日本共産党 田村智子
コラム

【12.09.27】「外環の2」1キロだけの事業認可

建設予定の石神井公園周辺を歩いて調査

 
練馬区石神井公園の近く、車の通行がほとんどない住宅街。
ここに幅40メートルの道路をつくる計画があること自体が驚きです。
「外環の2」――7月30日の参議院決算委員会でとりあげた「愚の骨頂」の大型開発計画です。
一部事業が開始される動きがあり、急きょ、2度目の現地調査となりました。

私たちの調査に、これまた急きょ集まってくださった地域住民のみなさん。
公園の一角でさっそく地図を広げて、今日歩くルートを打ち合わせ。
何しろ、街の形状も、現在の道路もまったく無視して、斜めに住宅街を貫くという計画ですから、一体どの家や公園が道路にかかるのか、地図と目の前の住宅街とをよくよく見比べなければなりません。

歩き始めてすぐに石神井公園の延長にあたる「野鳥の森」に。
うっそうと樹木がしげり、もみじの葉が青々と空を覆っています。
説明にたった女性、「ここは保育園のお散歩コース。秋にはどんぐり拾いで子どもたちが夢中になれるところ」――この豊かな自然環境を壊すのかという思いでしょう、途中で言葉がつまり涙をうかべておられました。

 
道路はこの公園をかすめるように造られる計画だといいます。
車の通行の音などまったく聞こえない、聞こえるのは木々の枝や葉が風にこすれる音。
大きな道路が目の前にできたらどうなるのか、実は想像もできませんでした。

公園から住宅街へ。道をたどっていくと実は行き止まりになります。
だから車の往来がないのだと納得しました。
車で通るのは地元住民か、その家に荷物を届ける車ぐらいでしょう。
子どもたちが家の前で遊ぶ姿が目に浮かびます。

この付近の住宅は、それぞれがとても趣あるつくりです。
その一軒、東京外環道の建設に厳しく対決し続けてこられた方のお宅に伺いました。
ベンチが置かれたなんとも味わいのある庭。
ここを道路が貫くなんて!
「家のほとんどは道路にかからない。台所から庭を突き抜ける。そうすると補償は台所の部分だけだっていうんですよ」

 
驚きました。たとえ一部分の取り壊しであっても、家全体を建て直さなければ住めるはずがありません。
結局、道路にかかる部分だけでなく、道路周辺の土地の使用状況が大きく変わることになるのでしょう。
現状は2階建て住宅がほとんど。昔ながらの閑静な住宅街。
40メートル道路沿線がこのままとはとても考えられません。宅地の一部分が接収されれば住めなくなるか住みにくくなる、「それではうちが買いましょう」と、大手デベロッパーが動き出す、誰でも容易に想像できます。

そもそも住宅をつらぬく外環道路建設が無謀だから、1兆3000億円近い事業費で地下40メートルに道路を造ることになったのです。
高架道路で造るはずだった、その高架下の活用が必要だった、そうやって「外環の2」が都市計画になったにすぎません。
高架でもないのに、なぜ地上部道路が必要なのか。国土交通省や東京都を問い詰めると、「東京外環道の建設にともなう都市計画として決められているから」――矛盾のきわみです。

どれだけの自動車交通量があるのか、こうした道路が必要なのか、町を斜めに突っ切る道路が沿線道路とどうアクセスするのか等々――なんの検討もないまま、本線の事業がスタートしたから「外環の2」もスタートするというだけ。

調査の途中で、通りがかりの練馬区民の方が「外環道は地下にできるのだから、地上の調査なんて必要ないでしょう」と話しかけてきました。
地上部道路の計画があるのだと説明すると、「知らなかった。それはおかしい。消費税増税でそんな道路つくるなんてめちゃくちゃだ」と、目を丸くしていました。
2007年に現地調査をしたときにも、同じような対話がありました。

おりしも、今日、9月27日、国土交通省は「外環の2」の大泉ジャンクション付近1キロの事業認可を出しました。
地域住民への説明もまともにしていないのに、一部とはいえ事業申請する東京都。
大泉地域については住民の理解があるからと、計画全体をみることなくゴーサインをだす国土交通省。
こんな道理のかけらもない、税金の無駄遣い、街壊しの計画、絶対にみとめるわけにはいきません。

(この調査は、笠井亮衆院議員、坂尻まさゆき衆院東京9区予定候補、今秀子同10区予定候補、吉良よし子参院東京選挙区予定候補、松村友昭前都議、練馬区議団も参加しました。)