日本共産党 田村智子
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【11.05.02】災害特別委員会――液状化・冠水被害への新たな支援を

液状化 地域全体の地盤対策へ国の支援を

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 まず、液状化の被害への支援についてお聞きをいたします。
 現在、この液状化の被害認定が、家屋の被害認定など現行制度では十分でないということで、内閣府での検討が行われていると了解をしております。既に地震発生から二か月近くがたっているわけでして、いつまでにこの新たな被害認定の在り方や補償について制度が示されるのか、このことを確認したいのと、これ既に修復などを応急的に行っている家もあるんですね。そういう場合には、写真や記録などで被害があった直後の状況が確認をできれば当然補償の対象とするかどうか、このことを確認したいと思います。

○政府参考人(原田保夫君) お答え申し上げます。
 液状化にかかわる問題でございますが、二点あったかと思いますけれども、液状化、今回、茨城県、千葉県で生じておりますけれども、これについて実態に合わせて基準の見直しをすべきではないかというような御指摘をいただいております。従来から大臣等々がお答えを申し上げておりますけれども、基準の見直しを検討しておりまして、速やかに結論を出して対応していきたいというふうに思っております。
 それから二点目でございますが、既に修復してしまった部分をどうするかという点でございますけれども、これにつきましては、修復作業が終わった住宅についても客観的な資料、例えば写真でありますとか、写真がない場合には、例えば修復された場合は業者の方に頼まれると思いますので、業者の方が持っておられる工事記録であるとか、そういった等々の別の資料で確認できればそれによって確認をするということは適当だと思いますので、今までもこういったケースはそういった対応をされていると思いますけれども、今回についてもそういったような方法で対応してもらうよう関係地方公共団体に徹底を図っていきたいというふうに思っております。

○田村智子君 国庫の補償が本当に急がれるということはもう当然なんですけれども、実はこの液状化の問題大変複雑でして、私も千葉県の幾つかの市を訪ねてその状況を見てまいりましたが、一つ、その修復を行う場合に、例えば家の高さと道路の高さが明らかに違っている場合があるんですね。多くは家が重いですから家の方が沈んでいます。道路がその高さで修復が進んでしまうと雨が降るたびに家の方に水が流れ込んでしまうと、こういう問題が現にもう起き始めているわけですね。
 それぞれの住宅や周辺の道路などがばらばらに修復をされていくことになりますと、問題が一層複雑になりかねません。地域全体をどう修復していくのか、住民の皆さんと自治体がよく協議をするということが基本だと思います。このことを国土交通省の方からも是非働きかけをしていただきたいと思いますし、こういう事態は市も初めての事態なんです。ですから、市の方からの相談を待つのでなく、修復について技術的なことを、そのやり方についても是非支援や助言ということも行っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○大臣政務官(小泉俊明君) 田村委員御指摘のように、私も先日、千葉県の香取市、そして茨城県の稲敷市の液状化を現実に視察をしてまいりました。先生御指摘のように、宅地が一メートルほど沈んでしまって道路との段差ができてしまうと、そのために上水が回復いたしましても排水ができないためにお風呂も使えない、トイレも使えないと、新築の家に住むことができずに借家に住んでいるという実態があります。その意味で、先生御指摘いただきましたように、これ今までの事態とは違うものでありますし、同じ尺度で測ることはできないような大きな被害だと思っております。
 その観点から、原則はこれ原形の復旧ということが原則でありますが、一番大切であるのは下水等がちゃんと使える、機能を回復することが一番大切であると思っておりますので、先生御指摘いただきましたように、地方自治体と十分連携を取りながら、国交省も積極的にいろんな意味で技術的そして財政的な面も含めて支援をしていきたいと思っている次第であります。

○田村智子君 財政的な支援ではもう一点、地盤の強化がどうなるのかということが大変住民の皆さんの不安になっております。高さを合わせて修復したとしても、本当にそこに住み続けて安心なのかと、再び液状化という問題が起きれば、道路の修復したけれども、またお金掛けて直すことになるじゃないかと、こういう声が起こっているわけです。
 かつて中越沖地震の際には、液状化の被害が起きた柏崎市山本団地の住民の皆さんが大変粘り強い運動に取り組まれまして、宅地造成規制法が二〇〇六年に改正をされて、初めて宅地の地盤改良に国庫での補助という、こういう仕組みがつくられました。ただ、この法律は、土砂災害とか地すべりとかこういう傾斜地への法律という枠組みになっていて、今回起きたような平たんなところでの液状化の地盤改良に適用するのが難しいということを国土交通省の方から説明を受けたところなんです。
 是非、地盤改良についての新たな財政的支援の枠組みというのも検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大臣政務官(小泉俊明君) 先日の千葉県香取市を視察させていただきましたところ、新しく造りました住宅地につきましても、地盤改良をしっかりしたところに関しましては実は被害が生じていなかったという事例もあります。ただし、まだこの点につきましては国に基準がありませんので、いろんな知見を集めながら基準の策定を含めて必要な対策を積極的に進めていきたいと思っているところであります。

