日本共産党 田村智子
コラム

【13.03.02】廃止を許すな! こどもの城を視察

全国の児童館を発展させるために

 
「一度、ぜひ観にいってください。無くしてはダメだと実感できるはずですから」
こどもの城を廃止しないでほしいと運動にとりくむお母さんたちから、要望されていました。
それでは子どもたちが多く利用する土曜日にと、視察に出向きました。

こどもの城は国立の児童館。国際児童年を記念して1980年につくられました。
ミュージカル「アニー」で有名な青山劇場を併設しています。

ところが、劇場をふくめて、2015年3月末をもって全館廃止――厚生労働省の方針が示されました。
理由は老朽化。特に電源・電気関係の工事は予算がかかるため、存続はできないというのです。

厚生労働省の試算で150億円ほどの予算。
これが高すぎる、あるいは「ムダ」といえるのかどうか。

事業を実施しているのは公益財団法人・児童育成協会。
佐野真一事業本部長が、こどもの城が果たしてきた役割を説明し、子どもたちが遊ぶ館内を丁寧に案内してくださいました。

児童館は全国に4300ヶ所。規模の小さいものから大きなものまで様々。
こどもの城はそのセンター館として、遊びのプログラムを開発し、実践し、検証し、より良いプログラムを全国に発信している。

説明をうけて館内を実際にみると、なるほどと思うことがたくさんありました。
職員のみなさんは、大学でスポーツ、音楽、映像、美術などを学んできた専門家。
それら全てが、遊びを通して子どもたちに体感されていくよう、様々なとりくみが行なわれているのです。

 
スポーツも音楽も、見本があって「できるか、できないか」ではなくて、遊びを通じて体験することを重視しています。
音楽のコーナーでは、スタッフの超高速演奏で、マリンバがリズムを刻んでいました。
客席には太鼓や、手作りのマラカス、本格的な木琴もあり、演奏にあわせて子どもたちが自由に音を出しています。
演奏を静かに聞くのではなく、演奏で遊ぶのです。これは楽しい!

こうした実践を、全国の児童館にニュースなどで知らせ、児童館職員が泊り込みで研修するとりくみもあります。
小学校や、特別支援学校が貸切で利用することもできます。

「都内でも児童館の職員が非常勤になったり、おもちゃを置いているだけというところもある。児童館活動が停滞、後退しない歯止めとなってきたのが、こどもの城では?」
「ここが廃止になったら、ここに代わる役割を果たせるものはありますか?」
率直に質問してみました。
「とても心配している。児童館のセンターの役割をどうするのかという方針を示してほしい」との回答。

土曜日の午前中から、館内は親子連れが大勢きていました。
お父さんが子どもと遊ぶ姿も多くみられました。
こどもの城を利用してきた方が、ボランティで関わる姿もあちこちに。

遊びの文化をどう育てるか。
人とかかわりながら、身体のあらゆる感覚を使いながら、遊びのなかでスポーツを音楽を芸術を好きになっていく。
そんな児童館活動は、今の時代にますます求められているのではないか。

私も、ペイントしたり、お花紙のパラシュート雛を飛ばしてみたりと、ちょっと遊びながら、遊びの魅力を再確認できました。
無くしてはダメだと、確信した視察となりました。