【11.04.19】厚生労働委員会――原発周辺の住民支援 避難所の改善など
住民の被ばく線量把握への対策を
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
福島第一原子力発電所は事故の収束のめどもいまだ立たず、半径二十キロ圏外でも飯舘村など一市二町二村が計画的避難地域とされました。この地域の住民の皆さん、また様々な事情で二十キロ圏内にとどまっている方々、屋内退避地域の住民の皆さん、いずれも大変な不安と困惑を抱えておられると思います。これら地域の住民について被曝の状態や健康への影響などを把握し対策を取る、その責任を持つのは政府のどの機関になりますか。
○副大臣(大塚耕平君) 原子力災害対策特別措置法に基づいて設置された原子力災害対策本部の本部長である内閣総理大臣でございます。
○田村智子君 それでは逆に責任が明確にならないと思うんですね。
いろんなところに聞いたんです。そうしたら、内閣府に原子力被災者生活支援チームがあると。これは内閣府の下に厚労省、文科省、経産省が集められている。どこが住民の健康に責任を持つのか、これはやっぱりはっきりさせなきゃいけないと思うんです。地域の住民の皆さんの健康への影響というのは、これは一年、二年の問題じゃありません。やっぱり追跡的にその状況を把握して、不安が解消されるまでこたえなければならない。その意味では、厚生労働省が積極的に役割を果たすべきだと私は考えます。
放射性物質を扱う労働の現場では、労働安全衛生法に基づいて規定された電離放射線障害防止規則、いわゆる電離則によって個々人の放射線量を事業者が管理をし、一定の値を超えた場合、それ以上の被曝をしないよう厳格な規定が定められています。福島原発で作業に当たっている方々の被曝線量の把握とこの電離則に基づく対応が求められるのは言うまでもありませんが、周辺住民も言わば同じような状態に置かれています。地域の放射線量が日々通知をされても、自分がどれだけ放射線を浴びたか分かりようがありません。被曝線量の積算を数値化する線量計を電離則に基づく規則と一緒にやっぱり住民の皆さんも身に付ける、これが不可欠だと思います。
既にアメリカからは三万とか、フランス、カナダ、イギリスなど海外から相当数の線量計が提供されています。国内企業にも協力を要請すればかなりの数は確保できるはずです。政府が何らかの指示を出している地域については、自治体とも早く協議をして、住民やその地域で働く皆さんに線量計を配付して身に付けてもらう、これ必要ではないでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君) 原発周辺で修復作業に当たる方々あるいは周辺住民の皆様、特に避難指示が出ている二十キロ圏内の住民を除きまして、二十キロから三十キロ圏内の屋内退避区域の住民の皆さんについては、屋内退避やあるいは自主退避等の対応によって現時点でリスクのコントロールが図られているものというふうに考えております。このため、安全性確保の観点からは、緊急時には経産省において住民の被曝放射線量の測定が行われますが、厚生労働省としても十分な関心を持って臨んでおりますが、現時点で一般の住民の皆さんに線量計の配付までをするということは考えておりません。
なお、放射線医学総合研究所は、リスク評価を適切に行う観点から、被曝線量の推計のために一部の住民の皆さんに対して線量計の配付を検討しているようでありますが、これはどのような影響が出ているのかということについてのデータを、安全性の確保の観点からではなく、調査研究のためにそういうことを検討しているというふうに理解をしております。
○田村智子君 ちょっとそれでは余りに無責任だと思いますね。住民の皆さんからも、自分がどれだけ被曝したのか分からない、避難の必要が本当にあるのかどうか、こういう声が上がっているんです、現に。大体、海外から何万という数の線量計が実際にあって、それ全部福島原発の中で使うなんということにならないじゃないですか。当然、これは住民の皆さんに配ってもらうことも想定をして恐らく海外からも提供があるんだと思います。もう事実上、放射性物質を扱うのとそれにもう準ずるような事態になっているわけですから、これは電離則に準ずるような手だてを取るのは当然のことだと私は思います。是非再考いただきたいと思います。
それから、たとえ被曝線量が分かっても、それによってどのような健康の影響が出るのか、その場合にどう対応したらいいのか、これ分からないと、こういう声も出ています。政府が記者会見などでいろいろ言っていることを聞いても、私もよく分かりません。原子力保安院などが直ちに影響はないと繰り返しても、住民の皆さんの不安が払拭されるとはとても思えないわけです。
