に高い、そこで被災が起こってきたという中で、特にもう高齢者に対しての介護、医療、このサービス、どうやって確保するかということについては今後の復旧復興の大きな鍵になるというふうに思っております。
この医師の確保、医療施設の確保、あるいは介護サービスの施設の確保、こういったことにつきましては、厚労大臣ともしっかり連携取りながらこれをしっかり確保するということに全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
○田村智子君 本当に切迫感、危機感がないんですね。もう医師がこれ以上被災地から抜け出てしまうようなことがないようにと、これ三次補正待たずに、民間の医療機関にも補助もっと広げますよと、もっと国が支援策やりますよと、総理、これ約束していただけないでしょうか。
○内閣総理大臣(菅直人君) 御指摘の点は大変重要でもあり、また時間を余り掛けると後戻りというか元の形ができないという御指摘もよく分かります。是非これは担当大臣に、どういう形で今御指摘があったことに対応できるのか検討して、できるだけ前向きな対応を行いたいと、こう思っております。
○田村智子君 本当に三次補正まで待っていられないんです。
私も七月の初めに陸前高田市伺いまして、県立高田病院の石木院長にお会いをいたしました。この病院は、陸前高田市の市街地にあって、全壊をしています。その翌日から、医療スタッフが避難をしたコミュニティーセンターが事実上の仮設診療所となって、多いときには一日五百人もの患者さんがここを頼ってこられたんですね。
震災前、この病院は六十床の入院ベッドを持っていて、急性期を脱した患者さんを救急病院である県立大船渡病院から引き受けるなど、こういう役割も果たしてきました。今でも肺炎で入院を必要とする患者さんがいると、もしこのままの状態が続けば冬には大船渡病院もパンクをして地域医療が崩壊しかねないと、私たちに仮設の病棟も造ってくれと、こういう意見も寄せられています。
国の支援策全く足りない、この認識で、必ず支援策、前に進めることをお約束いただきたい。要望して、質問を終わります。