ニュース
【07.12.11】葛飾ビラ配布 逆転有罪の不当判決
東京高裁 違法弾圧を追認
(記事は2007年12月12日付け「しんぶん赤旗」より)東京都葛飾区のマンションで、日本共産党の都議団報告などを配布した荒川庸生さん(60)が住居侵入罪で不当に起訴され、一審の東京地裁で無罪判決を勝ち取った弾圧事件の控訴審判決が十一日、東京高裁であり、池田修裁判長は一審判決を破棄し、罰金五万円の有罪とする判決を言い渡しました。荒川さんの行為を「社会通念上、住居侵入には当たらない」と常識的な判断を下した一審判決に対し、高裁判決は「初めに有罪ありき」ともいうべき違憲・違法捜査に基づく弾圧事件を容認する極めて不当な判決です。弁護側は即日上告しました。
池田裁判長は判決で、マンションの管理組合理事会が、区の広報を除くビラなどの投函(とうかん)を禁止する決定をしており、これに対する住民からの異論はなかったことから、決定を住民の総意に沿うものと認定。その上で玄関ホールの掲示板に投函禁止の張り紙をしていたことなどから「(立ち入り禁止を)来訪者に伝える措置がとられていないとはいえない」などとしました。
一審判決では、共同住宅への立ち入りの違法性は、住宅の形態、立ち入りの目的・態様に照らし、社会通念上認められるかどうかで判断すべきとする基準を示し、荒川さんの立ち入り目的、行為に違法性はないとしていました。しかも、公判では管理組合理事会の議事録に、投函禁止を決定する記載は存在しないことが明らかになっており、高裁判決は不合理なものです。
判決は、表現の自由を保障する憲法二一条一項にふれ、「絶対無制限に保障したものでなく―その手段が他人の財産権等を不当に害することは許されない」などと指摘しました。しかし、荒川さんの立ち入りによって、住民の「財産権」がどう侵害されたのか、検討した形跡すらみられませんでした。