日本共産党 田村智子
コラム

【09.03.12】大家族のような障害者入所施設

東京多摩学園(奥多摩町)を訪問

 
杉山に囲まれた奥多摩駅に昼過ぎに到着。
花粉がたわわにつき茶色がかった杉の木に気持ちが落ち込みます。
覚悟してマスクをはずしたのですが、空気がきれいなためでしょうか、くしゃみは全く出ませんでした。

駅から山を少しのぼったところ、ユニークな創作物が次々に目にとびこんできました。
自閉症などの障害者のみなさんが生活する東京多摩学園。

 
障害をもつ子どもたちが大人になった時、どんな生活をするのか、「ふるさと」といえる入所施設をつくろう!と、親御さんたちが20年前につくった「大きな家」です。

玄関に大きな机と椅子、ストーブ、そしてたくさんの芸術作品。
おしゃれな山小屋のような、芸術に感心のある家を訪ねたような、そんな気持ちになります。
施設運営の大黒柱は、山下更正さん夫妻と息子さん。
長男が生後2ヶ月の全身麻酔の手術の影響で、重度の障害をおったそうです。

お話を聞くと、障害者自立支援法への怒りはもちろん、入所施設を否定し解体しようとする青磁の動きに、資料もつくって話してくださいました。

入所施設が障害者を「収容」しているかのように報道した番組もあったそうです。
家族と暮らすことだけが人権を尊重しているのか、
家族の大きな負担は解決されず、地域の支援体制もないのに、なぜ施設解体の動きがあるのか、
入所施設だからこそできる、発達の保障、生活の質の向上があるのではないか等々。

主張がもっともだと思えるだけではありませんでした。
「論より証拠」、ここでの実践が「入所施設だからこそ」といえるものだと実感しました。

どんなに重い障害があっても、誰かの役に立って生きていかれる、お互いに支えあって暮らしていく、口で言うのは簡単ですが、実践には知恵と経験、連帯が必要です。

 
多摩学園では、しいたけ栽培や養鶏にとりくんでいます。
しいたけ菌を植え付ける、原木を運び積み上げる、しいたけを収穫し、商品として管理する。
職員と入所者のみなさんが、この農作業にとりくんでいるのです。

朝8時半には作業開始。山道を上り下りして原木を一本一本運び、やぐらのように積み上げる。
その作業は単純でも足腰を鍛え、平衡感覚をみがいていくようです。
作業の休憩時間にお会いしたみなさんは、身体もひきしまっていて、笑顔がとても輝いていました。

しいたけは、すぐにニョッキと育っていくそうです。
自分の労働の成果が目にみえてわかることが「やりがい」「楽しさ」につながっているとか。
みせていただいたしいたけの肉厚なこと!
(晩御飯に焼いて、しょうゆをたらして食べたら、なんともジューシー!!!)

汗をかくので着替えは一日3回も。
お風呂も楽しく入れるようにと、浴室はなんと天窓になっていました。
広々した浴室、真ん中にまるい大きな湯船。
一緒に視察した池田真理子さん(衆議院比例予定候補です)と、「温泉みたい。はいってみたい」と声をあげてしまうほど。

ここは大きな家族の家、そんな言葉うかびました。
予算が削られていくことで運営を続けられるのかという悩みがおそい、
入所施設への根拠のない誹謗に苦しむ。
それでも、みなさんは立ち向かっています。
「ふるさとをなくすわけにはいかない」のですから。