私は、原発は安全だと宣伝してきた人たちとは一線を画した立場で、医療的立場から不安に専門家がこたえるということを求められていると思います。例えば、広島、長崎の被爆者の方々の健康状態を長年にわたって把握してきた放影研があります。また、被曝医療に携わってきたお医者さんもいます。こういう方々の協力を得て、まさに厚生労働省の出番だと思うんです。積極的に、先ほどの被曝量をちゃんと測るということと、それから医療的な立場からの支援、そういうサジェスチョンですね、それを是非やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君) 厚生労働省が重大な関心と責任を持って臨まなくてはいけないというのは、私どももそう理解をしております。先ほど藤井先生からも御指摘のあった、過去にそういった担当部署があったという事実も聞かせていただきましたので、そういう部署が必要かどうかも含めて、大臣共々しっかり考えてまいりたいと思います。
さりながら、先生方にも一つ御理解をいただきたいのは、先ほどの質疑の中でも申し上げましたが、住民の皆さんのこれまでの行動の過去の履歴のトレース、そして各地域の大気中の線量等々、様々なデータを基に、個々の住民の方がどのぐらいの影響を受けたかということは、一定のルールの下でしっかりこれから政府としてフォローしなくてはいけないということで関係省庁で協議をいたしております。その一方、どのぐらいの線量を浴びたら影響が出るかということについて、現時点で得られている科学的知見、科学者の皆さんが得ている科学的知見というものはあるわけでございますが、その知見についても実は必ずしも全ての科学者の皆さんが同じことを述べておられないという非常に難しい課題であるということもあります。
そうした中で、私もこれは文献で読んだことでございますが、チェルノブイリのときにも、実際にその線量を浴びて影響を受けた結果、健康被害に遭われた方ももちろんいらっしゃいましたが、PTSDというような形で、線量を浴びたことによって自分は影響を受けたのではないかという思いがいろんなことにつながったということもあったようでございます。
いろいろ総合的に勘案して、住民の皆さんの不安におこたえするために最善をこれからも尽くさせていただきたいというふうに思っております。
○田村智子君 大体推測ができるんだというふうにおっしゃるんですけれども、例えば二十キロ―三十キロの圏内の中でも外に出て働いていらっしゃる方、実際いるわけですよ。個々人の行動によって全く被曝の量って変わってきてしまって、やっぱり事実に基づいて住民の皆さんが判断できるようにしなければならないはずなんです。
だから、これは是非検討していただきたいと思いますし、被曝の問題では日本の医療というのはやっぱり先進なわけですよね、実際、広島、長崎の原爆の被爆者の皆さんをずっと診てきたお医者さんたちがいらっしゃるわけですから。これは不安をあおるというのではなくて、やっぱり客観的な事実を知れば逆に怖がる必要がないということも分かるでしょうし、そういう意味ではよく積極的に情報提供を厚生労働省からも行っていただきたいと思います。
避難所の衛生状態、食事など急いで改善を
ちょっと平行線のようなので、また時を改めてこれお聞きをしたいと思います。
今日、環境省にも来ていただいていますので、避難所の衛生環境についてお聞きいたします。
上下水道の復旧がまだ時間が掛かるという、こういう地域の避難所では衛生面の対策が急がれています。石巻の赤十字病院が継続的に市内と周辺の避難所に入って衛生面での調査と改善を努力しているということが報道もされていますけれども、先週の四月十日や十一日の調査でもまだ四割の避難所に衛生上の問題があると。中にはくみ取りの遅れで仮設トイレがあふれそうになっていたと、こういう指摘もされています。感染症が爆発的に広がるおそれがあると。状況が改善されていない避難所への個別対策が急がれていると思います。
避難所によっては、バキュームカーがいつ来るかが分からないという心配から、くみ取り回数を減らそうと、排尿しても流さない、便は流すけれども使ったトイレットペーパーはごみ袋と、そして手を洗う水も十分でないと。このように、し尿処理施設が機能していない地域、ここについてはもう国も個別につかんで、人や物資、財政的な支援を積極的に行うべきだと思い
ますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(樋高剛君) お答えをさせていただきたいと思います。