宮城県石巻市の冠水被害 


○田村智子君 是非よろしくお願いいたします。
 もう一点、次に石巻市などで起こっている冠水の被害について取り上げたいと思います。
 私も四月二十一日に石巻市に伺いまして、ちょうど大潮の時期だったものですから、もう海岸から三百メートル、四百メートル離れたような住宅街でも二十センチ、三十センチ道路が水没をしていて、私たちも車ではもう入れないという事態でした。これ、赤堀という海に通じる割り堀があるんですけれども、ここからもどんどん浸水が始まっていましたし、マンホールからも恐らく水が上がっているんだろうということが確認ができました。
 この四月二十一日は天気が良かったんですね。高気圧だからこれでもまだ良い方だと言われました。低気圧の二十四日の日には、雨が降らなくても、海岸から一キロ離れたような地点でも床上浸水まで起きていると報道がされています。
 実は、この後、一週間たった昨日五月一日もまた大潮になったんです。満潮は午前と午後、一日に二回やってくる。住民の皆さんの心労は本当に相当なもので、学校の登下校の時間もこの潮の満ち引きに合わせなければならないという事態まで起きてきています。
 市は、いろんな緊急策として、排水ポンプ所を設置するとか、海岸べりそれから堀沿いに盛土をするとかという緊急の対応策考えているんですけれども、これも是非国も一緒にやっていただきたいんですが、私、これではちょっと万全とは言えないと思っているんです。是非、国土交通省として詳しい調査も行って、いろんな対策のメニューを示すということも含めて、市や住民の皆さんに丁寧な説明も行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(松本龍君) 大変重要な御指摘だと思います。私も一月前に石巻に行きまして、河北というところに行きまして、ここは海だったのか田んぼだったのか家屋だったのかというぐらい浸水状況が激しい状況を見てまいりました。
 そういう意味では、当時はまだ寒い日でありましたけれども、自衛隊がつかりながら御遺体の捜索をされておりましたけれども、今の被災者生活再建支援制度の中では、自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対しては自立した生活ができるよう特別に支援することができます。半壊、一部損壊は対象とせず、より重大な被害を受けた世帯を重点的に支援するものであります。
 このような趣旨からすれば、現時点での支援金の支給対象を半壊、一部損壊世帯までに拡大することは難しいですけれども、ただし津波による床上浸水は瓦れき等の流入によって外壁、内壁への被害を伴うことから、今回、手続を迅速化するために津波による床上浸水を半壊と判定できる旨を一方で通知をしており、この場合、災害救助法による住宅の応急修理が活用できるほか、やむを得ず解体に至った場合には全壊世帯に相当する支援金が支給をされることになっております。
 なお、地盤沈下により満潮のたびに冠水被害が生じるような地域については、先ほど国交省の話もありましたけれども、個々の住宅被害の認定の問題を超えて地域全体としての冠水防止対策の必要性も指摘をされておりますので、地元自治体の要望も伺いながら、関係省庁に私からも働きかけてまいりたいというふうに思っております。

○大臣政務官(小泉俊明君) 先生御指摘いただきましたように、今回の津波で防潮堤の破堤等により浸水被害が生じております。それだけでなく、言わば地盤全体がかなり沈下をしているために、現状におきましても大潮や満潮時に冠水被害が発生しているということは認識をしている次第であります。
 これに対する国交省の対策として、まず応急措置として、出水時までの盛土等により高潮位までの閉め切りを実施させていただいておりますし、また八月の台風の時期まではこの盛土等に補強を行うと。そしてさらに、地域の本格復旧につきましては、今大臣からもお話しいただきましたように、被災自治体の町づくり計画、そして地域の各地方自治体とも連携を密に取りながら万全の対策を取っていく所存でございます。

○田村智子君 補償のことはもう一つの方で今から聞こうと思っていたんですけれども、お答えいただきましたので。本当に私も見てきたんですけど、床上、床下浸水がこんなに一週間ごとにやってきて、しかもそれが数日続くなんという事態、これもまた新たな事態ですので、是非被害の認定や補償というのは踏み込んで行っていただきたいというふうに思います。
 今日、この冠水の問題も大変前向きな御答弁をいただいたんですけれども、実は質問の準備をする過程で国土交通省の方にいろいろお話を伺いましたら、例えば下水管から水が上がってきちゃっているような事態、それは下水の担当課だと、あるいは住宅の被害、道路の被害、それはこっちの課だと、それから水の上がってくる地域が漁港に隣接するんだったら農水省だと。大変私も説明を受けながら、これは一体、石巻市や県の担当者は、冠水の被害についてどうかしてくれということを相談するときに一体どこが窓口なんだろうかと。
 これは、現場で求められるのは、現に今住んでいるその方々の生活をどうするかということで、複合的な問題が起きてきているものですから、実際の予算の執行だとか、どこの局が担当して予算の配分するかというのはもちろん縦割りがあるでしょう。だけど、その被害の状況を調べて、そしてそれに対策を取るんだということは、そんなばらばらでやっていたらこれは市も県もたまったものじゃないわけです。それに、私のその質問を受けている間は、じゃそれぞれの課が乗り出していって自分がやるんだという態度かというと、逆に、うちは下水管のことしかやりませんよと、うちはその地域は関係ありませんよというような態度さえ思わせるような対応だったわけですね。
 これでは絶対駄目で、もうそれぞれの課が乗り出していって現地で調整するようなことも含めて、これはやっぱり住宅街での被害ですから国土交通省がちゃんと責任持って相談に乗ってやるんだと、このことを最後に確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

○委員長(ツルネンマルテイ君) 松本大臣、なお時間が過ぎていますから、答弁は簡潔にお願いします。

○国務大臣(松本龍君) はい。
 二十年前、私当選しまして、国土交通省、当時、局あって省なしという話もちょっとしました。そのくらい縦割りというのがありまして、瓦れきの処理でも、今の話にしましても、それぞれが乗り込んでいってぶつかって初めてすき間がなくなるということでありますから、今の話、私の所管ではありませんけれども、国土交通大臣にも伝えたいと思います。