コラム
【13.05.28】外国特派員協会で女性国会議員の記者会見
橋下氏の「慰安婦」発言への抗議は続く
新聞でみたことのある会見場、初めて足を踏み入れました。
司会の渡辺晴子さん(日本外国特派員協会 特別企画委員会委員長)、いきなり英語でのスピーチが始まり、当然のことですが、海外メディアに向けての記者会見なのだと実感。
もちろん、目の前の記者のみなさんもほとんどが日本人ではありません。
「英語のスピーチなら一人4分ですが、通訳はさむと2分です」――打ち合わせで言われました。
私は「ジャパニーズ オンリー」ですから、言葉を厳選して、通訳の方に意図がズバリと伝わるようにと考えました。
この記者会見、前日の24日に橋下徹・大阪市長(維新の会共同代表)が、同じ場所で釈明会見を行ったことを受けてのもの。
外国特派員向けに記者会見を行うとの情報が伝わってすぐに、超党派の女性議員が動いたのです。
「慰安婦は必要だった」&「米軍はもっと風俗を利用して」発言、その後のツイッターなどでの持論展開。
こんな見解を海外メディアに向けて垂れ流しにして、そのままにしておくことなどできません。
私の意見表明は次のような内容。
「橋下氏の昨日の会見は、慰安婦は必要だったという発言を撤回もしない、元慰安婦のみなさんや沖縄のみなさんに謝罪もしないという恥ずべき内容で、居直り会見だったと言わざるをえません」
「彼は、慰安婦について、軍の関与はしぶしぶ認めましたが、政府の関与は認めず、強制ではなかったという意見を繰り返しています」
「しかし、軍と政府が関与し、強制的に女性たちへの性暴力を行ったことは、日本政府自身が調査し認めたことです」
「外務省のホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/ianfu.html)には、「慰安婦問題に対する日本政府のこれまでの施策」というページがあり、ここでは、政府のお詫びと謝罪のうえに、韓国だけでなく、フィリピン、台湾、インドネシア、オランダに対して事業を行ったことが、国内外に示されています」
「橋下氏の発言は、歴史認識の問題だけでなく、こうした戦後の日本外交の土台を覆すものです」
「侵略戦争の歴史に勇気をもって真摯に向き合い、発言の撤回と謝罪を行うよう橋下氏にもとめるものです」
発言は、姓のアルファベット順。
福島瑞穂さん(社民)、糸数慶子さん(無所属)、小宮山泰子さん(生活)、私、谷岡郁子さん(緑の風)、辻元清美さん(民主)と、リレーのように行われました。
(谷岡さんはすべて英語のスピーチ。私には「burned proof」=証拠を燃やした、しか聞き取れませんでした…)
全員のスピーチが終わって、質問に答える時間。
ところが、私は厚生労働委員会と同時並行の日程だったため、ここでタイムアウト。
国会にもどって、今後の法案の日程協議に出席することとなりました。
(最初の質問者が日本には「女性党」のような政党はないのかと、質問していたような。)
この記者会見のことを、フェイスブックに投稿したら、NHKニュースで流れていたと早速に教えてくれる書き込みが。
私が「居直り会見だった」と発言したことも流れたとのこと。
報道されたということは、国民の関心や怒りが決して覚めていないことの表れだと受け止めています。
会見では言いませんでしたが、結局、なんのために海外に向けて記者会見をしたのか。
米軍に対する発言を撤回し、アメリカに対して謝罪した、これが大きな目的ではなかったのか。
橋下氏は、戦争中の「売春」問題はどの国でもあった、日本だけが非難されることなのかと、まさに居直りました。
日本の「慰安婦」問題は、政府と軍が関与した強制性暴力として、一般的な戦時「売春」とは問題の本質が異なることを、理解しようとしない立場です。
これは、日本のこれまでの外交を否定するに等しい立場です。
上記の国々への「償い事業」は、なんだったのか。
「償い事業」は、民間の基金を財源としたことなど、政府の責任を直接に果たすものではないという問題点を含んでいます。
しかし、これらの事業さえも否定したら、日本の戦後の外交は完全に信用を失墜させるでしょう。
アジアのなかで、孤立した、対話のできない国になってしまうでしょう。
自分の発言によって、日本と世界の国々との関係がどうなるか、橋下氏は考えているのでしょうか。
考えれば考えるほどに怒りがわいてきます。
ところでこの会見。野党だけの出席をもくろんだわけではありません。
自民党、公明党にもよびかけての記者会見でした。なぜ与党議員は出席しないのか。
橋下氏が代表を務める日本維新の会は野党です。与党が遠慮することはないのです。
「慰安婦は強制ではなかった」という主張を腹にもつ安倍総理に遠慮してのことなのか。
維新の会は野党ではなく、自民党や公明党にとって「友党」ということなのか。
疑問もふつふつとわいてきます。