日本共産党 田村智子
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【11.05.20】予算委員会――原発作業員の内部被ばく把握はたった40人

東電副社長、総理に責任ある対応求める

○委員長(前田武志君) 次に、田村智子君の質疑を行います。田村智子君。

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 東京電力福島第一原発は、二か月以上がたっても深刻な放射能漏れが続いており、一刻も早い事態の収束が福島県民、国民全体の切なる願いです。同時に、作業員の皆さんの命と健康がないがしろにされるようなことがあってはなりません。
 三月十一日から今日まで、事故の収束活動に当たった方は総数で六千人に上ると聞いています。この作業員の皆さんはどれだけ放射線を浴びたか、それは線量計を身に着けて測定をしているはずですが、これでは、どれだけ放射性物質を吸い込んだのかという内部被曝、これ分かりません。
 武藤副社長にお聞きします。六千人のうち、内部被曝について計測をしたのは何人で、内部被曝量が判明したのは何人ですか。

○東京電力株式会社取締役副社長 武藤栄君 お答えいたします。
 五月十六日現在で、福島第一原子力発電所で線量管理を行っております作業員の方、合計七千四百人いらっしゃいます。このうち、同日時点で内部被曝の測定が終わっております方が約千四百名でございます。それから、内部被曝の評価が確定している方は四十名でございます。

○田村智子君 内部被曝量の判明は、たった四十人なんですよ。驚きます。内部被曝量というのは専門的な検討が必要で、ホール・ボディー・カウンターで測っただけでは分からないというんですね。それでは一体、全員の内部被曝の判明というのはいつまで掛かるんですか。

○参考人(武藤栄君) ホール・ボディー・カウンターで、残り六千名ほどいらっしゃるわけですが、この測定を行うのに約二か月程度を要するというふうに考えております。測定が終わりましたらば順次評価をいたしまして、結果を確定をしてまいりたいというふうに思っております。
 なお、放射性物質を取り込んだ時期を決めるためにそれぞれの方がどういうふうに行動されたかということを確認をする必要がございますために、確定までに時間が幾らか掛かっているということでございます。

○田村智子君 私、これ前に厚生労働委員会で取り上げたときには、一か月間の中で必ず測るという、そういう内規取り決めたということも聞いていたんですね。これ全然遅過ぎますよ。
 しかも、重大なことに、この七千四百人ですか、このうち東京電力の社員というのは三分の一以下だと思いますよ。それ以外の人の中には、派遣労働者もいます、臨時雇いの方もいます。既に現場からいなくなっている方が多数に上っていると思うんですね。昨日も私、東電本社に事故処理にかかわった事業者は末端の下請まで含めて何社あるかとお聞きしたんですけれども、それさえ全く分からない状態なんです。これで七千四百人全員どうやって内部被曝の測定をするんでしょうか。もう一度お答えください。

○参考人(武藤栄君) 作業されました方につきましては作業員名簿というのを作っておりますので、それに基づきまして個人を特定をいたしまして、順次測定を実施してまいりたいというふうに思っております。

○田村智子君 名前が分かっても、もうどこにいるかも分からないような状態になっている方がいらっしゃると思うんですね。これ、本当に作業が遅れているんです。
 作業員の皆さんの不安というのも本当に大変なもので、例えば、休憩時間にはマスクを外していた、自分は大丈夫なのか、食事取っていた場所が後からそこは放射能汚染されていたんだと聞かされた、自分も内部被曝しているんじゃないかと思うんだけれども、検査について何も声が掛からない、こういう不安の声は何人もの方々から寄せられているんです。
 私、本当に重大だと思うのは、最初の水素爆発は三月十二日、このときから大量の放射性物質を吸い込む危険性に現場の皆さんはさらされていたはずなんですね。そこから考えて既に二か月以上が経過をしています。二か月以上経過してなお全員の内部被曝線量を把握する体制がつくられていないということなんですよ。これは余りにも無責任ではないのかと思いますが、武藤副社長、もう一度お願いいたします。