環境省におきましては、現地対策本部及び県庁の方に職員をまず直接派遣をさせていただいております。これらの職員を通じて被災地の状況把握を精力的に行うということと同時に、私自身、環境省の災害廃棄物対策特別本部長として現地調査を七回既に行ってきたところでございます。自分の目でしっかりと確かめながら、県や市町村に対しまして必要な助言を適切に、かつ場合によっては直接行ってきたところでございます。
また、先生御指摘の財政面でございますけれども、災害救助法に基づきまして避難所の開設期間における集団避難所等により排せつされたし尿の収集、運搬、処理に係る費用につきまして災害廃棄物処理事業の補助対象とさせていただいておりまして、この災害廃棄物処理事業につきましては国庫補助率のかさ上げを行うということにさせていただいております。
また、地方負担分でございますけれども、災害廃棄物処理事業費が多額に及ぶ市町村におきましては、その全額を災害対策債により対処をさせていただきまして、その元利償還金の一〇〇%を交付税措置するということにしたところでございます。つまり、環境省のスキームで対処していただければ事実上地方の負担はゼロということで、国の全面的なバックアップを責任を持ってさせていただいているということでございます。
さらに、環境省におきましては、今先生御指摘の部分でありますけれども、対策をしっかりと講ずるということのために、被災していない自治体あるいは関係事業者団体にし尿処理車の派遣を要請をしまして、これまでに八十台以上が石巻市あるいは大船渡市など被災地に派遣をされたところでございます。
環境省といたしましては、これらの措置によりまして適切なし尿の収集・処理体制を確保して、避難所における良好な衛生環境を保つように、場合によっては厚生労働省さんとしっかり
と連携を取りながら、先生の御指摘も踏まえて全力を尽くしてまいる所存でございます。
○田村智子君 手洗いの水も十分でなくて、給水車が来ていても不安だと、もう指の先だけちょっと洗っているというような状況もお聞きをいたしましたので、是非大型の給水のタンクなども厚生労働省の方で個別に対策を取ってほしいと思います。
避難所の食事についてもお聞きをしたいことがあります。
避難所の食事がたんぱく質や野菜が不足しがちだと、また糖尿病などに対応した食事が今後必要になるだろうと被災地を回った医師から指摘をされています。これは二次的被害のリスクが高まっているということも言えると思うんですね。栄養士が避難所を回って改善を行うなどの努力も始まっていますけれども、国からも更に積極的な働きかけが必要だと思います。
例えば岩手県の大船渡市なんですけれども、事実上、市から確実に配られているのは、一人当たり一日おにぎり三個とパン一個と。救援物資の範囲内で野菜ジュースを出したり牛乳やカップ麺を出したりという事態なんですね。市の担当者に私たちのしんぶん赤旗の記者が取材をしたところ、今の食事は全て救援物資だと、外注も考えているけれども、そうなると財政サイドと話し合わなければならないというふうにおっしゃっているんですよ。これは大船渡市だけではないと思うんです。
災害救助法で避難所の食事提供の費用についてどうなっているか、これ改めて簡潔にお答えいただきたいと思います。
○副大臣(大塚耕平君) 対象になっていると思います。
○田村智子君 そのとおりで、自治体負担分は事実上ないですよね。一日一人当たり目安として千十円、必要だったらそれ以上ちゃんと支給されるということでよろしいですよね。うなずいていただければいいんですけれども。──はい。そのことがなかなか徹底がされていないんですよ。
だから、この大船渡市も、ボランティアが見るに見かねて、例えば一千七百食の炊き出しをやっているけれども、その費用、既に五百万掛かっていて、これは弁護士事務所などが負担をしていて、行政からの支援が欲しいなんていう声まで上がってしまっているんです。被災地の自治体大変で、災害救助法の運用についてひもといている時間なんかないわけです。是非、職員も派遣をして実務も一緒に行うぐらいのことをやって、費用のことを心配して栄養が非常に悪いような食事が続くような事態は、これは一日も早く改善をしていただきたいと思います。
あわせて、これ首都圏の幾つかの避難所でもやっぱり同じ声なんです。ある市長さんは、国がどこまで見てくれるか分からない、どこまで自治体が負担するのか分からない、こう言っていたり、当初食事を提供していた避難所も、期間が長くなって心配して食事を打ち切ったという事態もあるんです。是非、これは全国どこの自治体も自治体独自の費用負担は発生しないと、災害救助法を適用すれば、このことをしっかり徹底していただきたいと、このことを要望して質問を終わります。
