コラム
【11.08.25】子ども手当法案について質問
貧困の解決に逆行する「3党合意」
今回の通常国会、最後の委員会に質問になったでしょうか。
厚生労働委員会での子ども手当特別措置法案の審議が行われました。
現在中学卒業までの子ども一人に月1万3000円の「子ども手当」が、年度途中に(10月支給分から)3歳以上は1万円に減額されることになります。
これが、民主・自民・公明の「3党合意」で決められる、政党間の取引に使われたのです。
手当の減額をどうみるか、私が一番気になったのは、ぎりぎりの生活をしている所得の低い家庭への影響です。
子どもの貧困率が上昇を続けていて、貧困ライン以下の状況にある子どもは15.7%(6人に1人)に達した――政府が7月に発表したばかりです。しかも貧困ラインが大きく下がるもとでのことです。
昨年「しんぶん赤旗」は、子どもの貧困の実態を約1年にわたってリポートしていました。1冊の本にまとめられた取材をあらためて読んで、いたたまれない気持ちになりました。
学校給食だけがまともな食事、夏休みには空腹に耐えかねて「食べ物をちょうだい」と、通りがかりの大人に声をかけていた男の子。
ガスも電気も止められてお風呂に入れなくなった女の子は、学校のシャワーで先生が髪を洗ってあげた。
深夜まで働く親、1人ぼっちで残された子どもは、寂しさから街を徘徊する。
生活に疲れ果てた両親が、育児に全く目を向けられなくなっていく。
月1万3000円の子ども手当では、この貧困状態から抜け出すことは困難かもしれません。
しかし、少なくとも減額で収入を目減りさせることが許されるのか。
「手当の減額は、低所得世帯の収入を減らしてしまう、その認識はあるのか」
「子ども手当をどうするか決める際に、子どもの貧困について検討をしたのか」
食い下がって、細川大臣、小宮山大臣に質問しましたが、子どもの貧困は統計発表しただけ、まともな議論はされていないことが見えてきました。
委員会で法案に反対の立場をとったのは私だけでした。
反対討論では、「子どもに関わる施策が、政党間の取引のように扱われることは許されない」「真剣が議論で子ども支援、子育て支援を行うよう強く求める」と述べると、民主党席から「そうだ!」と声が起こりました。
個々の議員の中には、党の執行部のやり方に同意しきれない思いがくすぶっていることがわかります。
一番大切な国民の生活実態に目を向けずに、政党の駆け引きで政策決定が行われることは、全く道理がない。
国民の立場でこのことを告発する、それは鋭く政府や他党に突き刺さるのです。
昨年8月6日の初質問から、39回目の国会質問(だと思います)。
自分が貫くべき立場を実感する質問となりました。