○参考人(武藤栄君) 現場で作業をされる方々の労働安全を確保するのは大変重要なことでございまして、私どもの最優先課題だというふうに思っております。
 内部被曝の測定につきましては、震災によりまして福島第一、第二、両発電所の測定装置が使用できない状態になりました。このために、車載型の測定装置を借り受けて測定をしてまいりましたけれども、福島第二にございますものを復帰させ、それから柏崎刈羽にございますものも併用しながら現在測定に取り組んでいるところでございます。
 さらに、新しいものの整備も今手配を行っておりまして、更に四台以上追加をいたしまして、十二台以上の測定装置を七月以降配備をして、できるだけ早く測定をしてまいりたいというふうに思っております。

○田村智子君 十四台、これから用意するんですね。
 じゃ、ちょっとお聞きしたいんですけれども、これまで測定した千四百人という方は一体何台のホール・ボディー・カウンターで測定をされていたんですか。

○参考人(武藤栄君) 車載型の測定装置二台を借り受けまして、これを使い、それから柏崎刈羽に四台ございますので、これを利用いたしまして測定をしてまいりました。

○田村智子君 柏崎刈羽まで行くというのは本当に時間が掛かるんですね、物理的にこれ難しいです。だから、事実上、小名浜にある二台でしか内部被曝を測定するという体制が取られていなかったということだと思うんですよ。遅れるのは当たり前なんです。
 こうした無責任なやり方というのが、私は東電がこういうことをやっているから下請の業者の中にも広がっているんじゃないかと今本当に危惧しているんです。例えば、派遣労働者が被曝承諾書なるものを、今後白血病などの健康被害が起きても責任を問わないという、そういう内容の文書にサインをさせられたと、こういう報道がされています。これ事実だとすれば法律に反する重大な事態です。こんなことは認められないし、健康被害が不幸にして起きた場合は東京電力責任持つ、これちゃんと明言すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○参考人(武藤栄君) 御指摘の、報道にありますような被曝についての承諾書につきまして我々は把握をしておりませんし、そうしたことをもちろん指示するようなことも当然ございません。もしも協力企業の中で今御指摘のような承諾書を取るといったような行為があるとすれば、これは大変に遺憾でございまして、法令抵触あるいは公序良俗に反するような行為があるようであれば、我々も厳正に対処をしていきたいというふうに思っております。それから、これまでも厳正な放射線管理を実施をして協力企業にも呼びかけを行ってまいりましたけれども、今後ともこうした活動を続けてまいりたいと思います。
 それから、万一、これは作業管理については当然労働安全を最優先に行いますけれども、被曝によります損害が発生したような場合には、これは原子力損害賠償制度等に基づきまして誠実に対応してまいりたいと思います。

○田村智子君 そうやって口で約束しますって言うんですけれども、私本当に危惧するのは、さっき名前つかみますって言ったけど、つかみますであって、つかんでないでしょう。協力企業についても、これは元請は分かるかもしれませんよ、何十社。その後どこに仕事が行ったのか、どれだけの企業がかかわったのかと、これ何度聞いても東京電力から明確な答えがないんですよ。
 これ、絶対、一番末端の事業者まで責任持って東電は資料を出す、このことをお願いしたいと思いますし、委員長にもこれを理事会で協議していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○委員長(前田武志君) 理事会において協議いたします。

○田村智子君 これは副社長にも是非、末端の事業所までちゃんと資料として出す、お約束いただきたいんですが、いかがでしょうか。

○参考人(武藤栄君) 御指摘のように、末端で作業をされている方々の一人一人の安全を確保ができますように、これは元請の会社ともよく相談をさせていただいてしっかりと対処をしてまいりたいというふうに思います。

○田村智子君 総理、お聞きいたします。
 こういう状態に作業員の皆さんは置かれているんですね。私、まず驚いたのは、自分が内部被曝どれだけしているかと分かったのが四十人しかいないんですよ、四十人しかいない。それで、どんどん現場からいなくなっている。これは、やっぱりしっかり政府が作業員の皆さんの命と健康を守る、これ約束していただかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(菅直人君) 現在、前の統合対策本部を統合連絡室という形でしっかりと東電とも統合した形で物事を進めておりますので、今の御指摘は、その統合対策本部の、現対策室の責任者としてもしっかり把握をして国会に資料を出すように指導してまいりたいと、こう思っております。

○田村智子君 終わります。