午後からの審議――戦傷病者の妻の生活保障を
○田村智子君 日本共産党、田村智子です。
戦傷病者の妻への特別給付金の支給は、戦争とその後の人生の労苦に対する補償であり、私たちも賛成です。戦争による傷病が今日なお新たな病気や障害をもたらしている、このことを重く受け止めなければなりませんし、日本は戦後補償にいまだ多くの課題を抱えており、政府のみならず、国会にも大きな責務が課せられていると思います。
この戦傷病者の妻への特別給付金、あるいは戦没者の御家族への特別給付金、この法案の審議ではこれまでも、支給の対象者であるにもかかわらず請求手続が取られずに時効となって受給資格を失ってしまうと、こうした事態が取り上げられてきました。それが取り上げられる中で、政府としても、個別に請求書類を自宅に発送するとか、転居していれば転居先も調べて発送するなどの手だてが取られるようになったと理解しています。
こうした個別の案内が行われるようになったというのはいつからのことでしょうか。
○政府参考人(森岡雅人君) 個別の案内の実施でございますけれども、いわゆる行政サービスの一環といたしまして、国としては、都道府県に対しまして必要な情報提供を行いながら取組を依頼してきたところでございます。
具体的に申し上げますと、平成七年に改正されました戦没者等の遺族に対します特別弔慰金以降、都道府県において管理している前回受給者データ、また、国から送付しました恩給や援護年金受給者データに基づきます個別請求案内の実施を依頼してきたところでございます。さらに、平成二十年に改正されました戦没者の父母等に対する特別給付金以降は、総務省より恩給受給者データの提供を受け、対象者となる可能性のある方に対しまして国から直接個別請求案内を送付しているところでございまして、今回の改正に係る対象者の方につきましても同様に個別請求案内を行うこととしているところでございます。
また、今回の法改正につきましては、国から個別請求案内を実施しますとともに、その際に、国で確認できる事項についてはあらかじめ印字した請求書を同封しまして申請の便宜を図るということにしたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 国から個別案内するようになったのはごく最近のことだということですね。それまでは、例えば転居して届かなければ政府広報や都道府県広報でしか知りようがなくて、請求しなかったがために、その期間の給付金を受け取れないだけではなくて、その後の受給資格も失ってしまうと。これは余りにも心ない仕組みだと思うんです。
この間も、この請求期間の三年の時効を撤廃すべきだという議論は何度か行われてきまして、この法案の審議でも、衆議院で細川大臣は、他の法制度に重大な影響を与えることなどを理由にこれはなかなかできないと、こう答弁をされています。
ただ、これは、できないというだけでなく、やっぱりどうしたら法の趣旨を生かして資格を失った方々も含めて救済ができるかと、この検討が必要ではないかと私は考えます。戦傷病者の妻でいえば平均年齢はもう八十五歳近いと。しゃくし定規に機械的に切り捨ててよいのか。審査機関などで事実認定をして救済を図るなど、何か検討が必要ではないでしょうか。是非お答えください。
○国務大臣(細川律夫君) 時効制度というものがありまして、この戦傷病者の妻に対する権利も時効によって権利を失う方もこれまで出てきたところも、これも事実であろうと思います。
しかし、時効制度というものを、これは法的な安定性を図るということと、それから時効制度というものが、これを撤廃すれば、この時効制度というのはあらゆるところの法制度に関係をいたしますので、そういう意味でも影響があり過ぎるというようなことも考えますと、時効制度を撤廃する、あるいは時効制度によって権利を失った方の権利を回復するということよりも、やはりしっかりやっていかなければならないのは、権利の行使ができないというか、しない方がいたというような、情報が伝わっていなかったというようなことであるならば、そうでないようにしっかり周知徹底をしなければいけないというふうに私は思っております。
そういうことで、今回の法改正につきましては、国からその対象者に個別請求案内を実施すると、それに加えて、国で確認をしていることについてはあらかじめ印字をした請求書も同封をいたしまして申請の便宜を図ることによってそういうことで時効による失権を防ぐと、こういうことをやらさせていただいておるところでございます。
○田村智子君 資格を失ってしまえばもうどうしようもない方がいらっしゃるわけですね。是非救済措置というのは検討していただきたいと思います。
また、戦後補償ということでいえば、空襲、空爆など、民間の犠牲者が受忍義務というこの他国に例を見ない考え方で、全くその補償が棚上げされ六十六年経過をしているわけで、この問題は今後是非議論をさせていただきたいと思います。
被災地支援 災害救助法の周知徹底を
それで、被災の問題についてちょっと引き続き質問をしたいんですけれども、午前中ちょっと時間がなくなってしまいまして、避難所の食事の費用負担について御答弁をいただく時間がなくなってしまいました。是非、私が先ほど紹介をした実態も踏まえまして改めて御答弁いただきたいと思いますが、副大臣、お願いします。
○副大臣(大塚耕平君) 午前中の御質問は、避難所でボランティアの皆さんが炊き出しをしてくださっている事例を御紹介いただいての御質問でしたが、災害救助法の第二十三条で炊き出しや食事は災害救助法の支出の対象になっております。二十三条の第二号に書かれていると思います。
この災害救助法の対象として経費を賄うためには、ボランティアの皆さんが自主的にやっておられる活動までは捕捉をし切れない面がございますので、是非、県の災害対策本部等の要請に基づいて各避難所に入っていただいて炊き出しをしていただいたケースにおいては法的に対象になり得るものというふうに思いますので、そのようにボランティアの皆さんにもお伝えい
ただければ幸いかと考えております。
○田村智子君 自治体が行うものも被災県の県から国に請求が行って基本的に自治体の負担分はないと、ボランティアについても同じように県からの要請、被災県からの要請があれば費用負担は国からなされるようになると、この仕組みがある。これは是非私たちも大いに徹底をしていきたいと思います。
この災害救助法というのは日常的に使うような法律とは違うものですから、やはり今回、全国の自治体でその運用がどうなのかということで、かなり疑問の声が上がっているんですね。
それは仮設住宅についても言えることです。避難所から仮設住宅への入居というのが一部始まっています。この仮設住宅は、新たに造るものだけでなく、既存の公営住宅、URや公社住宅、民間のアパートなども活用できると思うんですけれども、これも確認したいと思います。特に民間アパートの場合、一棟丸々借り上げが必要ではないかという疑問が自治体からも聞かれますので、このことを含めて御答弁お願いします。
○副大臣(大塚耕平君) 被災地におきましては、民間賃貸住宅や公営住宅、UR賃貸住宅を活用して災害救助法に基づく応急仮設住宅を設置した場合には、災害救助法による国庫負担の対象となります。また、この取扱いについては、被災地でない都道府県におきましても、災害救助法が適用された市町村からの避難者のために民間賃貸住宅や公営住宅、UR賃貸住宅を活用した場合にも同様に国庫負担の対象となります。
○田村智子君 一棟全てではなくて、一棟全て丸々借り上げでなくていいんですね。
○副大臣(大塚耕平君) それは、今は一棟全て丸々借り上げの場合はどうかという……
○田村智子君 ではない場合。
○副大臣(大塚耕平君) ではない場合……
○委員長(津田弥太郎君) 委員長の指名に基づいて発言をしてください。
○田村智子君 申し訳ないです。
民間アパートの場合、一棟全部借り上げないと仮設扱いにならないんじゃないか、そんなことは事実上無理なんですね。空いている部屋を仮設住宅として借りるということも可能かどうかということをお聞きしたいと思います。
○副大臣(大塚耕平君) 一棟丸々でなくても対象となります。
○田村智子君 仮設住宅とすることで入居する方には災害救助法の支援が様々に行われるので、是非、特に公営住宅なんか積極的に仮設住宅としての入居というのを進めるよう都道府県に働きかけていただきたいと思います。
この入居の際なんですけれども、非常に自治体対応に差があるんですね。例えば東京都の場合は、都営住宅に入居の際に、布団やテレビ、冷蔵庫というのを支給をしました。一方で神奈川県は、県営住宅に入居した被災者が照明器具とガスこんろしかないと。中には、入居できる条件、その抽せんに当たったと、だけど何も家財道具がそろえられないので入居できないと、これがマスコミでも報道をされていました。
こういう事態があってはならないと思うんです。是非、公営住宅、公的住宅入るときに、生活必需品の支給、これはやるんだと、このこともはっきりさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君) 被災者が応急仮設住宅に入居して生活するに当たり必要とされる設備や生活必需品についても、災害救助法による国庫補助の対象となります。具体的には、上下水道設備、電気設備及びガス設備等の応急仮設住宅の設置に係る費用、避難者が応急仮設住宅において生活するに当たり必要とされる被服、寝具、その他生活必需品に係る費用についても、民間賃貸住宅や公営住宅、UR賃貸住宅も対象としております。
参考のために一点申し上げさせていただきますと、日本赤十字社が被災者への生活支援の一環として応急仮設住宅での生活に必要となる生活家電セット、これは洗濯機、冷蔵庫、テレビ、炊飯器、電子レンジ、電気ポットでございますが、この寄贈についても民間賃貸住宅や公営住宅、UR賃貸住宅も対象としておりますので、併せて御報告させていただきます。
被災地への仮設診療所に歯科診療も
○田村智子君 大変御丁寧にありがとうございます。その日赤のいわゆる家電六点セットは、是非仮設住宅への入居でない方についても御協力いただけるように働きかけをお願いしたいと思います。
もう一点、議論になっています仮設診療所のことについて私もお聞きをいたします。
被災地の当面の医療確保のために、岩手県では仮設診療所の検討が、もう具体的に検討が始まっていると聞いています。この一次補正で是非仮設診療所への積極的な支援というのを国も講じてほしいと思いますし、その際に、仮設診療所というとどうしても内科が中心になるんじゃないかと思われるんですけれども、お話をお聞きしますと、例えば入れ歯を流された方は被災地で数万人に上るのではないかと医師の方からの報告もありますし、被災地を回った方が、震災直後二週間入れ歯付けっ放しの方もいたと、それから食事に大変歯の具合が悪くて支障を来している場合もあると。
ですから、こうした実態をよく聞いて、診療の内容についてもいろいろ工夫がなされるような、そういう財政支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君) 仮設診療所、医科の診療所と、今、後段では歯科の診療所について御指摘を賜ったというふうに思っております。
もちろん、医科の診療所につきましても、仮設診療所は阪神・淡路のときにも十分の十の補助率で支援を行いましたが、今回も被災地の意向を踏まえて積極的な支援を行ってまいりたいと思います。また、歯科につきましては、先生御指摘のとおりでございますので、同様に対応をさせていただきたいと思っております。
なお、せんだって歯科医師会の幹部の皆さんが被災地にお入りいただいて、歯科の仮設の診療所が必要であるということも歯科医師会として正式にまとめて御要望を賜りましたので、しっかり対応させていただきたいと思います。
○田村智子君 併設するなどのこともできるのではないかと思っています。
こういう当面の対策とともに、やはりそこで開業をしていた医療機関、開業医さんの復興というのは、これは同時並行で行われるべきだと思います。これ前回も取り上げました。これを進めるためには、やっぱり開業医さんを含めて、先ほどもクリニックの話がありましたけれども、被害状況がどうなのかということを独自につかむことが必要だと思います。
実は、阪神・淡路のときには、結果として歯科の開業医さんというのは復興のための支援は全く受けられなかったということもあるんですね。ですから、当面のことだけでなく、やっぱりその現場で第一次の医療機関として、また地域医療を支える開業医や診療所が復興するというためにも是非被害の状況把握を急いで取り組んでいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君) その点につきましても、厚生労働省自ら状況、情報把握をするとともに、そうした医師会や歯科医師会の皆さんからの情報も踏まえて情報収集したいと思います。
ちなみに、先ほどの歯科医師会の皆さんは、せんだって主に岩手にお入りいただいて五地区について御報告をいただいたんですが、そのうち一地区については、仮設の歯科診療所ではなくて、地元のその診療所を流された開業医の方がもう早速に自分で再建をしたいと、だからその地区においては再建をサポートしてほしいという具体的な御要望も賜りました。
そのように地区によって若干の差はございますが、いずれにいたしましても、一次医療圏の医療を支えている診療所、これは医科、歯科問わず補助率をかさ上げする等の措置を講じてしっかり支援をしてまいりたいというふうに思っております。